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ベルトランの災厄
24.地下へ!
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「まったく、もう少し使いやすい男だと思っていたのですがね。まあいいですよ、既に必要な仕込みは終わっていますから、あなたは十分役に立ってくれました」
無残な姿に変わり果てたシセロの亡骸を冷たい目で見下ろしながらバグラヴスがうそぶいた。
「てめえ…」
「こんな小物にベルトランを治められるはずがない、あなた方もそう思うでしょ?」
バグラヴスがこちらを振り返った。
お菓子を一つ床に落としてしまった、程度にしか思っていないような口調だ。
「まあ元々どこかの時点で斬り捨てる予定ではあったのですがね、あなた方のお陰で少し早まってしまいましたよ」
そう言って爬虫類のような眼でこちらをねめつける。
「その責任は取ってもらいましょうかね」
「状況が分かっているのか?責任を取るのはそっちの方だぞ」
俺たちは壁際に立つバグラヴスをぐるりと囲んでいた。
既に全員が臨戦態勢に入っている。
しかしバグラヴスは全く動じていない。
それどころか呆れたように首を振っている。
「あの程度の虫を防がれた程度で私が降参するとでも!?」
バグラヴスの声と共に窓が内側に弾け飛んだ。
同時に真っ黒な煙が部屋になだれ込んでくる。
いや、煙じゃない、これは虫だ!
「くっ、暴風防壁!」
ソラノが俺たちの周囲に風の壁を作り出す。
しかし虫たちは数にものを言わせて圧力をかけてきた。
風に潰されても全く怯むことなく少しずつ距離を詰めてきている。
「発火!」
フラムの詠唱で虫たちが瞬時に炎に包まれる。
ソラノの暴風防壁と合わさり、部屋の中に豪炎の旋風が巻き起こる。
それでも虫たちの攻撃は止まらなかった。
燃える仲間をものともせずに次から次へと部屋の中に入ってくる。
「ちょちょちょ、このままじゃ俺らの方が先にバーベキューになっちまいますよ!」
キツネが青い顔で叫んだ。
確かにキツネの言う通りだ。
二人の魔法では虫の圧力を防ぎきれないどころか魔法による二次災害でこっちの方がピンチになりそうだ。
「フハハハハハ、その程度で我が虫たちを防げるとでも?甘い、あまりにも甘いですよ!」
「このっ!」
ヘルマが剣を構えて切りかかろうとした時、突然床が吹き飛んだ。
「な、なんだ!?」
床から飛び出してきたのは巨大な暴食顎だった。
暴食顎はバグラヴスを守るように俺たちの間に入ってくる。
同時に床に開いた穴からも無数の虫たちが侵入してきた。
「クソッ!このままじゃどうにもならない!一旦退却だ!」
俺は床に穴を開けるとみんなを連れて飛び降りた。
飛び降りながら周りの建材で槍を作ってバグラヴスに投擲する。
しかしそれは巨大な甲虫に阻まれてしまった。
「無駄ですよ。私への攻撃は虫たちが全て防いでくれます」
「くそおおっ」
バグラヴスの高笑いが響く中、俺は床に穴を開け続けてひたすら下へと落ちていった。
◆
辿り着いたのは城の最深部にある地下室だった。
「ここまでくればしばらく時間が稼げるだろう」
降りてくる間に開けた穴は全て閉じてある。バグラヴスが虫を操ると言ってもすぐには来れないはずだ。
「それにしてもここはどこなんで?」
キツネが面白そうに辺りを見渡している。
そこは巨大な倉庫だった。
あたりには巨大な樽や木箱が幾つも積まれている。
「シセロめ、こんなところにも倉庫を隠し持っていたのか」
ヘルマが剣の切っ先で樽の蓋をこじ開けた。
「なんだこれは?」
樽の中には鮮やかな黄色をしたものが詰まっていた。
「これは…硫黄だな」
俺は樽に触れながら周囲をスキャンした。
他の樽や木箱にも様々な鉱物が詰められているみたいだ。
「しかしなんだってこんなにいっぱいあるんだ?」
「シセロは鉱山を経営していた。その関係で鉱物の取引も行っていたようだな」
ヘルマが辺りを見渡しながら呟いた。
「ともかく今はあ奴をどうにかする方法を考えねば。このままここに隠れていても埒が明かぬぞ」
リンネ姫の言う通りまずはバグラヴスを捕まえるのが先決だ。
そしてそのためには奴が操る虫たちをどうにかする必要がある。
「とはいえ奴の使う虫は厄介だぞ。凄まじい物量攻撃だ」
ソラノが腕を組んで唸った。
「あれは…点でも線でも面でもない、いうならば高さと奥行きも持った立体的な攻撃だな」
「確かにあの攻撃は生半可な防御では通じないだろう。しかも虫である故に攻撃の一つ一つが自律的に動くという特性を持っている。あれを防ぎきるのは相当厄介だぞ」
アマーリアが頷いた。
その言葉にみんなが押し黙る。
「相談は終わりましたか?」
そこに突然バグラヴスの声が響いてきた。
「なにっ!?」
声のした方を振り返ると倉庫の隅の暗がりにバグラヴスの顔が浮かんでいた。
いや、それは無数に集まった虫たちが作り出した像だ。
声は虫の羽音が出しているのだ。
「言ったでしょう、無駄だと。虫たちはどこにでも潜んでいる。あなた方に逃げ場などありませんよ」
バグラヴスの顔が不気味に歪んだ。
無残な姿に変わり果てたシセロの亡骸を冷たい目で見下ろしながらバグラヴスがうそぶいた。
「てめえ…」
「こんな小物にベルトランを治められるはずがない、あなた方もそう思うでしょ?」
バグラヴスがこちらを振り返った。
お菓子を一つ床に落としてしまった、程度にしか思っていないような口調だ。
「まあ元々どこかの時点で斬り捨てる予定ではあったのですがね、あなた方のお陰で少し早まってしまいましたよ」
そう言って爬虫類のような眼でこちらをねめつける。
「その責任は取ってもらいましょうかね」
「状況が分かっているのか?責任を取るのはそっちの方だぞ」
俺たちは壁際に立つバグラヴスをぐるりと囲んでいた。
既に全員が臨戦態勢に入っている。
しかしバグラヴスは全く動じていない。
それどころか呆れたように首を振っている。
「あの程度の虫を防がれた程度で私が降参するとでも!?」
バグラヴスの声と共に窓が内側に弾け飛んだ。
同時に真っ黒な煙が部屋になだれ込んでくる。
いや、煙じゃない、これは虫だ!
「くっ、暴風防壁!」
ソラノが俺たちの周囲に風の壁を作り出す。
しかし虫たちは数にものを言わせて圧力をかけてきた。
風に潰されても全く怯むことなく少しずつ距離を詰めてきている。
「発火!」
フラムの詠唱で虫たちが瞬時に炎に包まれる。
ソラノの暴風防壁と合わさり、部屋の中に豪炎の旋風が巻き起こる。
それでも虫たちの攻撃は止まらなかった。
燃える仲間をものともせずに次から次へと部屋の中に入ってくる。
「ちょちょちょ、このままじゃ俺らの方が先にバーベキューになっちまいますよ!」
キツネが青い顔で叫んだ。
確かにキツネの言う通りだ。
二人の魔法では虫の圧力を防ぎきれないどころか魔法による二次災害でこっちの方がピンチになりそうだ。
「フハハハハハ、その程度で我が虫たちを防げるとでも?甘い、あまりにも甘いですよ!」
「このっ!」
ヘルマが剣を構えて切りかかろうとした時、突然床が吹き飛んだ。
「な、なんだ!?」
床から飛び出してきたのは巨大な暴食顎だった。
暴食顎はバグラヴスを守るように俺たちの間に入ってくる。
同時に床に開いた穴からも無数の虫たちが侵入してきた。
「クソッ!このままじゃどうにもならない!一旦退却だ!」
俺は床に穴を開けるとみんなを連れて飛び降りた。
飛び降りながら周りの建材で槍を作ってバグラヴスに投擲する。
しかしそれは巨大な甲虫に阻まれてしまった。
「無駄ですよ。私への攻撃は虫たちが全て防いでくれます」
「くそおおっ」
バグラヴスの高笑いが響く中、俺は床に穴を開け続けてひたすら下へと落ちていった。
◆
辿り着いたのは城の最深部にある地下室だった。
「ここまでくればしばらく時間が稼げるだろう」
降りてくる間に開けた穴は全て閉じてある。バグラヴスが虫を操ると言ってもすぐには来れないはずだ。
「それにしてもここはどこなんで?」
キツネが面白そうに辺りを見渡している。
そこは巨大な倉庫だった。
あたりには巨大な樽や木箱が幾つも積まれている。
「シセロめ、こんなところにも倉庫を隠し持っていたのか」
ヘルマが剣の切っ先で樽の蓋をこじ開けた。
「なんだこれは?」
樽の中には鮮やかな黄色をしたものが詰まっていた。
「これは…硫黄だな」
俺は樽に触れながら周囲をスキャンした。
他の樽や木箱にも様々な鉱物が詰められているみたいだ。
「しかしなんだってこんなにいっぱいあるんだ?」
「シセロは鉱山を経営していた。その関係で鉱物の取引も行っていたようだな」
ヘルマが辺りを見渡しながら呟いた。
「ともかく今はあ奴をどうにかする方法を考えねば。このままここに隠れていても埒が明かぬぞ」
リンネ姫の言う通りまずはバグラヴスを捕まえるのが先決だ。
そしてそのためには奴が操る虫たちをどうにかする必要がある。
「とはいえ奴の使う虫は厄介だぞ。凄まじい物量攻撃だ」
ソラノが腕を組んで唸った。
「あれは…点でも線でも面でもない、いうならば高さと奥行きも持った立体的な攻撃だな」
「確かにあの攻撃は生半可な防御では通じないだろう。しかも虫である故に攻撃の一つ一つが自律的に動くという特性を持っている。あれを防ぎきるのは相当厄介だぞ」
アマーリアが頷いた。
その言葉にみんなが押し黙る。
「相談は終わりましたか?」
そこに突然バグラヴスの声が響いてきた。
「なにっ!?」
声のした方を振り返ると倉庫の隅の暗がりにバグラヴスの顔が浮かんでいた。
いや、それは無数に集まった虫たちが作り出した像だ。
声は虫の羽音が出しているのだ。
「言ったでしょう、無駄だと。虫たちはどこにでも潜んでいる。あなた方に逃げ場などありませんよ」
バグラヴスの顔が不気味に歪んだ。
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