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マーシャの意識はようやくはっきりしてきたところだった。
目の前に、ヒロインを庇う王太子がいる。
まるでどこかの恋愛物語のように、ヒロインを守る為に立ちはだかる勇者のよう。
何故、と呟いたが、言葉にはならなかった。
どうして、邪魔をするの。
その女を殺せば、わたくしはあなたの婚約者になれるのに。
大人しく殺されてあげるつもりだった。
あの教師が言ったのだ。
「その身体が死ねば魂は元の身体に戻る」と。
あなたが来てくれたら、大人しく倒されてあげるつもりだった。
なのに、その女を庇うのだった。
英雄であるその女の父を寄越し、兄を寄越した。
あなたは来てくれなかった。
ひどい。
ひどい。
わたくしが誰であるかを、その女が気づいた。
あなたじゃない。
どうして。
どうして。
あげく、殴られた。
忌々しい父子に。
人に殴られたことなど一度もないのに。
許せない。
許せない。
殺す。
殺す。
絶対に、殺す。
マーシャは叫ぶ。
心のままに。
手足を振り回すが、名誉騎士と兄に弾かれる。
名誉騎士は目を狙って魔法を撃ってくるので非常にうっとおしい。
蠅を払うように手を振るのだが、忌々しいことにこれも剣で受け流すのだった。
ヒロインを狙って口を開けば、発射のタイミングで鼻先を蹴られてしまう。
うっとうしい。
忌々しい。
本当に、邪魔だった。
少しずつ、身体の自由が利くようになってきていた。
空も飛べるようになったし、手足も自由に動かせるようになっていた。
魔力は十分すぎる程に満たされており、魔法も使えそうだった。
知っている魔法を思い浮かべてみると、脳裏に浮かんでくるのは見たことも聞いたこともないような魔法の呪文である。
試しに、離れた位置から魔法攻撃をしてくるうっとうしい女に向かって詠唱をする。
あの女は、監視としてやって来たAランク冒険者三人組のうちの一人だった。
頭上に光の槍が数十本現れて、女へと走って行った。
一瞬のことであり、女は槍に貫かれて血を吐きながら吹っ飛んだ。
近くにいた三人組の仲間の男にも当たって吹っ飛び、人間共が慌てふためいているのが愉快であった。
すぐに回復されたようだったが、明らかに警戒心が上がったのが見て取れた。
また違う魔法を、別の男女に向かって放つ。これは見たことのない顔だった。
今度は上空から雷が何本も降ってきて、轟音を上げ男女の身体を打ち据えた。
光と振動、音が起こり、人間共の身体が竦んだ。
その一瞬を逃さず、地を揺らし地中から土柱を跳ね上げた。
ヒロインを狙ったそれは、だが兄が身体を突き飛ばしたことによって防がれる。が、兄の左腕がちぎれて飛んだ。
ヒロインが、叫んでいる。
いい気味だと思った。
すぐに腕は回復され、舌打ちしたい気分になった。
名誉騎士が目の色を変え、攻撃が激しくなる。
眼前でちょろちょろと動かれて、非常に目障りである。
こいつを先に潰したい、と思えば、口から衝撃波が出た。
ブレスではない為、即発動でかわすことはできない。
名誉騎士はとっさに両手で顔を庇ったが、ダメージを負って吹っ飛んだ。
衝撃波で追撃すれば、面白いように名誉騎士の身体が転がる。
今度は兄が眼前をうろちょろし始め、衝撃波で弾き飛ばせば、ようやくヒロインが一人になった。
大笑いしたい気分であった。
何らかの魔法陣の上に立つ女は、真っ青な顔をしながらも、怯むことなくこちらを見上げていた。
うっとうしい。
本当に、忌々しい。
恐怖で泣き叫んででもいれば、いい気分でとどめをさすこともできたのに。
邪魔をする連中は吹っ飛んで転がっていた。
回復をもらっているが、今ならやれる。
マーシャは口を大きく開き、ブレスを吐いた。
…が、またしても邪魔をされた。
横っ面を蹴られ、睨みつければそこには王太子がいたのだった。
何故、邪魔をする。
何故、この女を庇おうとする。
不快だった。
マーシャはイライラと身体を揺すった。
ぼろぼろと、水晶の鱗が剥がれる。
剥がれた先から鈍色のような、鋼のような、だが虹色に煌めく鱗が鎧のように、全身を覆っていく。
回復された名誉騎士と兄がまた戻って来て魔法攻撃を加えてくるが、ダメージは軽減されている。
ああ、とマーシャは気づいた。
回復要員を全員潰せば、もはや立ち上がることはできまい。
先に後衛を潰すべきである。
ぐるりと周囲を見れば、武器を持った前衛が近づいて来ていた。
後衛は相変わらず距離を取り、固まらないようバラバラに離れていた。
弱そうな奴から潰したい。
先程からずっと回復に専念している三人がいた。
そいつらは近い場所に固まって、おそらくヒロインや名誉騎士達をメインで回復している連中だった。
その三人に狙いを定め、魔法を放つ。
光が刃物のように扇状に広がるもので、瞬間で到達したそれから逃げられなかった三人は身体を真っ二つにされて吹っ飛んだ。
雑魚が。
敵の弱さに満足し、今度は逆方向に散らばっている後衛に向けて同じ魔法を放つ。
エルフの後衛と、やたらと強そうな雰囲気を持っているローブ姿の男だけは範囲から逸れたが、残りの者達は多かれ少なかれ身体のどこかを引きちぎられて吹っ飛んでいた。
しぶとく生きていそうな連中に向けて追撃の魔法を放つと、面白いように吹っ飛んで行く。
マーシャは面白くなり、手足を動かした。
近くに寄っていた前衛の何人かが吹っ飛んで行ったようで、そこで自分の身体に何人もの前衛が群がっていることに気がついた。
痛みはないが不快になり、咆哮を上げる。
少し身体を浮かせて、地面にどすんと着地した。
ワイバーン族が使うボディプレスであったが、マーシャが知る由もない。
身体にたかる虫を払う感覚であった。
王太子は相も変わらずヒロインの前に立ち、剣と魔法でこちらに向かって攻撃をしていた。
怒りしか湧かなかった。
自分よりもヒロインを選ぶのか、という。
憎かった。
王太子に向かって、光の槍を放つ。
王太子の身体を突き飛ばして身代わりになったのは兄だった。
本当に、邪魔だ。
存在自体を消し炭にしてやろうと口を開く。
だがやはりブレスは鼻っ面を蹴飛ばされて、叶わなかった。
殴られた瞬間、マーシャは手で払った。
来るだろうと思っていた予想通りに、そこには名誉騎士がいたのだった。
爪が引っかかり、名誉騎士の上半身の鎧が砕けた。爪が右脇腹から左肩へと切り裂いて、鮮血が飛ぶ。
だが、浅い。
ちぎれ飛べば良かったのに、と思う。
即回復され、名誉騎士も兄も戦闘に復帰していた。
忌々しい。
仕留め損ねた後衛連中の仕業だと、すぐに気づく。
光の刃を放つが、エルフ族の男は飛んでかわし、もう一人の男は光の壁のようなもので軽減していた。
尻尾を振り回し、身体にたかっていた連中を払う。
光の槍を後衛二人に放つが、かわされた。
あいつら、強い。
マーシャはイライラと地団駄を踏む。
何人か前衛とおぼしき連中が力尽きたように倒れ込んだ。
邪魔なので、全身から衝撃波を出して吹っ飛ばす。
ヒロインを始末するのは最後でもいい。
邪魔な奴らを、先に潰す。
もはやマーシャは縦横無尽に動き回っていた。
後衛連中の元へと飛んで行き、ボディプレスを食らわせる。
振り返り様、口から衝撃波を飛ばす。
尻尾で打ち払い、範囲魔法を撃つ。
体力残り一割から始まる猛攻モードであった。
物理、魔法共に耐性が八十パーセント上がる。
これを突破するには耐性を下げるか、時間をかけるか、耐性をものともしないだけの攻撃力が要求される。
マーシャの水晶龍は、間違いなくボスクラスの強さであった。
最初から本来の力を出せていれば、もっと早くパーティーは壊滅していただろう。
百階層程度の強さ、と言ったのは見誤ったのではなく、マーシャが水晶龍の力を発揮できていなかったからだ。
本来の水晶龍は、ダンジョン百六十階のボスだった。
目の前に、ヒロインを庇う王太子がいる。
まるでどこかの恋愛物語のように、ヒロインを守る為に立ちはだかる勇者のよう。
何故、と呟いたが、言葉にはならなかった。
どうして、邪魔をするの。
その女を殺せば、わたくしはあなたの婚約者になれるのに。
大人しく殺されてあげるつもりだった。
あの教師が言ったのだ。
「その身体が死ねば魂は元の身体に戻る」と。
あなたが来てくれたら、大人しく倒されてあげるつもりだった。
なのに、その女を庇うのだった。
英雄であるその女の父を寄越し、兄を寄越した。
あなたは来てくれなかった。
ひどい。
ひどい。
わたくしが誰であるかを、その女が気づいた。
あなたじゃない。
どうして。
どうして。
あげく、殴られた。
忌々しい父子に。
人に殴られたことなど一度もないのに。
許せない。
許せない。
殺す。
殺す。
絶対に、殺す。
マーシャは叫ぶ。
心のままに。
手足を振り回すが、名誉騎士と兄に弾かれる。
名誉騎士は目を狙って魔法を撃ってくるので非常にうっとおしい。
蠅を払うように手を振るのだが、忌々しいことにこれも剣で受け流すのだった。
ヒロインを狙って口を開けば、発射のタイミングで鼻先を蹴られてしまう。
うっとうしい。
忌々しい。
本当に、邪魔だった。
少しずつ、身体の自由が利くようになってきていた。
空も飛べるようになったし、手足も自由に動かせるようになっていた。
魔力は十分すぎる程に満たされており、魔法も使えそうだった。
知っている魔法を思い浮かべてみると、脳裏に浮かんでくるのは見たことも聞いたこともないような魔法の呪文である。
試しに、離れた位置から魔法攻撃をしてくるうっとうしい女に向かって詠唱をする。
あの女は、監視としてやって来たAランク冒険者三人組のうちの一人だった。
頭上に光の槍が数十本現れて、女へと走って行った。
一瞬のことであり、女は槍に貫かれて血を吐きながら吹っ飛んだ。
近くにいた三人組の仲間の男にも当たって吹っ飛び、人間共が慌てふためいているのが愉快であった。
すぐに回復されたようだったが、明らかに警戒心が上がったのが見て取れた。
また違う魔法を、別の男女に向かって放つ。これは見たことのない顔だった。
今度は上空から雷が何本も降ってきて、轟音を上げ男女の身体を打ち据えた。
光と振動、音が起こり、人間共の身体が竦んだ。
その一瞬を逃さず、地を揺らし地中から土柱を跳ね上げた。
ヒロインを狙ったそれは、だが兄が身体を突き飛ばしたことによって防がれる。が、兄の左腕がちぎれて飛んだ。
ヒロインが、叫んでいる。
いい気味だと思った。
すぐに腕は回復され、舌打ちしたい気分になった。
名誉騎士が目の色を変え、攻撃が激しくなる。
眼前でちょろちょろと動かれて、非常に目障りである。
こいつを先に潰したい、と思えば、口から衝撃波が出た。
ブレスではない為、即発動でかわすことはできない。
名誉騎士はとっさに両手で顔を庇ったが、ダメージを負って吹っ飛んだ。
衝撃波で追撃すれば、面白いように名誉騎士の身体が転がる。
今度は兄が眼前をうろちょろし始め、衝撃波で弾き飛ばせば、ようやくヒロインが一人になった。
大笑いしたい気分であった。
何らかの魔法陣の上に立つ女は、真っ青な顔をしながらも、怯むことなくこちらを見上げていた。
うっとうしい。
本当に、忌々しい。
恐怖で泣き叫んででもいれば、いい気分でとどめをさすこともできたのに。
邪魔をする連中は吹っ飛んで転がっていた。
回復をもらっているが、今ならやれる。
マーシャは口を大きく開き、ブレスを吐いた。
…が、またしても邪魔をされた。
横っ面を蹴られ、睨みつければそこには王太子がいたのだった。
何故、邪魔をする。
何故、この女を庇おうとする。
不快だった。
マーシャはイライラと身体を揺すった。
ぼろぼろと、水晶の鱗が剥がれる。
剥がれた先から鈍色のような、鋼のような、だが虹色に煌めく鱗が鎧のように、全身を覆っていく。
回復された名誉騎士と兄がまた戻って来て魔法攻撃を加えてくるが、ダメージは軽減されている。
ああ、とマーシャは気づいた。
回復要員を全員潰せば、もはや立ち上がることはできまい。
先に後衛を潰すべきである。
ぐるりと周囲を見れば、武器を持った前衛が近づいて来ていた。
後衛は相変わらず距離を取り、固まらないようバラバラに離れていた。
弱そうな奴から潰したい。
先程からずっと回復に専念している三人がいた。
そいつらは近い場所に固まって、おそらくヒロインや名誉騎士達をメインで回復している連中だった。
その三人に狙いを定め、魔法を放つ。
光が刃物のように扇状に広がるもので、瞬間で到達したそれから逃げられなかった三人は身体を真っ二つにされて吹っ飛んだ。
雑魚が。
敵の弱さに満足し、今度は逆方向に散らばっている後衛に向けて同じ魔法を放つ。
エルフの後衛と、やたらと強そうな雰囲気を持っているローブ姿の男だけは範囲から逸れたが、残りの者達は多かれ少なかれ身体のどこかを引きちぎられて吹っ飛んでいた。
しぶとく生きていそうな連中に向けて追撃の魔法を放つと、面白いように吹っ飛んで行く。
マーシャは面白くなり、手足を動かした。
近くに寄っていた前衛の何人かが吹っ飛んで行ったようで、そこで自分の身体に何人もの前衛が群がっていることに気がついた。
痛みはないが不快になり、咆哮を上げる。
少し身体を浮かせて、地面にどすんと着地した。
ワイバーン族が使うボディプレスであったが、マーシャが知る由もない。
身体にたかる虫を払う感覚であった。
王太子は相も変わらずヒロインの前に立ち、剣と魔法でこちらに向かって攻撃をしていた。
怒りしか湧かなかった。
自分よりもヒロインを選ぶのか、という。
憎かった。
王太子に向かって、光の槍を放つ。
王太子の身体を突き飛ばして身代わりになったのは兄だった。
本当に、邪魔だ。
存在自体を消し炭にしてやろうと口を開く。
だがやはりブレスは鼻っ面を蹴飛ばされて、叶わなかった。
殴られた瞬間、マーシャは手で払った。
来るだろうと思っていた予想通りに、そこには名誉騎士がいたのだった。
爪が引っかかり、名誉騎士の上半身の鎧が砕けた。爪が右脇腹から左肩へと切り裂いて、鮮血が飛ぶ。
だが、浅い。
ちぎれ飛べば良かったのに、と思う。
即回復され、名誉騎士も兄も戦闘に復帰していた。
忌々しい。
仕留め損ねた後衛連中の仕業だと、すぐに気づく。
光の刃を放つが、エルフ族の男は飛んでかわし、もう一人の男は光の壁のようなもので軽減していた。
尻尾を振り回し、身体にたかっていた連中を払う。
光の槍を後衛二人に放つが、かわされた。
あいつら、強い。
マーシャはイライラと地団駄を踏む。
何人か前衛とおぼしき連中が力尽きたように倒れ込んだ。
邪魔なので、全身から衝撃波を出して吹っ飛ばす。
ヒロインを始末するのは最後でもいい。
邪魔な奴らを、先に潰す。
もはやマーシャは縦横無尽に動き回っていた。
後衛連中の元へと飛んで行き、ボディプレスを食らわせる。
振り返り様、口から衝撃波を飛ばす。
尻尾で打ち払い、範囲魔法を撃つ。
体力残り一割から始まる猛攻モードであった。
物理、魔法共に耐性が八十パーセント上がる。
これを突破するには耐性を下げるか、時間をかけるか、耐性をものともしないだけの攻撃力が要求される。
マーシャの水晶龍は、間違いなくボスクラスの強さであった。
最初から本来の力を出せていれば、もっと早くパーティーは壊滅していただろう。
百階層程度の強さ、と言ったのは見誤ったのではなく、マーシャが水晶龍の力を発揮できていなかったからだ。
本来の水晶龍は、ダンジョン百六十階のボスだった。
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