外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人

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ワールフィア再訪

11.亜晶を追ってワールフィアへ

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「ワールフィアに行くのはいいけど、どっちに向かったらいいんだ?」

 トロブの国境沿いで俺は途方に暮れていた。

 ワールフィアに行けばなんとかなるだろうと漫然と考えていたせいで最初の一歩をどうするのか決めかねていたのだ。


「それならばまずは龍人国に行くのがいいだろうな。龍人族は魔族でも歴史ある種族だから何か知っているかもしれない」

「そうか!じゃあまずは龍人国だな、ってなんでリンネ姫がここに?」


 声に驚いて振り向くとそこにはリンネ姫が立っていた。

 普段のドレス姿と違って今は簡素な旅装束に身を包んでいる。


「なんでって私も行くからに決まっておる。後で落ち合うと言ったであろう?」

 リンネ姫がすまし顔で答えてきた。


「後でってそういうことだったのか。俺はてっきりこの旅の後のことかと」

「ふふん、いつもお主らばかり旅をして不公平だからな。たまには私が行くのもいいだろう」

「いいだろうって…大丈夫なのか?まさかセレンさんたちも一緒に行くのか?」

 俺はリンネ姫の後ろに控えている護衛隊を見た。

 セレン率いる姫殿下護衛隊はどんな時であろうとリンネ姫についてくる専属の騎士隊だ。

 でもこれだけの大所帯が移動するとなると秘密にするのは無理なんじゃ…

 しかし護衛隊のみんなは普段と同じ格好で旅の装備もしていない。


「いや、今回この者たちは行かぬ。行くのは私だけだ」

「大丈夫なのか?」

「それはこっちの台詞だ」

 心配して尋ねる俺の胸をリンネ姫が拳で小突いた。


「お主が私を守ってくれるのであろう?それとも無理なのか?」

「いや、無理って訳じゃないけど…」

「ベルトラン帝王と一緒に旅はできても私と一緒にはできない、などとは言わぬよな?」
 そう言ってじろりと横目でこちらを睨んでくる。


 やべえ、ベルトランでの件をまだ覚えていたのか。


 にこやかな笑みを浮かべているが拒否は許さないという圧を感じる。

 そういえば今まで遠出をする時はリンネ姫はいつも城で待っていたんだっけ。

 姫様だから当然なんだけど、本人としては置いてけぼりを食ったように感じていたんだろうか。


「…わかったよ。一緒に行こう。亜晶についてはリンネ姫がいてくれた方が心強いしな」

「そうこなくては!」

 リンネ姫が上機嫌に頷いた。



「テツヤ」

 そこへセレンがやってきて叩き付けるように俺の肩を掴んできた。


「今回は故あって私たちは殿下に同行できない。お主に殿下の命を託す!いいか、その命に替えても殿下をお守りするのだ!」

 言いながら俺の肩を掴む手に力がこもっていく。


「わ、わかった、リンネ姫は俺が守る。だからその手を離してくれ。マジで痛いから!」
「頼んだぞ」

 セレンは手を離すと俺の肩を軽く叩いた。


「もし殿下の身に何かあればその時はわかっているな」

 すれ違いざまに言ったその言葉に俺の顔から音を立てて血の気が引いていく。

 あの言葉の圧は間違いなく本気だ。


「よし、ではまず龍人国に向かうぞ!ワールフィアは初めてなのだ!胸が高鳴るな!」

 俺の心配をよそにリンネ姫が声高らかに宣言した。




    ◆




「よく来てくれたな我が姫、それにテツヤよ!遂に祝言の日が決まったのか!?」

「違います」

 相変わらず威勢のいいラングの言葉を頬を赤らめてアマーリアが否定する。

 俺たちは再び龍人族の城へやってきていた。


「そちらの女子おなごは初めて見かけるな。ただならぬ身分のご息女とお見受けするが」

 ラングがそう言ってリンネ姫を見た。

 流石に龍人族の長だけあって一目でリンネ姫の持つ血統を感じ取ったらしい。


「わたくしはフィルド王国国王ウィゼル・フィルドが娘、リンネ・フィルドと申します。龍人族族長ラング様にはお初にお目にかかり光栄に存じます」

 リンネ姫は旅装束のまま恭しく礼をした。


「ほう、お主が我が姫アマーリアの監督者リンネ姫殿下であったか!優美な挨拶痛み入りる。其方のことはアマーリアからもよく聞かされております。まだうら若いのに立派な姫君であるとか」

「もったいなきお言葉」

「吾輩は龍人族を束ねるラング・ペンドラゴン。アマーリアの身内であれば吾輩の身内も同様、どうか我が家だと思ってくつろいでくれ。さあみんな、姫君を迎える宴の準備だ!」

 ラングが手を叩くとあれよあれよと言う間に宴会の準備が進んでいった。

 酒好きの龍人族だけあって相変わらず手際が良いな。


「ちょ、ちょっと待ってください。私はラング様に聞きたいことが…」

 俺は慌てるリンネ姫の肩に手をやって首を横に振った。


「諦めてくれ。龍人族はまず宴会をしないことには話が始まらないらしいんだ」

「し、しかし…」

「ああなったらもう無理だろ」

 なおも食い下がるリンネ姫に俺は親指で示した。

 既にラングは巨大な皿のような盃に酒をなみなみと注いでいる。


「ささ、リンネ姫殿下も遠慮なく。我が国で造った自慢の酒ですぞ」

「…それではお言葉に甘えまして」

 リンネ姫は軽くため息をつくと席についた。


「それではリンネ姫殿下の来訪を祝して乾杯!」

 こうして以前と同じように唐突に始まった宴会は以前と同じように夜更けまで続いていったのだった。
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