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ベンズを追え!
34.悪あがき
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空が色とりどりの光に煌めいている。
アマーリアが放った魔法だ。
「あっちは終わったみたいだぞ」
俺の言葉に隣にいたソラノが頷いた。
「諸君、アクダルモ邸捜査の許可が下りたぞ!」
ソラノの言葉に後ろに控えていた治安部隊が一斉に行動を開始した。
「治安部隊である!これより資源盗難と違法売買の疑いで家宅捜査を行う!」
「全員その場を動かぬように!」
「抵抗する者は全て逮捕する!」
治安部隊は慣れた動きで屋敷に突入していった。
さてと、俺たちは俺たちの仕事を果たさないと。
俺はソラノとフラムに目配せをして屋敷の裏手に回った。
屋敷から少し離れた森の中に目立たないように建てられた木こり小屋がある。
アクダルモの屋敷から延びる地下通路の出口はその小屋だ。
「いたぞ!ベンズだ!」
俺たちが小屋に向かった時、そこから逃げ出そうとしている影が見えた。
流石はベンズ、既に危険を察して逃げ出そうとしていたらしい。
だがそれも無駄なことだ!
俺はベンズが乗り込んだ馬車の目の前に木を倒した。
これでもう逃げられないだろう。
「ひ、ひいいいっ」
情けない悲鳴と共に馬車の中から太った男が転がり出てきた。
あれがベンズだな。
「無駄な抵抗はやめろ!」
ソラノが空からベンズの目の前に飛び降りた。
これでベンズも一巻の終わりだ。
そう安堵しかけた時、総毛だつような殺気が襲ってきた。
「ソラノ!後ろだ!」
俺の声に振り向いたソラノが吹き飛ばさた。
「ぐはっ!」
馬車の影から飛び出してきた者の一撃でソラノは数メートル先にある木の幹に激突して崩れ落ちた。
全身黒ずくめの男だった。
視界が歪むような殺気を放っている。
武器のようなものは身に着けていないということは素手であれをやったのか?
「おお、グズリク殿!」
ベンズが嬉しそうな声をあげた。
「貴様らに恨みはないがこれも仕事なのでな」
そう言ってグズリクという男は俺たちとベンズの間に割って入ってきた。
こいつはベンズが雇った用心棒か?
グズリクの加勢に元気を取り戻したベンズは再び馬車に乗り込んで走り去っていった。
不味い。今ここであいつを逃がすわけにはいかない。
「ソラノ、立てるか?」
「あ、ああ、何ということはない」
俺の言葉にソラノがよろよろと立ち上がった。
「フラムと一緒にベンズを追いかけてくれ。ここは俺が何とかする」
「一人では無茶だ!あの男、只者ではないぞ」
「任せろって。それよりも今はベンズを逃がさない方が先だ。すぐに追いつくから先に行っててくれ」
「しかし…いや、わかった。ここは任せよう」
俺の意思が変わらないことを悟ったのかソラノが頷いた。
「じゃあ……行ってくれ!」
叫ぶなり俺はグズリクの周りを岩のドームで覆った。
同時に岩の槍を作り出して全方向からドームに向けて発射する。
その間にソラノはフラムを抱えて空に飛びあがった。
瞬間、岩のドームが爆散した。
グズリクは向かってくる岩の槍を全てかわすとその一本を飛んでいるソラノに向けて蹴り上げた。
「させるかよ!」
その岩の槍を土属性の力でチリに変える。
が、そこに一瞬の隙ができてしまった。
みぞおちあたりに寒気が走った。
岩の壁を構築しようとしたが間に合わない。
粉砕された岩の壁ごと俺は吹き飛ばされた。
「ぐあっ!」
ダンプカーに衝突されたような衝撃と共に十数メートルも弾き飛ばされた。
とっさに壁を作っていなかったら身体が真っ二つにされててもおかしくない威力だ。
「がはっ!」
四つん這いになって咳き込むと血が地面に滴り落ちた。
一息つく間もなく殺気が襲ってくる。
「クソッ!」
相手の位置を確認する暇もなく俺はやみくもに周囲に壁を作った。
しかしグズリクはその壁をまるでバルサ材を叩き割るように破壊しながら突進してきた。
「ぬあああああああっ!!!!」
前後左右からグズリクに向かって撃ち出した岩の槍はしかし全てグズリクの拳と足刀に砕かれた。
真下から突き出した岩の槍すらもまるで最初から分かっていたように難なくかわしている。
恐ろしい相手だ。
「あんた、相当な使い手だな」
なんとか距離をとった俺は息をつくためにグズリクに話しかけた。
「答える必要はない」
しかしそんな俺の思惑なんてお見通しだと言わんばかりグズリクは攻撃の手をやめようとしない。
グズリクが放った直突きをすんでのところでかわすと俺の背後にあった巨大な岩が拳で粉々に砕ける。
とんでもない破壊力だ。
「くそうっ!」
打つ手をなくした俺は土煙を撒き上げた。
「無駄だ」
しかしグズリクは正確に俺の位置を把握して攻撃を繰り出してくる。
やはりこの男は視覚ではなく俺の持つ魔力を感知している!
岩だろうと平気で砕く攻撃力は魔力で肉体を強化しているのだろう。
だとすると土属性の俺とは完全に相性が悪い。
ランメルスと戦った時もそうだったけど、俺の攻撃は土や岩を変化させる以上どうしてもタイムラグが生じる。
ランメルスやグズリクのように攻撃力とスピードを持った相手は一番苦手なのだ。
「グッ!」
そうこうしてるうちにグズリクの拳が俺の顔面にヒットした。
目の前を星が舞う。
「クソッ!」
やみくもに振り回した拳はグズリクにあっさりとかわされてしまう。
俺の拳を見ることすらしていない。
たたらを踏んだ俺の腹にグズリクの膝が食い込む。
「ガハッ!」
息ができなくなって膝をついた俺の後頭部に殺気が襲い掛かる。
足下の土を操作して後退した瞬間、髪の毛の先をグズリクの手刀がかすめていった。
あそこで逃げていなかったら今頃俺の首は落とされていただろう。
こいつはとてつもない強敵だ。
アマーリアが放った魔法だ。
「あっちは終わったみたいだぞ」
俺の言葉に隣にいたソラノが頷いた。
「諸君、アクダルモ邸捜査の許可が下りたぞ!」
ソラノの言葉に後ろに控えていた治安部隊が一斉に行動を開始した。
「治安部隊である!これより資源盗難と違法売買の疑いで家宅捜査を行う!」
「全員その場を動かぬように!」
「抵抗する者は全て逮捕する!」
治安部隊は慣れた動きで屋敷に突入していった。
さてと、俺たちは俺たちの仕事を果たさないと。
俺はソラノとフラムに目配せをして屋敷の裏手に回った。
屋敷から少し離れた森の中に目立たないように建てられた木こり小屋がある。
アクダルモの屋敷から延びる地下通路の出口はその小屋だ。
「いたぞ!ベンズだ!」
俺たちが小屋に向かった時、そこから逃げ出そうとしている影が見えた。
流石はベンズ、既に危険を察して逃げ出そうとしていたらしい。
だがそれも無駄なことだ!
俺はベンズが乗り込んだ馬車の目の前に木を倒した。
これでもう逃げられないだろう。
「ひ、ひいいいっ」
情けない悲鳴と共に馬車の中から太った男が転がり出てきた。
あれがベンズだな。
「無駄な抵抗はやめろ!」
ソラノが空からベンズの目の前に飛び降りた。
これでベンズも一巻の終わりだ。
そう安堵しかけた時、総毛だつような殺気が襲ってきた。
「ソラノ!後ろだ!」
俺の声に振り向いたソラノが吹き飛ばさた。
「ぐはっ!」
馬車の影から飛び出してきた者の一撃でソラノは数メートル先にある木の幹に激突して崩れ落ちた。
全身黒ずくめの男だった。
視界が歪むような殺気を放っている。
武器のようなものは身に着けていないということは素手であれをやったのか?
「おお、グズリク殿!」
ベンズが嬉しそうな声をあげた。
「貴様らに恨みはないがこれも仕事なのでな」
そう言ってグズリクという男は俺たちとベンズの間に割って入ってきた。
こいつはベンズが雇った用心棒か?
グズリクの加勢に元気を取り戻したベンズは再び馬車に乗り込んで走り去っていった。
不味い。今ここであいつを逃がすわけにはいかない。
「ソラノ、立てるか?」
「あ、ああ、何ということはない」
俺の言葉にソラノがよろよろと立ち上がった。
「フラムと一緒にベンズを追いかけてくれ。ここは俺が何とかする」
「一人では無茶だ!あの男、只者ではないぞ」
「任せろって。それよりも今はベンズを逃がさない方が先だ。すぐに追いつくから先に行っててくれ」
「しかし…いや、わかった。ここは任せよう」
俺の意思が変わらないことを悟ったのかソラノが頷いた。
「じゃあ……行ってくれ!」
叫ぶなり俺はグズリクの周りを岩のドームで覆った。
同時に岩の槍を作り出して全方向からドームに向けて発射する。
その間にソラノはフラムを抱えて空に飛びあがった。
瞬間、岩のドームが爆散した。
グズリクは向かってくる岩の槍を全てかわすとその一本を飛んでいるソラノに向けて蹴り上げた。
「させるかよ!」
その岩の槍を土属性の力でチリに変える。
が、そこに一瞬の隙ができてしまった。
みぞおちあたりに寒気が走った。
岩の壁を構築しようとしたが間に合わない。
粉砕された岩の壁ごと俺は吹き飛ばされた。
「ぐあっ!」
ダンプカーに衝突されたような衝撃と共に十数メートルも弾き飛ばされた。
とっさに壁を作っていなかったら身体が真っ二つにされててもおかしくない威力だ。
「がはっ!」
四つん這いになって咳き込むと血が地面に滴り落ちた。
一息つく間もなく殺気が襲ってくる。
「クソッ!」
相手の位置を確認する暇もなく俺はやみくもに周囲に壁を作った。
しかしグズリクはその壁をまるでバルサ材を叩き割るように破壊しながら突進してきた。
「ぬあああああああっ!!!!」
前後左右からグズリクに向かって撃ち出した岩の槍はしかし全てグズリクの拳と足刀に砕かれた。
真下から突き出した岩の槍すらもまるで最初から分かっていたように難なくかわしている。
恐ろしい相手だ。
「あんた、相当な使い手だな」
なんとか距離をとった俺は息をつくためにグズリクに話しかけた。
「答える必要はない」
しかしそんな俺の思惑なんてお見通しだと言わんばかりグズリクは攻撃の手をやめようとしない。
グズリクが放った直突きをすんでのところでかわすと俺の背後にあった巨大な岩が拳で粉々に砕ける。
とんでもない破壊力だ。
「くそうっ!」
打つ手をなくした俺は土煙を撒き上げた。
「無駄だ」
しかしグズリクは正確に俺の位置を把握して攻撃を繰り出してくる。
やはりこの男は視覚ではなく俺の持つ魔力を感知している!
岩だろうと平気で砕く攻撃力は魔力で肉体を強化しているのだろう。
だとすると土属性の俺とは完全に相性が悪い。
ランメルスと戦った時もそうだったけど、俺の攻撃は土や岩を変化させる以上どうしてもタイムラグが生じる。
ランメルスやグズリクのように攻撃力とスピードを持った相手は一番苦手なのだ。
「グッ!」
そうこうしてるうちにグズリクの拳が俺の顔面にヒットした。
目の前を星が舞う。
「クソッ!」
やみくもに振り回した拳はグズリクにあっさりとかわされてしまう。
俺の拳を見ることすらしていない。
たたらを踏んだ俺の腹にグズリクの膝が食い込む。
「ガハッ!」
息ができなくなって膝をついた俺の後頭部に殺気が襲い掛かる。
足下の土を操作して後退した瞬間、髪の毛の先をグズリクの手刀がかすめていった。
あそこで逃げていなかったら今頃俺の首は落とされていただろう。
こいつはとてつもない強敵だ。
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