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ジューンブライド。6月の花嫁は幸せになれる。元はヨーロッパで農繁期が終わった後、天候が良い時期であったこと、またローマ神話に由来があるという結婚の季節だ。
このジューンブライドに、夏樹が憧れているのは映画をみているときに知った。
「素敵。良いよね」
「そうだな」
6月の花嫁の姿に目を潤ませて感情移入する夏樹をみて颯介は決めた。結婚式は6月にしよう。日本では梅雨の時期で特に結婚式向きということも無いが、入社後後継者として発表されるので時期として悪くない。
颯介は夏樹には告げずに、両親、会社と夏樹のご家族に打診しておく。披露宴会場はグループ関連のホテルになってしまうのは仕方ない。希望を聞いてあげられなくて申し訳ない。その分、希望があれば海外なども含めて他で式を挙げても良い。披露宴会場をまずは見て貰おうと颯介は考えた。
「夏樹。就職後の6月に結婚式を挙げて籍を入れない?双方の家族も僕達の希望に沿って、異論は無いみたいだよ?」
「えっ?6月!?」
夏樹の目が輝いたのを颯介は見逃さなかった。
「そう。6月。披露宴会場は申し訳ないけれど会社関連のホテルが都合良くて。結婚式は、そこのチャペルでも、夏樹の希望でどこか海外や軽井沢とか、他で挙げることも可能だよ。明日午後、予定空いてたよね?」
「特に予定は無いよ」
「ホテルを見に行かない?」
「行きたい。でもそんなに急に見学出来るものなの?」
「明日は仏滅で挙式はないから、貸し切りで見学出来るように連絡済みだ」
「え?颯介、仕事が早いね」
「夏樹のためならね」
そのホテルは、とても大きく高級感があった。宴会場を広く取れるので、会社の関係者を招いた披露宴に適する。
「うわー、綺麗なところだね」
「まだ新しいから。披露宴は、家族と友人で一回目。会社関連で二回目を行う事になってしまう。疲れさせてごめんね」
「ううん。必要なことでしょう?」
「そう言ってくれてありがたいよ」
宴会場には、結婚式用の装飾した円卓を数種類、サンプルとして用意してくれてあった。
「色んな色味やお花の種類もあって、選べるんだね」
「せっかく二回するから、それぞれ変えてみようか」
料理もサンプルが数種類並んでいて、実際に食べてみる事も出来た。ゲストがどのような食事をしたいか、考えていく。
「アレルギー対応もできますか?」
「もちろんでございます。調理器具から専用に分けて作ることも可能です」
「良かった。それなら皆で頂けるね?」
「ああ。兄と甥が喜ぶな」
チャペルは、屋上に設置されてあった。広い敷地にガラス張りで明るいチャペルが建っていた。参列者からは、新郎新婦越しに空を見られる。晴れても、雨でも美しく厳かな雰囲気が出るように作られていた。
控え室から、チャペルまでは渡り廊下で屋根付きだから梅雨の時期でも濡れずに移動できる。
「素敵。とっても綺麗で良いね。ここで挙式しよう?」
「良いの?他も見てから決めて良いんだよ」
「うん。大丈夫。とても気に入ったよ」
「それなら良かった。衣装も見ておこうか」
移動してブライダルサロンに行くと、颯介と夏樹のサイズの婚礼衣装が、挙式、披露宴用に数組ずつ、組まれて吊るされていた。
「あらかじめ概ねサイズは伝えてあったんだ。まだ挙式まで時間がたっぷりあるから、これを参考にデザイン変更して新しく作ろう。デザイナーさんも来て貰ったよ」
「え?そんな準備万端だったの」
「さあ、まずはこれから順に着てみて」
着せ替え人形よろしく、あれこれと試着した。サイズを測ったり、実際の衣装で長さを見たり。
「う。沢山ありすぎて、何がなんだかわからない」
「大丈夫。デザイナーさんが考えてくれているから。これからまたデザイン画やサンプル、フィッティングで何度も調整するからね。最高の衣装を着よう」
「ありがとう。でもそこまでしなくても...」
「一生に一回だよ?可愛い夏樹を皆に見せびらかしたいんだ」
「そっか。ありがとう。颯介のは?」
「夏樹が決まったらテイスト合わせて作るから大丈夫」
そうして、バタバタと挙式披露宴が決まり、招待客や招待状、装花など決めることが沢山あった。コーディネーターさんや金沢グループの秘書さんも二人を手伝う。
二人で暮らし初めてからは、時間を合わせやすくなった。卒論、卒業前後の忙しさと新入社員として研修等々多忙な中で結婚準備もすすめていった。
そして遂に結婚式を迎えた。晴れ間がのぞき、暑くもない絶好の結婚式日和。
控え室では両家の家族を紹介し、ガラスのチャペルで永遠の愛を誓った。神父様の後ろに青く澄んだ空を望む。時折白い雲が流れ、明るい日差しが指したり曇ったり。
チャペルを出ると、親族、友人からのフラワーシャワーが行われた。二人と軽井沢に同行したグループの仲間も参列した。
夏樹が後ろ向きに青い空を彩るブーケを投げた。花束は、佐藤、高橋のベータ女性二人のもとに弧を描いた。
「わあっ!」「きゃ!」
「「大野くん、おめでとう!ブーケありがとう」」
白いドレス、スーツの夏樹と颯介はモデルのように美しく、にこやかに笑顔を浮かべていた。
颯介肝いりの婚礼衣装は、鮮やかに新郎新婦二人を引き立てていた。
「夏樹。愛してる」
「僕も。颯介ありがとう」
このジューンブライドに、夏樹が憧れているのは映画をみているときに知った。
「素敵。良いよね」
「そうだな」
6月の花嫁の姿に目を潤ませて感情移入する夏樹をみて颯介は決めた。結婚式は6月にしよう。日本では梅雨の時期で特に結婚式向きということも無いが、入社後後継者として発表されるので時期として悪くない。
颯介は夏樹には告げずに、両親、会社と夏樹のご家族に打診しておく。披露宴会場はグループ関連のホテルになってしまうのは仕方ない。希望を聞いてあげられなくて申し訳ない。その分、希望があれば海外なども含めて他で式を挙げても良い。披露宴会場をまずは見て貰おうと颯介は考えた。
「夏樹。就職後の6月に結婚式を挙げて籍を入れない?双方の家族も僕達の希望に沿って、異論は無いみたいだよ?」
「えっ?6月!?」
夏樹の目が輝いたのを颯介は見逃さなかった。
「そう。6月。披露宴会場は申し訳ないけれど会社関連のホテルが都合良くて。結婚式は、そこのチャペルでも、夏樹の希望でどこか海外や軽井沢とか、他で挙げることも可能だよ。明日午後、予定空いてたよね?」
「特に予定は無いよ」
「ホテルを見に行かない?」
「行きたい。でもそんなに急に見学出来るものなの?」
「明日は仏滅で挙式はないから、貸し切りで見学出来るように連絡済みだ」
「え?颯介、仕事が早いね」
「夏樹のためならね」
そのホテルは、とても大きく高級感があった。宴会場を広く取れるので、会社の関係者を招いた披露宴に適する。
「うわー、綺麗なところだね」
「まだ新しいから。披露宴は、家族と友人で一回目。会社関連で二回目を行う事になってしまう。疲れさせてごめんね」
「ううん。必要なことでしょう?」
「そう言ってくれてありがたいよ」
宴会場には、結婚式用の装飾した円卓を数種類、サンプルとして用意してくれてあった。
「色んな色味やお花の種類もあって、選べるんだね」
「せっかく二回するから、それぞれ変えてみようか」
料理もサンプルが数種類並んでいて、実際に食べてみる事も出来た。ゲストがどのような食事をしたいか、考えていく。
「アレルギー対応もできますか?」
「もちろんでございます。調理器具から専用に分けて作ることも可能です」
「良かった。それなら皆で頂けるね?」
「ああ。兄と甥が喜ぶな」
チャペルは、屋上に設置されてあった。広い敷地にガラス張りで明るいチャペルが建っていた。参列者からは、新郎新婦越しに空を見られる。晴れても、雨でも美しく厳かな雰囲気が出るように作られていた。
控え室から、チャペルまでは渡り廊下で屋根付きだから梅雨の時期でも濡れずに移動できる。
「素敵。とっても綺麗で良いね。ここで挙式しよう?」
「良いの?他も見てから決めて良いんだよ」
「うん。大丈夫。とても気に入ったよ」
「それなら良かった。衣装も見ておこうか」
移動してブライダルサロンに行くと、颯介と夏樹のサイズの婚礼衣装が、挙式、披露宴用に数組ずつ、組まれて吊るされていた。
「あらかじめ概ねサイズは伝えてあったんだ。まだ挙式まで時間がたっぷりあるから、これを参考にデザイン変更して新しく作ろう。デザイナーさんも来て貰ったよ」
「え?そんな準備万端だったの」
「さあ、まずはこれから順に着てみて」
着せ替え人形よろしく、あれこれと試着した。サイズを測ったり、実際の衣装で長さを見たり。
「う。沢山ありすぎて、何がなんだかわからない」
「大丈夫。デザイナーさんが考えてくれているから。これからまたデザイン画やサンプル、フィッティングで何度も調整するからね。最高の衣装を着よう」
「ありがとう。でもそこまでしなくても...」
「一生に一回だよ?可愛い夏樹を皆に見せびらかしたいんだ」
「そっか。ありがとう。颯介のは?」
「夏樹が決まったらテイスト合わせて作るから大丈夫」
そうして、バタバタと挙式披露宴が決まり、招待客や招待状、装花など決めることが沢山あった。コーディネーターさんや金沢グループの秘書さんも二人を手伝う。
二人で暮らし初めてからは、時間を合わせやすくなった。卒論、卒業前後の忙しさと新入社員として研修等々多忙な中で結婚準備もすすめていった。
そして遂に結婚式を迎えた。晴れ間がのぞき、暑くもない絶好の結婚式日和。
控え室では両家の家族を紹介し、ガラスのチャペルで永遠の愛を誓った。神父様の後ろに青く澄んだ空を望む。時折白い雲が流れ、明るい日差しが指したり曇ったり。
チャペルを出ると、親族、友人からのフラワーシャワーが行われた。二人と軽井沢に同行したグループの仲間も参列した。
夏樹が後ろ向きに青い空を彩るブーケを投げた。花束は、佐藤、高橋のベータ女性二人のもとに弧を描いた。
「わあっ!」「きゃ!」
「「大野くん、おめでとう!ブーケありがとう」」
白いドレス、スーツの夏樹と颯介はモデルのように美しく、にこやかに笑顔を浮かべていた。
颯介肝いりの婚礼衣装は、鮮やかに新郎新婦二人を引き立てていた。
「夏樹。愛してる」
「僕も。颯介ありがとう」
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