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吸血族
33.帰還
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「テツヤ?」
最初に気付いたのはアマーリアだった。
俺が転送されたのはどうやらレジスタンスの隠れ家みたいだ。
自分がどこにいるのか瞬時に理解できたのもアスタルに引き出してもらった力のお陰なのだろうか。
そこにはアマーリアたちやドライアドの他にたくさんの吸血族が集まっていた。
みなアマーリアの声に振り向き、驚愕の表情でこっちを見ている。
「…た、ただい」
「「「「テツヤッ!!!!」」」」
ただいま、と言おうとしたらアマーリア、ソラノ、フラム、キリがいきなり俺に飛び込んできた。
「なんでここにいるのだ?」「ツァーニックの所に行ってたのではないのか?」「無事なのか?」「怪我はない?」
口々に言ってきて収拾がつかない。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!今詳しく話すから!」
◆
「そんなことがあったのか…」
ソラノが驚きを隠しきれないようにため息をついた。
あれから俺はまず四人とフェリエに事情を説明することにした。
「ああ、悔しいけど奴には全く歯が立たなかった。力になれなくてすまない」
「そんなことを言ってるのではない!」
俺の言葉にソラノが激昂した。
「どれだけ心配したと思ってるのだ!無事で…無事でよかった!」
そう言って俺にしがみついてきた。
その肩が小さく震えている。
「ああ、悪かった。本当に悪かった」
俺はそんなソラノの髪を優しくなでた。
「…それで、その地母神の家でそのような姿になったのか」
アマーリアがそう言って俺をまじまじと見てきた。
そう言えば自分の姿がどうなったのかまだ確認してなかったっけ。
俺は土中から鏡を作り出して自分の顔を見てみた。
「な、なんじゃこりゃああっ?」
そこにいたのは以前の俺とは全然違う顔だった。
左半分は元のままだけど右目は魔族のように真っ赤になっていて瞳孔も縦に細長くなっている。
髪の生え際には小さな角まで生えていて、口は右側だけ牙がのぞいていた。
「こ、こ、こ、これは……」
「半身だけとはいえ、本当に魔族になっているようだな」
アマーリアが感心したように覗き込んできた。
「どうやら顔だけでなく体の方もそうなっているようだ」
「ちょ、ちょっと待て、シャツをはだけるな!」
「ああ、すまない、ちょっと好奇心に駆られて」
あぶねえ、ほっておいたら丸裸にされるところだった。
ヒトであることを止めるってのは姿かたちまで変わることだったのかよ。
自分が選んだこととはいえ、背筋が冷たくなるのを感じる。
「…俺が怖くはないのか?」
「何がだ?」
俺の言葉に四人はきょとんとした顔をして首を傾げた。
「だ、だって、俺は人間から半分魔族に変わっちまったんだぞ?今までの俺とは全然違うんだ。違和感や恐怖があって当然じゃないのか?」
「それを言ったら私だって魔族と人間のハーフだぞ。むしろ近くなった位ではないか。それにその姿はなかなかかっこいいと思うぞ」
アマーリアが呆れたように言った。
「私も魔族の血が流れてる。テツヤと一緒」
フラムが答えた。
「キリだって魔族だよ!テツヤが魔族になって嬉しいくらいだよ!」
キリも嬉しそうだ。
「お主がどう変わろうと関係ない。テツヤはテツヤだ、怖いわけがあるか」
ソラノが自信満々にそう告げた。
「わ、私も最初はびっくりしたけど、テツヤさんはテツヤさんだと思います!」
フェリエも頷いた。
「みんな…ありがとう」
俺は目がしらが熱くなるのを感じて慌てて目をこすった。
どうもツァーニックにボコボコにされてから心が弱ってるみたいだ。
「そ、それよりも、そっちの方はどうだったんだ?俺が向こうに行ってる間に何かあったか?」
「何かって…テツヤがツァーニックのところに連れていかれてからまだ一日しか経っていないぞ?」
アマーリアが不思議そうな顔をした。
そう言えばアスタルの住む世界では時間の進み方が違うんだっけ。
本当にこっちでは全然時間が経っていないのか。
「あれからテツヤの指示通りレジスタンスの隠れ家へみんなを連れてきたのだ」
「ああ、ありがとう。そうしてもらって助かったよ」
ツァーニックの言葉を思い出して俺はギリ…と歯噛みをした。
あのままあの場所に残っていたら間違いなく奴は部下に襲わせていただろう。
「しかしあのツァーニックというのはかなりの強敵だぞ。なにせ奴は魔晶を無数に持っているらしいからな」
「ああ、それは知っている。奴は一個破壊しても死ななかった」
「しかし九千九百九十九個とはな」
「きゅっ…九千九百九十九!?」
そ、それは初めて知ったぞ。というかそんなにあるのかよ!死なねえわけだよ!
「レジスタンスの話によるとツァーニックは同胞を殺し、その魔晶を自分のものとする存在に変わっているらしい」
「ああ、俺もそのことはアスタルさんから聞いたよ。それにしても九千九百九十九個とはな…」
「どうする?奴の力はあまりに強大だ。対処のしようがあるんだろうか?」
「…ひとまずレジスタンスの話を聞いてみよう。俺の想像が正しかったら何とかなるかもしれない」
最初に気付いたのはアマーリアだった。
俺が転送されたのはどうやらレジスタンスの隠れ家みたいだ。
自分がどこにいるのか瞬時に理解できたのもアスタルに引き出してもらった力のお陰なのだろうか。
そこにはアマーリアたちやドライアドの他にたくさんの吸血族が集まっていた。
みなアマーリアの声に振り向き、驚愕の表情でこっちを見ている。
「…た、ただい」
「「「「テツヤッ!!!!」」」」
ただいま、と言おうとしたらアマーリア、ソラノ、フラム、キリがいきなり俺に飛び込んできた。
「なんでここにいるのだ?」「ツァーニックの所に行ってたのではないのか?」「無事なのか?」「怪我はない?」
口々に言ってきて収拾がつかない。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!今詳しく話すから!」
◆
「そんなことがあったのか…」
ソラノが驚きを隠しきれないようにため息をついた。
あれから俺はまず四人とフェリエに事情を説明することにした。
「ああ、悔しいけど奴には全く歯が立たなかった。力になれなくてすまない」
「そんなことを言ってるのではない!」
俺の言葉にソラノが激昂した。
「どれだけ心配したと思ってるのだ!無事で…無事でよかった!」
そう言って俺にしがみついてきた。
その肩が小さく震えている。
「ああ、悪かった。本当に悪かった」
俺はそんなソラノの髪を優しくなでた。
「…それで、その地母神の家でそのような姿になったのか」
アマーリアがそう言って俺をまじまじと見てきた。
そう言えば自分の姿がどうなったのかまだ確認してなかったっけ。
俺は土中から鏡を作り出して自分の顔を見てみた。
「な、なんじゃこりゃああっ?」
そこにいたのは以前の俺とは全然違う顔だった。
左半分は元のままだけど右目は魔族のように真っ赤になっていて瞳孔も縦に細長くなっている。
髪の生え際には小さな角まで生えていて、口は右側だけ牙がのぞいていた。
「こ、こ、こ、これは……」
「半身だけとはいえ、本当に魔族になっているようだな」
アマーリアが感心したように覗き込んできた。
「どうやら顔だけでなく体の方もそうなっているようだ」
「ちょ、ちょっと待て、シャツをはだけるな!」
「ああ、すまない、ちょっと好奇心に駆られて」
あぶねえ、ほっておいたら丸裸にされるところだった。
ヒトであることを止めるってのは姿かたちまで変わることだったのかよ。
自分が選んだこととはいえ、背筋が冷たくなるのを感じる。
「…俺が怖くはないのか?」
「何がだ?」
俺の言葉に四人はきょとんとした顔をして首を傾げた。
「だ、だって、俺は人間から半分魔族に変わっちまったんだぞ?今までの俺とは全然違うんだ。違和感や恐怖があって当然じゃないのか?」
「それを言ったら私だって魔族と人間のハーフだぞ。むしろ近くなった位ではないか。それにその姿はなかなかかっこいいと思うぞ」
アマーリアが呆れたように言った。
「私も魔族の血が流れてる。テツヤと一緒」
フラムが答えた。
「キリだって魔族だよ!テツヤが魔族になって嬉しいくらいだよ!」
キリも嬉しそうだ。
「お主がどう変わろうと関係ない。テツヤはテツヤだ、怖いわけがあるか」
ソラノが自信満々にそう告げた。
「わ、私も最初はびっくりしたけど、テツヤさんはテツヤさんだと思います!」
フェリエも頷いた。
「みんな…ありがとう」
俺は目がしらが熱くなるのを感じて慌てて目をこすった。
どうもツァーニックにボコボコにされてから心が弱ってるみたいだ。
「そ、それよりも、そっちの方はどうだったんだ?俺が向こうに行ってる間に何かあったか?」
「何かって…テツヤがツァーニックのところに連れていかれてからまだ一日しか経っていないぞ?」
アマーリアが不思議そうな顔をした。
そう言えばアスタルの住む世界では時間の進み方が違うんだっけ。
本当にこっちでは全然時間が経っていないのか。
「あれからテツヤの指示通りレジスタンスの隠れ家へみんなを連れてきたのだ」
「ああ、ありがとう。そうしてもらって助かったよ」
ツァーニックの言葉を思い出して俺はギリ…と歯噛みをした。
あのままあの場所に残っていたら間違いなく奴は部下に襲わせていただろう。
「しかしあのツァーニックというのはかなりの強敵だぞ。なにせ奴は魔晶を無数に持っているらしいからな」
「ああ、それは知っている。奴は一個破壊しても死ななかった」
「しかし九千九百九十九個とはな」
「きゅっ…九千九百九十九!?」
そ、それは初めて知ったぞ。というかそんなにあるのかよ!死なねえわけだよ!
「レジスタンスの話によるとツァーニックは同胞を殺し、その魔晶を自分のものとする存在に変わっているらしい」
「ああ、俺もそのことはアスタルさんから聞いたよ。それにしても九千九百九十九個とはな…」
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