運命の番マッチングシステムで出会ったのは、蒼い眼の英語講師でした

こたま

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 次に英語講師がクラスを訪れる日が来た。悠希は念のためと保健室に避難していた。養護教諭と二人で雑談をしている。

「羽村君、病院ではあの講師の先生と相性が良いからだったかも、っていうことだよね?」
「はい。そういえば英語の先生は、あの後で大丈夫だったんですか?」
「ええ。緊急抑制剤で特に問題なく落ち着いたわ。羽村君達のクラスが最後だったのとオメガクラスだから授業は中止で帰宅したわよ」
「そうだったんですか。今日も金曜日の最後で、オメガクラスの授業ですね」
「そうね。何もないと良いわね。でも一年と二年のオメガクラスでは問題無かったの。あの日だけだから、やっぱり羽村君と相性が良すぎて、ってことなのかな?」

「悠希君!授業終わったよ~」
「あ、みのり君。迎えに来てくれたの?ありがとう」
「うん。帰りの会が始まる。戻ろっか」
「ありがとう。先生、ありがとうございました」
「いいえ。英語の先生、三年オメガクラスでもやっぱり大丈夫だったって事よね。じゃあ、気をつけて帰ってね」
「はい」

「悠希君、先生格好良かったよ。日本語も英語もネイティブで、発音がすごかった」
「そう。通常通りに出来て良かったよ」
「悠希君残念だったね」
「うん。でも仕方ないよ。学校に迷惑はかけられない」
「そっか...」

 悠希は英語講師の授業は受けられないまま、ニアミスで遭遇することもなく帰宅した。
 そして自宅に帰り自室で勉強をしていると、母が離れに郵便物を届けに来た。

「悠希。郵便物が来たわよ」
「ありがとう」

 A4サイズの書類が厚く入っていた茶色の封筒を開ける。中にはマッチングシステムからの書類が多数入っていた。

「何だろう」

 悠希は、上から一枚ずつ読んでいく。問題無くマッチングシステムに登録されたという書類。そして、続くのはマッチングの際の面会の方法についてだった。
 マッチング相手とは、会うまで顔も名前も年齢もわからない。個人情報は全て秘せられたままで、DNA情報から適合する人と会ってみるのだ。だから公的な場所で立会人がいるという、安全が担保されている必要性がある。

「えっ」

 続いて、遺伝子情報をコンピューターでマッチングした結果、99.9%という高い相性の相手が一人登録されていること、希望すれば面会出来ること、申込方法が書いてあったのだった。悠希は、母屋の母に電話をした。

「お母さん、マッチングが届いた。面会したい。行ってきて良いよね?」
「まだ登録したばかりなのに?」
「うん。それって、相手の人は以前から登録していたのかも知れない。僕とマッチングするまで待っていたかも知れないんだ。会ってみたい」
「わかったわ。自分で決めたのならそうしなさい。場所は安全なところなのよね」
「病院で主治医の先生に立ち会って貰って会うから大丈夫だよ」
「それなら安心ね。気をつけて行ってらっしゃい。タクシーを呼ぶ時は言ってね」
「うん。ありがとう」

 悠希はとても楽しみになった。登録してすぐに紹介されたのなら相手の人は僕と出会うまで待っていた可能性だってある。年上なのかな。どんな人だろう。悠希の想像が膨らんだ。
 このシステムは、気兼ね無く今後の面会をお断りすることも継続する事も出来る。特にオメガの人権を守るように留意されているので、ストーカートラブル等の対応には細心の注意を払ってある。

 病院で医師の立ち会いの元での面会希望と記載して希望日時を多数日書いて返送した。後は相手と都合の合う日、病院の都合の良い日で日程が連絡されるのみだ。

 毎日、学校に行っても面会が楽しみで機嫌良く過ごせる。出会いとはこんなに楽しみなものなのだと悠希は思った。

 悠希はみのりと養護教諭にだけマッチングで面会することを告げた。みのりには羨ましがられ、面会の手順やどんな人だったか教えてと言われている。
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