外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人

文字の大きさ
237 / 298
獣人族

25.先代頭領リオイ

しおりを挟む
「私がパンシーラ氏族の先代頭領リオイ・パンシーラじゃ。遠方よりよくぞ来てくださったな、ヒト族の客人よ」

 リオイはそう言って頭を下げて俺たちに席を勧めてきた。

 体の動きはゆっくりだけどその立ち居振る舞いは堂々としていて頭領としての威厳を感じる。



「私の顔に何かついているのかね?」

 自己紹介が終わってぼんやりと見つめていた俺にリオイが尋ねてきた。

「あ、いや、すいません。現頭領の父親と聞いていたからもっと若い人かと想像していたもので…あ、す、すいません!失言でした」

 謝る俺にリオイはいいのですよと言ってカラカラと笑った。

「あれは私が年を取ってからできた息子でしてな。本来ならもう少し大人の獅子人族として成長してから家督を譲りたかったのじゃが、数年前から体の言うことが効かなくなっておってな、やむを得ず頭領を継いだという次第なのじゃ」

 そう言ってリオイはため息をついた。

「もう少し落ち着いてくれるといいのだが…なにぶんまだ若いゆえに頭領としての振る舞いを分かっておらぬようで、グラン殿にもご迷惑をおかけしております」

「まったくだぜ。あいつは一度誰かにガツンとやってもらった方が身のためだぞ」

「返す言葉もございませぬ。まったくあ奴ときたら…」

「ちょ、ちょっと待った。頭領のことは置いておいてとりあえず争いの元になった川を見せてもらえないかな。結局水源の問題が解決するなら争いだってなくなるはず、そうだろ?」

 リオイの愚痴が延々と続きそうだったから話の方向を変えることにした。

「そうさのう、まずは元凶を見てもらうのが一番か。チャイタ、チャイタはおらぬか」

「ここですわ、おじ様」

 軽やかな足音と共に二階から降りてくる足音が聞こえた。

 それは女性の獅子人だった。

 たてがみこそないものの、きりりとしたなかなかの美形だ。


「この娘の名前はチャイタ。ローベンとは幼馴染でな。今はこうして私の身の回りの世話をしてもらっておるのじゃ」

「初めまして、わたくしの名前はチャイタと申します。お見知りおきを」

 チャイタが優雅に挨拶をした。


「チャイタよ、竜車を出してくれるか。この方々をパンシーラ川へ案内したいのだ」








 竜車に乗って向かったのは町から更に外れた荒野だった。

「これがパンシーラ川じゃ」

 リオイが指差した先にあるのは…ほぼ干上がりかけた川床だった。

「これは…思った以上だな…」

 元は広大な川だったのだろうけど、今はか細い水がチョロチョロと流れているだけだ。

 これでは共有するどころか満足に水源にすることすらできそうにない。


「見ての通り、ここ数年の間に水量が激減してしまって我々ですら水に事欠く有様なのじゃよ。エルフ族と共有するどころではないのが現実なのだ」

 地中をスキャンしてみても水脈らしい水脈が見つからない。

 どうやら本当にこの川がこの地域一帯で唯一の水源となっているみたいだ。

「アマーリア、どうにかして川の水を元に戻せないかな?」

「難しいな。この川は他に支流もないようだし水源が枯れると水量を元に戻すことはできなさそうだ」

 アマーリアが厳しそうな顔で答えた。

「…そうか。だとすると水源がどうなっているのかを確かめた方が良いのかな」

 俺は川が流れてくる先に目をやった。

 その遥か向こうに青くかすむ山が見える。

 おそらくこの川の水源はあの山にあるのだろう。


「リオイさん、ちょっと竜車を借りてもいいかな?水源まで行ってみたいんだ」

「そ、それは構わぬが、あの山、寝巴蛇山ねはだやままではかなりあるぞ。竜車と言えども行って帰ってくるのに丸一日はかかるはず」

「ああ、それなら大丈夫。リオイさんとチャイタさんもどう?夕飯までには帰ってこられるはずだからさ」

 俺は走竜から竜車を外すと宙に浮かせた。

「な、なんと!」

「まあ!」

 リオイとチャイタが驚きの声をあげた。

「さあさあ乗った乗った、これならあの山まで一っ飛びだよ」


「こ、これは凄い…長く生きてきたが空を飛ぶ竜車に乗るのは初めてじゃ」

 宙を飛ぶ竜車に乗りながらリオイが感心したように息をついた。


「あ、あなたは一体何者なんですか?見たところ普通のヒト族のようにしか見えないのだけど…」

 チャイタもお化けでも見るようにこちらを見ている。


「俺は土属性使いでね。こういうことは得意なんだ」

「土属性使いにこのようなことが可能だったとは…ワールフィアでもここまでの使い手は見たことがないぞ」


 リオイはそう言ってほっとしたようにため息を吐きだした。


「あなたが話の分かる方で良かった。でなければ我々パンシーラ氏族など翌日の太陽を待たずに討ち倒されていたでしょう」

「おいおいリオイの爺さんよ、そうならないために俺を呼んだんじゃねえのかよ」


 リオイの言葉にグランが牙をむいてきた。


「話をまぜっかえすなって。俺は争いをしないで問題を解決出来たらそれでいいんだからさ」


 そんなことを話しながら竜車は滑るように空を飛び、あっという間に寝巴蛇山ねはだやまへと近づいていった。


「こ、これは…」

 上空から寝巴蛇山ねはだやまを見た俺は驚きで言葉を失った。

 か細い水源だと思っていた寝巴蛇山ねはだやまは中央に満々と水をたたえた湖を抱いていたからだ。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!! 祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。 「よし、とりあえず叩いてみよう!!」 ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。 ※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

美女エルフの異世界道具屋で宝石職人してます

網野ホウ
ファンタジー
小説家になろうで先行投稿してます。 異世界から飛ばされてきた美しいエルフのセレナ=ミッフィール。彼女がその先で出会った人物は、石の力を見分けることが出来る宝石職人。 宝石職人でありながら法具店の店主の役職に就いている彼の力を借りて、一緒に故郷へ帰還できた彼女は彼と一緒に自分の店を思いつく。 セレナや冒険者である客達に振り回されながらも、その力を大いに発揮して宝石職人として活躍していく物語。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

転生ジーニアス ~最強の天才は歴史を変えられるか~

普門院 ひかる
ファンタジー
 ここ神聖帝国に地球から異世界転生してきた天才チートな男がいた。  彼の名はフリードリヒ・エルデ・フォン・ツェーリンゲン。  その前世からしてケンブリッジ大学博士課程主席卒業の天才量子力学者で、無差別級格闘技をも得意とするチートな男だった彼は、転生後も持ち前のチート能力を生かし、剣術などの武術、超能力や魔法を極めると、人外を含む娘たちとハーレム冒険パーティを作り、はては軍人となり成り上がっていく。  そして歴史にも干渉し得る立場となった彼は世界をどうするのか…

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

処理中です...