外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人

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ベンズを追え!

28.鉄がない!

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 俺たちがシエイ鉱山の鉱殻竜を討伐してからしばらくしてボーハルトに石灰が届き始めた。

 鉱山の所長は約束を守ってくれたようで破格の値段でフィルド王国と取引をしてくれたらしくリンネ姫がニコニコしながら教えてくれた。

 ともあれこれで止まっていた道路工事が再開できる。



「しかしモルタルで道路舗装など可能なのですか?」

 ホランドが今でも信じられないという顔をして聞いてきた。

「まあ見ていなって」



 まずはセメント作りだ。

 セメントは石灰と粘土を混ぜ合わせた後に焼成し、それを粉にして作る。

 これに砂と水を加えてセメントにし、そこに砂利を混ぜたのがコンクリートだ。



 更にそこにひと手間加えて道路は鉄筋コンクリートにすることにした。

 これなら強度がさらに上がるからコンクリートの量も節約できる。

 とりあえず町の大通りや荷役に使われる川沿いの道にコンクリートを敷設することにした。


「す、凄い!こんなまっ平らな道は初めて見ました!」

 コンクリートでできた道路を見てホランドは驚愕していた。


「これなら馬車で走らせても全く振動を感じないぜ!」

「それどころじゃねえ、まるで滑ってるみたいだ!」

「水だってすぐに流れていくから雨が降っても水たまりができねえぞ!」

 初めて道路を見た人々も口々に驚きの声を上げている。


「コンクリートの道路は寿命も長いんだ。一回敷いたら何十年も持つよ」

「それが本当なら後々の維持費も節約できますね。道路の維持費は年間予算の中でも馬鹿にならない比率を占めているんです」

「道路と工場ができればボーハルトもいよいよ本格稼働だな」

 そうですねとホランドも嬉しそうに顔をほころばせた。


 しかし、その期待は予想外の方向で裏切られてしまった。




「鉄がない?」

 ホランドからの報告を受けたのは道路の舗装を始めて一週間ほど経った頃だった。



「そうなんです。突然あらゆる商会から鉄の販売を断られてしまったのです。ベンズ商会にも掛け合ってみましたがあちらも鉄の取引を断られているらしくて」

 そう言ってホランドは悔しそうに眉をしかめた。


「鉄そのものがないって訳じゃないんだろ?」

「ええ、それどころか鉄の価格は現在かつてないほどに下がっています。本来であればどこも諸手を挙げて売りたがっているはずなのですが…」


 鉄がないのは困る、というかボーハルトの復興は鉄などの材料が手に入ることが前提条件になっているからそれが手に入らないと途端に手詰まりになってしまう。

 それにしてもホランドの話を聞く限りだと鉄自体はあるのに売ってもらえないということになる。これは妙な話だ。

「この国で鉄の取引は誰が行っているんだ?」

「一番の大手はアクダルモ商会ですね。他にも数社いますがシェアはアクダルモ商会が圧倒的でこの国の鉄の値段を決めていると言われているくらいです」

 アクダルモ商会?ひょっとしてそれはエドワルド・アクダルモと関係があるのか?


「ええ、商会と名乗ってはいますが実質アクダルモ候が自ら経営しているようなものです」

 やっぱりか~、というかそうきたか~。


「彼と何かあったのですか?」

「ああ…実は…」


 俺はホランドにパーティーでのことを説明した。


「どうする?謝って鉄を売ってもらった方が良いかな?」

 正直俺が頭を下げることで鉄が手に入るなら安いもんだけど。


「いえ、あの人の性格を考えるなら謝っても無駄でしょう」

 しかしホランドはあっさりとそれを否定した。

「今の鉄の価格の下落にアクダルモ商会が関わっているのはおそらく間違いないでしょう。そのうえでこちらに鉄を売る意思がないということは利益を出したいという意思がないことになります。であるならば彼らの目的はテツヤさんの謝罪とは別のところにあると見るのが妥当でしょう」

 なるほど、そう言われてみれば確かにその通りか。でもそうなるとそれはそれでアクダルモの目的が気になってくるぞ。


「それはわかりません。しかしこちらとしてはまず鉄を確保するのが最優先です」

「どこかで鉄を買うことはできないのかな?なんなら鉄鉱山から直接買い付けるとか。鉄鉱山があるのはアクダルモの領地だけってことはないんだろ?」


 俺の言葉にホランドは眉をひそめた。

「あることはあるのですが…」

 やけに歯切れが悪いな。


「実を言うと隣のミネイロン領にも鉄鉱山はあるのです。しかもアクダルモ領内で採れる鉄よりも良質なものが採れます」

「だったらそっちの方が良いじゃないか!早速交渉しに行こうぜ!」

「それがですね…かつてカドモイン候が無茶な買い付けをしたせいでそことは折り合いが悪いのです。最後にはカドモイン領の人間には一グラムだって売らないとすら言われてしまいました」


 そこまでか。

 カドモインは一体何をやらかしたんだ?


「と、とりあえず行くだけ行ってみないか?ほら、カドモイン領はなくなったわけだし、向こうだって事情が変わってるかもよ?」

「だと良いのですが…」


 ホランドが心配そうにつぶやいた。
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