恋愛短編まとめ(異) ②

よしゆき

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婚約者をネタにしたBL漫画を婚約者に読まれた

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 BL漫画を描くのが好きな腐女子が異世界の貴族の令嬢に転生し、婚約者である王太子をネタにしたBL漫画を描いたらそれを本人に読まれてしまった話。




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 ユーリアは貴族の令嬢だ。幼い頃に王太子の婚約者に選ばれ、王太子妃として相応しくあるべく徹底的にしつけられた。マナーに語学、ダンス、あらゆる教養を身につけさせられた。
 そんなユーリアだが、中身は平凡な腐女子でしかなかった。
 というのも、ユーリアは前世の記憶を持って産まれてきたのだ。
 前世では平凡なOLだった。昼間は事務員として働き、趣味でBL漫画を描きまくっていた。サイトに投稿したり、同人誌も作っていた。
 繊細なタッチなのにエロ描写はエグくてそのギャップがいいと、結構評判だった。男性器の描き込みがえげつないと褒められていた。
 漫画はあくまで趣味の範囲で、とにかく自分の描きたいものだけを描き散らかしていた。漫画やアニメの二次創作だったり、オリジナル作品も描いていた。
 描きたいものを思い付くと、描きたいという欲が抑えられなくなる。しかし平日は仕事があるので、主に休日に描いていた。休みの日は朝から晩まで一日中机に向かっている事も多かった。
 それでも足りない時は、睡眠時間を削ってでも描き続けた。眠気も食欲も感じないほど、漫画を描くのが楽しかった。
 けれど、そんな生活を続ければ当然体に負担がかかる。毎日寝不足で、足元もおぼつかないほどフラフラになってしまった。
 階段から足を踏み外し、転がり落ちて頭を打って命を落とした。
 そしてこの世界に産まれてきたのだ。
 前世とは全く違う世界。スマホもテレビもない。何よりショックだったのは、漫画がない事だった。小説はあるが、BLなんてジャンルも存在しない。
 BLをこよなく愛し、BL漫画を描く事を生き甲斐としていた身としては、あまりにも酷な世界だった。
 勝手に王太子の婚約者にされ、毎日興味もないダンスを踊らされ、食事をするにもマナーに気を付けなければならないし、楽しい事など何もない。
 常に誰かが傍にいて気も休まらず、ストレスが溜まっていく一方だった。
 そんなユーリアの唯一の癒しが、婚約者であるハインツの存在だ。彼が、というより、彼と彼の従者のクルトとセットでだ。
 とにかく二人とも顔がいい。
 ハインツはキリッとして、切れ長の双眸が冷たく近寄りがたい印象を与える。
 対してクルトは垂れ目でのほほんとした穏やかな雰囲気を纏っている。
 この二人をカップリングに妄想をするのが、ユーリアの楽しみだった。
 しかし妄想するだけでは足りない。彼らをネタにエロ漫画を描きたい。
 描こうと思えば描ける。紙とペンさえあれば。
 だがしかし、ユーリアにプライバシーなどほぼないに等しい。こっそり描いたとしても、それが誰かの目に入ってしまう可能性はとても高い。
 王太子の婚約者である貴族の令嬢が無修正ドエロBL漫画を描いているなんてバレたら大問題だ。しかも王太子とその従者をネタにしているなんて、それはもう大変な事になるだろう。
 だからユーリアは必死に耐えた。毎日脳内でハインツとクルトを絡ませながら、描きたい欲求を抑え続けた。
 描きたいものがあるのに描けないという状況は、ユーリアに耐え難いストレスを与えた。
 チンコが描きたい。男同士の濃厚なエロ漫画が描きたい。あんな体位やこんな体位で絡み合う美形男子を描きたい。
 ただただ描きたい欲を募らせるだけだった。
 しかし、遂にチャンスがやってきた。
 貴族が通う学園に入学する年齢になったのだ。学園は全寮制。一人部屋。使用人達が世話を焼きに部屋に入ってくる事もない。
 ユーリアは心の中で踊り狂うほど歓喜した。
 十六年間我慢し続けた。でも漸く描けるのだ。チンコが。美形男子達のまぐわいが。ドエロBL漫画が。
 もう頭の中はそれでいっぱいだった。
 そんな状態で入学式を迎え、ユーリアは晴れて学園の生徒になった。
 入学してすぐは色々と慌ただしく、漫画を描く余裕はなかった。
 環境にも慣れ落ち着いた頃、ユーリアは今日から漫画を描きまくってやるという決意を抱き登校した。
 授業を受けながらも、頭の片隅では常に漫画の事を考えていた。
 昼休み、婚約者のハインツと過ごす時間も、彼と会話をしながらもちろん妄想している。
 ユーリアの正面の席に座るハインツ。そして彼の後ろにはクルトの姿がある。
 こうして彼らのツーショットを見ているだけで、漫画の構想が次々と浮かんでくるのだ。
 ハインツはクールで男らしい容姿をしている。バリタチ、と見せかせて彼は総受けなのだ。ユーリアの頭の中では。
 完璧人間の彼だが、短小クリちんぽの持ち主で、実はそれがコンプレックスなのだ。というのが、ユーリアの妄想だ。
 そして彼の従者のクルトはデカマラの持ち主だ。甘く優しげな風貌だけれど、セックスは激しく相手を攻め立てる。ハインツを快感で泣かせて興奮するクルト。
 本人達を目の前に、ユーリアの頭の中はそんな妄想でいっぱいだ。
 早く。早くこの二人のドエロ漫画が描きたい。

「ユーリア、学園の生活はどうだ?」
「はい。慣れない事も多くて大変ですが、新鮮でとても楽しいです」
「そうか。もし何か困った事があれば、すぐに私に言うといい」
「ありがとうございます、ハインツ殿下」

 本当に、これから彼らをネタにしたBL漫画を描けるのだと思うと嬉しくて嬉しくて堪らない。そんな感情がモロに表情に出て、ユーリアは輝くような満面の笑みをハインツに向けた。
 まさか婚約者の脳内でそんな妄想が繰り広げられているだなんて、彼は想像もしていないだろう。
 ユーリアの屈託のない笑顔につられるように、ハインツも小さく微笑んだ。
 昼休みが終わり、午後の授業を受ける。
 そして放課後になるとユーリアは購買に行き、大量の紙を購入した。
 ずっしりとした紙の束を受け取り寮の部屋へ向かおうとすると、背後から声をかけられた。

「ユーリア様。俺がお持ちします」
「あ、ありがとう、ヴォルフ」

 ユーリアの手から自然な動作で紙の束を取り上げたのは、従者のヴォルフだ。ユーリアの世話係として一緒に学園に入学した。
 無口で表情が変わらないので無愛想に見られがちな彼だが、よく気がつき真面目で思いやりのある人間だ。ユーリアは子供の頃から一緒にいるので、彼の事はよくわかっている。彼が無表情でも全く気にしない。
 華やかさはないが、彼もとびきりの美形だ。だから彼も、しっかりユーリアの妄想の餌食になっている。
 イチオシはクルハイだが、ヴォルハイもいい。というかハインツは誰と絡めても美味しい。ヴォルフとハインツのカップリングでも描きたいエロが沢山ある。

「ところでユーリア様、こんなに大量の紙を何に使うんです?」
「勉強するのよ」

 ヴォルフの問いに、ユーリアは息をするように自然に嘘をつく。

「私はとにかく書いて覚えるタイプなの」
「そうですか。あまり無理はなさいませんように」

 まさか仕えている貴族の令嬢が自分をネタにドエロ漫画を描こうとしているなんて思いもしていないだろう。ヴォルフは特に疑問も抱かず女子寮の前まで紙を運んでくれた。
 ユーリアは部屋に入り、鍵をかける。制服から部屋着へと着替え、早速机に向かった。
 真っ白な紙に、流れるようにペンを滑らせていく。
 ユーリアとして産まれてから漫画を描くなんてはじめてだったが、長いブランクなど感じないくらいスラスラと描けた。
 そして描きはじめたら楽しくて楽しくて堪らない。絶えずペンを走らせ妄想を漫画にしていく。

『ふふ……可愛いおちんぽですね、ハインツ様』
『なっ、は、恥ずかしい事を言うな、クルト!』
『褒めているんですよ、とても愛らしいクリちんぽだと』
『く、くりっ……!? へ、変な呼び方をするなぁ……っ』

 クルトにいやらしく辱しめられ、屈辱と興奮に涙を浮かべ顔を真っ赤にするハインツ。

「ぐふっ……ぐふふっ……堪んないぜ、クルハイ最高……!!」

 ユーリアは不気味な笑い声を漏らしながら描き進める。顔はとても人には見せられないほどににやけていた。
 フェラされてよがりまくるハインツ。穏やかな顔に丁寧な口調で容赦なくハインツを快楽攻めにするクルト。肉のぶつかり合う音が響くほどの激しいまぐわい。様々な体位で二人はセックスする。
 そんなドエロBL漫画を時間も忘れ描き続けた。
 気づいたら、窓の外が明るくなっていた。

「はっ……しまった……!!」

 最低でも一時間は睡眠をとろうと思っていたのに、もう寝ている時間はない。
 ユーリアは漸くペンを置く。何時間も描き続けて、今更手の疲れを感じた。描いている時は、疲れも空腹も眠気も何も感じず、ただただ楽しくて仕方がなかった。
 貴族が通う学園の寮だけあって、それぞれの部屋にシャワーが完備されている。ユーリアは急いでシャワーを浴び、制服に着替えて食堂へ向かった。
 一睡もしていないが、漫画を描けた喜びと興奮で眠気はなかった。
 食事を済ませ、部屋に戻って準備をし女子寮を出た。待っていたヴォルフと挨拶を交わし、一緒に学園に向かう。
 まだまだ満足はしていないが、それでも描きたかった漫画を漸く描けた事でユーリアの心は浮き立っていた。
 描きたい。もっともっと描きたい。
 再び描く楽しみを得られた反動で、漫画を描きたいという欲が更に膨れ上がる。
 この学園はネタの宝庫だ。
 チャラい先輩に、堅物教師、オラオラ系の先輩もいれば、初心な熱血教師もいる。彼らとハインツもねっとり絡ませたい。
 一対一でガッツリエッチをさせるのもいいが、複数プレイも描きたい。もちろんハインツが総受けだ。
 次から次へと描きたいものが溢れてくる。構想が止まらない。
 これもハインツが完璧で理想的な受けキャラだからだ。彼のお陰でユーリアの心は潤い続ける。
 ハインツに感謝しながら、朝から夕方まで学園で過ごしそれ以外の時間は自室で漫画を描き続けるという日々を送った。
 楽しくて充実した毎日。しかし寝不足が続いていて健康的にはよろしくない。
 前世も寝不足が原因で命を落とす事になってしまったのだ。気を付けなければならないという事は充分わかっているのだが、どうしても描きはじめると止まらなくなってしまう。
 描きたいものがあると、描ききらなければ気が済まないのだ。
 どれだけ体に負担がかかっても、漫画を描くという行為が苦になる事がない。だからついつい無理をしてしまう。
 ハインツに恥ずかしいコスプレをさせたり、媚薬を使ったプレイに、複数人に無理やり凌辱されながら感じちゃうやつ。
 全てに共通しているのが、ハインツが受けで短小クリちんぽで、他のキャラは全員攻めで巨根。そこだけは変えず、あらゆるシチュエーションのエロ漫画を描きまくった。
 エロ重視の漫画ばかり描いていると、今度はストーリー重視の純愛ラブエッチが描きたくなった。
 今の状況を漫画にしたらどうだろうか。自分を当て馬キャラとして登場させるのだ。
 ハインツとクルトは想い合っているが、王太子とその従者という立場から自分の気持ちを押し殺してきた。
 そしてハインツは好きでもないユーリアを無理やり婚約者にされてしまうのだ。
 ユーリアはめちゃくちゃ性格の悪いキャラにしてやろう。ワガママで横暴で思いやりのない権力を笠に着てやりたい放題のどうしようもないクズ。いわば悪役令嬢だ。
 ハインツはクルトが好きだ。こんな女と結婚なんてしたくない。けれど彼は王太子。私情で婚約を破棄する事はできない。
 そしてユーリアはハインツとクルトが両思いな事に気づく。もし万が一彼らが結ばれたら、自分は王太子妃になれなくなってしまう。
 権力で威張り散らすのが大好きなユーリアは絶対にハインツと結婚したい。
 だからユーリアはハインツに薬を盛って動けなくし、彼を逆レイプしようとした。既成事実を作ってしまえば、ハインツはユーリアと結婚せざるを得ない。
 王太子妃の座を確実なものにするためにユーリアは手段を選ばなかった。
 そこへ、クルトが助けに来る。ハインツの純潔は守られた。
 王太子への強姦未遂に、これまでの悪行の数々がクルトによって暴かれ、ユーリアは断罪された。
 ユーリアとの婚約は破棄され、ハインツは自分の気持ちをクルトに伝える。そしてクルトも。晴れて二人は結ばれた。
 それから繰り広げられる両思いイチャラブエッチ。クルトはハインツのクリちんぽを可愛がり、ハインツはクルトのデカマラを後孔でご奉仕する。初々しい二人による、幸せに満ちた愛の溢れるセックス。

「ぐふっ……ぐふふふふふ……はっ」

 自分の気持ち悪い笑い声で目を覚ます。
 いつの間にか机に突っ伏して眠ってしまっていたようだ。
 ユーリアは時計を見て青ざめた。後三十分で寮を出なければならない時間だった。
 手早くシャワーを済ませ、急いで食堂へ向かう。サンドイッチを詰め込み、部屋へ戻って鞄を手に取る。
 寮を出ると、ヴォルフが待っていた。

「おはようございます。遅かったですね、ユーリア様。何かありましたか?」
「いいえ、ごめんなさい。ちょっと寝坊してしまって……」

 ユーリアを見つめるヴォルフの眉が僅かに顰められる。

「ユーリア様。顔色が悪いようですが……ひょっとして体調が優れないのでは?」
「大丈夫よ、ただの寝不足だから」
「寝不足……ですか?」
「ええ。その、勉強していて……」
「ユーリア様、勉強も大事ですが無理をしてはいけません」
「そうね、ごめんなさい。今日は早く寝るわ」

 それは嘘ではなく本心だ。連日寝不足が続いている。さすがに寝ないとまずい。
 頭がボーッとして、足元も覚束ない。自分がきちんと歩けているのかもよくわからない。
 ヴォルフと学園に向かう途中、ハインツに声をかけられた。彼の後ろにはもちろんクルトもいる。

「おはようございます、クリちん……」

 ハインツに向かってクリちんぽ殿下と呼びそうになり、ユーリアは慌てて口を噤んだ。
 ハインツは怪訝そうな顔をする。

「ユーリア、今なんと?」
「いいえ! ハインツ殿下とお呼びしようとしてうまく口が回らず申し訳ございません!」
「……そうか」

 ここ何日も漫画を描き続け、頭の中で何度も何度もハインツをクリちんぽ扱いしていたせいでハインツ=クリちんぽという認識になってしまっている。
 クルトの事はデカマラ様と呼んでしまいそうだ。
 寝不足で頭が働かず、妄想と現実がごっちゃになっている。
 これはまずい。王太子をクリちんぽと呼んでしまうなんて、うっかりでは済まされない。
 冷や汗をかくユーリアを、ハインツはじっと見つめる。

「ところでユーリア、顔色が良くないようだが。具合が悪いのではないか?」

 ハインツにも指摘されてしまう。時間がなくて身支度も手早く済ませてしまったので自分では気づかなかったが、どうやら酷い顔色をしているようだ。

「ご心配ありがとうございます、ハインツ殿下。少し寝不足なだけですので、大丈夫です」
「だが……」
「さあ、早く学園へ……」

 学園に向かおうとぐるりと方向転換を行ったら、頭の中がぐわんと揺れるような感覚がした。
 あ……と思った時にはユーリアの体は大きく傾いていた。

「ユーリア……!?」

 名前を呼ぶ声が響く。
 意識を保っていられず、ユーリアはその場に倒れた。






 ユーリアはふと目を覚ました。
 ぼうっと天井を見つめながら、自分が学園に向かう途中で倒れた事を思い出す。
 ここは寮の自室だ。ユーリアはベッドに寝かされていた。
 枕元の時計を見ると昼を過ぎていた。朝に倒れて、それからぐっすり眠ってしまったようだ。随分頭がすっきりしている。
 意識を失ったのが普通の平坦な道にいた時でよかった。もし階段だったら前世と同じように命を落としていたかもしれない。
 睡眠不足によってどんな危険が引き起こされるかは誰よりもわかっていたはずなのに、漫画を描きたいという欲が勝ってしまった。
 これからはちゃんと睡眠はとらなくては、と反省した。

「目が覚めたのか」
「っ……!?」

 突然声をかけられ、すっかり一人だと思い込んでいたユーリアはギョッとする。
 声の主はハインツだった。彼は椅子に座り机に向かっている。

「────~~~~~~!?」

 ユーリアは声にならない悲鳴を上げた。
 机の上にはユーリアの描き上げた漫画が出しっぱなしになっている。誰に読ませるわけでもない、自分が描きたいというだけで描いた漫画だ。当然性器に修正など入れず剥き出しのままだ。
 その無修正BLドエロ漫画をハインツが読んでいる。漫画が存在しない世界だが、セリフはこの世界の言葉で書いているのだから読む事は可能だ。そして思い切りハインツやクルトやヴォルフの名前をキャラに呼ばせている。

「っ、っ、……っ!!」

 ハクハクと口を開閉するが、何を言えばいいのか。言うべき言葉など何も思い付かない。
 だらだらと冷や汗が全身を伝う。

「これは君が描いたのか、ユーリア?」
「はっ……ぁ、う……っ」

 違います、なんてすぐにバレる嘘をついてもどうにもならない。

「ここに描いている人物は私がモデルなのか?」
「えっ……いや、その……っ」
「色んな男共に『クリちんぽ』と性器を辱しめられ、快楽に喘いでいるのは私なのか?」
「ひっ……う、えっと……」

 ハインツの声は淡々としていて、感情がわからない。

「ユーリアと思われる人物も出てくるが、婚約者であるはずの君が悪役のように扱われ婚約を破棄されているな」
「は……はあ……」
「ユーリア。これは君の願望なのか?」
「へっ、あっ、いえ、決してそのような事は……っ」

 ハインツはゆらりと立ち上がる。彼からどす黒いオーラが立ち上っているように見えた。

「君は私の婚約者としての自覚が足りないようだ」

 こちらを振り返ったハインツはうっすらと笑みを浮かべていた。それはとてもとても怖い笑顔だった。

「どうやら君にはきちんとわからせなくてはならないようだな」

 ゆっくりと近づいてくるハインツ。
 本能的に逃げ出したくなったけれど、逃げたら更に悲惨な目に遭いそうだ。
 そもそも逃げるなんて無理なのだろうと、ハインツの笑顔を見つめながらそう悟った。





「ひっあっあっ、あ~~~~っ」

 室内にユーリアの甲高い嬌声が響き渡る。ぐちゅっぐちゅっという卑猥な水音とベッドの軋む音がそれに重なる。

「どうだ、ユーリア? 私のクリちんぽは?」
「んぁあっ、ちがっ、クリちんぽ、じゃないぃっ、あひっんんっ、おっき、しゅぎてぇっ、ああぁっ、おかひくなるぅっ」

 全裸に剥かれたユーリアに、同じく全裸になったハインツが覆い被さり激しく腰を揺する。ユーリアの膣穴には彼の陰茎がしっかりと嵌め込まれていた。
 妄想の中で散々クリちんぽ扱いしていた彼の性器を実際に目にした時、ユーリアはヒッと息を呑んだ。ビキビキに反り返ったそれは凶器と言っていいほどの巨根だったのだ。
 怯えるユーリアの蜜口をたっぷり時間をかけて指で解し、彼はそれを挿入した。
 あまりの大きさに圧迫感は凄まじく、しかししつこく丁寧に慣らされた膣穴はすぐに快感を拾いはじめた。
 抽送を繰り返されれば、ユーリアの口から漏れる声は快楽に濡れていった。胎内を亀頭でごりごりと擦られ、背中を仰け反らせ甘い嬌声を上げる。
 そして身悶えるユーリアを、ハインツは容赦なく快感で攻め立てる。

「何を言っているんだ? 私のものをクリちんぽと表現していたのは君だろう? うん? 私のものでは小さすぎて、君を満足させるには何度も抱いてやらなくてはならないな」
「んひぃっ、あぁっ、そんな、むりぃっ、んあっあっ、ごめんなしゃ、ああぁっ、クリちんぽじゃないれすぅっ、あっあっ、そこぉっ、擦られたらぁっ、いくっいくっ、~~~~っ、あっ、ひぃんっ、いくのとまらにゃっ、あぁ~~っ」

 敏感な箇所を執拗に擦られ、ユーリアは絶頂を繰り返す。

「ごめ、なさぁっ、あぁっんっ、ちぃしゃくないぃっ、んっんっあ~~っ、ハインツれんかのおちんぽぉっ、ふとくてぇ、ながくて、んあっ、おっきぃれすぅっ」
「私のもので満足できそうか?」
「はひぃっ、ハインツれんかのぉっ、おちんぽ、おっきくて、ひっあっ、おまんこいっぱいこしゅれてぇっ、あぁっあっ、きもちよくて、しゅごいれすっ、んあぁっ、ひぅんんっ」
「それはよかった」
「ひはぁああっ」

 ずんっと強く内奥を貫かれ、快感に身をくねらせる。

「ひっ、お、おくまれっ、きてるっ、ううぅっ、おくっ、おくぅっ、あぁっ、らめぇっ、いくっ、んうぅ~~っ」

 奥をどちゅっどちゅっと突き上げられ、ユーリアは髪を振り乱し快楽に溺れる。

「ハインツでんかぁっ、ああっんっ、ひぁっ、も、らめぇっ、ゆるひて、く、ひぅっんんっ、ゆるしてくらしゃいぃっ」
「まだダメだ。ユーリアの体にしっかりと覚えさせなくてはならないからな。私のものの形も大きさも。二度とクリちんぽなどと形容できなくなるように、徹底的にな」

 目が笑っていない彼の笑みは、ゾッとするような凄みを帯びていた。

「ごめんなひゃいぃっ、もう二度とクリちんぽ呼ばわりしませんからぁっ、ゆるしてぇ……っ」

 泣きながら謝っても許してもらえず、ユーリアはお仕置きという名の快楽の責め苦を味わわされた。
 その後ハインツ受けのBLエロ漫画は全て処分されてしまった。
 漫画を描く事は許されたが、二度とハインツをネタにする事はできなかったのだった。




──────────────────

 読んで下さってありがとうございます。

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