7 / 40
07
しおりを挟む
ホセは愛おしい目をしてペンダントを見つめ、出会った時の事を思い出していた。
このペンダントは、ホセが出会った時に贈ったものだ。
――俺の命の恩人。
――何よりも愛おしい人。
自分の妃になって欲しいと思った人に贈った、大切な証。
「君を虐げていたものは、もう居ない。存分に才能を発揮しても良いんだよ」
ペンダントに口づけながらホセは言うが、その言葉にパウラは引きつった表情を浮かべた。
……どうあがいても王妃の仕事をやらせようというのか、と。
「で……でも、ホセ様! 私はこんな状態ですし……」
「今すぐでなくても良い。パウラが王妃となったのだから、今以上に国は良くなるだろう」
「し……しかし! あ、そうです! 姉を……姉を探して下さい! 私がこんな状態ですし、今までも姉は私の案を奪って執務をしておりましたわ! やり方は理解していらっしゃるのですもの! ずっと仕えてもらえば良いのです!」
パウラの言葉に、ホセは怪訝な表情を浮かべて顔を上げた。
「パウラ、君がアイツに虐げられていた事を思えば、そんな事は許せる筈がない。大体、アイツの痕跡すら嫌だと言ったのはパウラだろう?」
そう、パウラはずっとラウラに虐げられていたと言っていた。
ホセに思いを寄せられた嫉妬から婚約を奪い、更には両親の目を盗んで暴力まで振るわれていたそうだ。
「そうですけれど、ホセ様はちゃんと分かってくれていますし、閉じ込めて執務だけ任せてしまえば良いと思うのです……私も自分の体調が大事ですけれど、民の事も心配ですもの……」
パウラは目に涙を浮かべながら、ホセを見上げて懇願する。
……確かに、パウラが指示と案を出して、後はラウラがやってしまえば良い話ではある。
世継ぎを無事に産むまで……否、産んだ後も面倒事は全てラウラに押し付けるのもありか。
部屋は貴族牢辺りで良いだろう。
そこまで考えて、ホセは頷いた。ラウラを閉じ込めて、パウラと物理的に会えないようにしてしまえば良いだけだ。
「それもそうだな。探すように伝える」
「ありがとうございます! ホセ様!」
パウラはホセに抱き着き、そしてそのまま二人はシーツの中へと潜り込む。
お互いの体温を感じながら……。
◇◆◇
国中がお祝いモードとなる、王太子の婚姻式。
十六にして、ホセとラウラの婚姻は結ばれたのだが、ホセは終始不機嫌な顔を崩す事はなかった。
折角の祝い事、国王と王妃も息子の態度に言いたい事はあったが、水を差すような事も出来ず、ただ静観した。
……それは参列した貴族達も同じで、ただならぬ様子に一抹の不安が芽生えていた。
このペンダントは、ホセが出会った時に贈ったものだ。
――俺の命の恩人。
――何よりも愛おしい人。
自分の妃になって欲しいと思った人に贈った、大切な証。
「君を虐げていたものは、もう居ない。存分に才能を発揮しても良いんだよ」
ペンダントに口づけながらホセは言うが、その言葉にパウラは引きつった表情を浮かべた。
……どうあがいても王妃の仕事をやらせようというのか、と。
「で……でも、ホセ様! 私はこんな状態ですし……」
「今すぐでなくても良い。パウラが王妃となったのだから、今以上に国は良くなるだろう」
「し……しかし! あ、そうです! 姉を……姉を探して下さい! 私がこんな状態ですし、今までも姉は私の案を奪って執務をしておりましたわ! やり方は理解していらっしゃるのですもの! ずっと仕えてもらえば良いのです!」
パウラの言葉に、ホセは怪訝な表情を浮かべて顔を上げた。
「パウラ、君がアイツに虐げられていた事を思えば、そんな事は許せる筈がない。大体、アイツの痕跡すら嫌だと言ったのはパウラだろう?」
そう、パウラはずっとラウラに虐げられていたと言っていた。
ホセに思いを寄せられた嫉妬から婚約を奪い、更には両親の目を盗んで暴力まで振るわれていたそうだ。
「そうですけれど、ホセ様はちゃんと分かってくれていますし、閉じ込めて執務だけ任せてしまえば良いと思うのです……私も自分の体調が大事ですけれど、民の事も心配ですもの……」
パウラは目に涙を浮かべながら、ホセを見上げて懇願する。
……確かに、パウラが指示と案を出して、後はラウラがやってしまえば良い話ではある。
世継ぎを無事に産むまで……否、産んだ後も面倒事は全てラウラに押し付けるのもありか。
部屋は貴族牢辺りで良いだろう。
そこまで考えて、ホセは頷いた。ラウラを閉じ込めて、パウラと物理的に会えないようにしてしまえば良いだけだ。
「それもそうだな。探すように伝える」
「ありがとうございます! ホセ様!」
パウラはホセに抱き着き、そしてそのまま二人はシーツの中へと潜り込む。
お互いの体温を感じながら……。
◇◆◇
国中がお祝いモードとなる、王太子の婚姻式。
十六にして、ホセとラウラの婚姻は結ばれたのだが、ホセは終始不機嫌な顔を崩す事はなかった。
折角の祝い事、国王と王妃も息子の態度に言いたい事はあったが、水を差すような事も出来ず、ただ静観した。
……それは参列した貴族達も同じで、ただならぬ様子に一抹の不安が芽生えていた。
863
あなたにおすすめの小説
婚約破棄? 結構ですわ。私は領地を立て直します
鍛高譚
恋愛
――婚約破棄? むしろ好都合ですわ!
王太子エドワード殿下の婚約者として完璧な淑女教育を受けてきた伯爵令嬢ルシア。
だがある日、殿下は彼女を公衆の面前で一方的に婚約破棄し、新たな婚約者として平民出身の令嬢レイラを選んだ。
「あなたのような冷たい女より、愛に生きるレイラのほうがふさわしい!」
突然の屈辱に、一時は落ち込むルシアだったが――すぐに吹っ切れる。
「王太子妃になるための苦労をしなくて済むなんて、むしろ幸せでは?」
伯爵家の一員として新たな人生を歩むことを決意したルシアは、父の領地の改革に取り組みはじめる。
不作にあえぐ村を助け、農業改革や商業振興に奔走するうちに、村人たちから慕われるように。
そして、彼女の努力はやがて王宮にまで届き――
「君のような女性こそ、王国に必要だ。」
そんな彼女のもとを訪れたのは、まさかの第二王子・アルベルト殿下!?
婚約破棄で人生が終わるどころか、むしろ最高の人生が始まった!?
元婚約者が没落する一方、ルシアは国を動かす存在へと成長していく――!
陛下を捨てた理由
甘糖むい
恋愛
美しく才能あふれる侯爵令嬢ジェニエルは、幼い頃から王子セオドールの婚約者として約束され、完璧な王妃教育を受けてきた。20歳で結婚した二人だったが、3年経っても子供に恵まれず、彼女には「問題がある」という噂が広がりはじめる始末。
そんな中、セオドールが「オリヴィア」という女性を王宮に連れてきたことで、夫婦の関係は一変し始める。
※改定、追加や修正を予告なくする場合がございます。ご了承ください。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
年に一度の旦那様
五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして…
しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…
捨てられた令嬢と、選ばれなかった未来
鍛高譚
恋愛
「君とは釣り合わない。だから、僕は王女殿下を選ぶ」
婚約者アルバート・ロンズデールに冷たく告げられた瞬間、エミリア・ウィンスレットの人生は暗転した。
王都一の名門公爵令嬢として慎ましくも誠実に彼を支えてきたというのに、待っていたのは無慈悲な婚約破棄――しかも相手は王女クラリッサ。
アルバートと王女の華やかな婚約発表の裏で、エミリアは社交界から冷遇され、"捨てられた哀れな令嬢"と嘲笑される日々が始まる。
だが、彼女は決して屈しない。
「ならば、貴方たちが後悔するような未来を作るわ」
そう決意したエミリアは、ある人物から手を差し伸べられる。
――それは、冷静沈着にして王国の正統な後継者、皇太子アレクシス・フォルベルト。
彼は告げる。「私と共に来い。……君の聡明さと誇りが、この国には必要だ」
好きでした、婚約破棄を受け入れます
たぬきち25番
恋愛
シャルロッテ子爵令嬢には、幼い頃から愛し合っている婚約者がいた。優しくて自分を大切にしてくれる婚約者のハンス。彼と結婚できる幸せな未来を、心待ちにして努力していた。ところがそんな未来に暗雲が立ち込める。永遠の愛を信じて、傷つき、涙するシャルロッテの運命はいかに……?
※十章を改稿しました。エンディングが変わりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる