5 / 20
5
しおりを挟む
アルが部屋を出る時にはどこかに隠れていたのかリノさんが遠くに現れて二人でアルを見送った。
「リノさん、さっきより距離が遠く無いですか?」
「陛下のフェロモンがハルト様を覆っておられるのでこれ以上お近くには…」
「そうなんですね?」
「はい。他の獣人を近寄らせないお力がおありですので」
そうか。強いフェロモンには寄って来れないんだ。それは、その薫りを付けられた僕も同じなんだな。フェロモン付けられた自覚は無いけど、もふもふしたからかな?
ソファーで座っていたら、誰かが本を届けてくれたようだ。リノさんが受け取り、ワゴンに乗せて少し離れた所に置いてくれた。立ってその本を取る。三冊あり、三冊とも文机に置いて椅子に座って読み進める事にした。
上の一冊目は、国の歴史を纏めた体裁の書籍である。一部分にその転生者である王妃の記載があるようだ。
おそらく随分昔の事のようだ。暦年の数え方や時間感覚をまだ把握しきれていないが、紙は古い感じがする。
その頃番が見つからず、似た種族と後継者を作ろうとしていた王がいた。しかし、強いフェロモンに耐えれる相手が少ない上に産まれにくく、産まれた子供に先天的な異常が多く生き残れなかったようだ。
決意して儀式を行い現れたのは金髪で白い肌の女性。彼女は獣人をとても怖がり、完全な人型になれる使用人と王のみとしか会わずに王宮の奥で過ごした。
息子を二人産むと暫くして体を弱らせ、妃は儚くなってしまった。嘆いた王は息子達が一人立ちする頃には自分も徐々に生きる気力を無くし、王としてはとても早い生を終えたとある。
アルは僕も長く生きるような事を言っていたけど、この転生者はあまり長生きしなかったみたいだ。他にも伝承があるのか、彼の希望なのかわからない。でも王と人間の女性で子供が出来たってことは分かった。ただ僕は男性なんだけどね。
その後は、その子供の王が立派に国を治めた歴史が少しだけ続いている。王子二人のどっちが王なのかはっきりしない。残りの一人がどうなったかはこの本には書いてないがライオンの習性や人の国の王を継がない兄弟の行く末を考えると、王室を出た可能性があるな。
次に真ん中の一冊を手に取った。こちらは妃の書いた物のようだ。日記というか、備忘録というか手記?これ、英語だ!今まで読んでいた本と比べて読むスピードが格段に落ちた。普通に英語の文章を読む。
固い表紙には何も書いてない。めくると内表紙に名前が書いてある。メアリー・グラッドストン。さらに本文を読む。メアリーは、自分の事をまず書いてある。貴族令嬢の一人だったようだ。
メアリーは突然この世界にいて、周りには動物と人がまざったモンスターのような人がたくさんいて怖いと大変恐れている様子が書かれている。
王は人で、見た目も良かったようだ。でも王が直ぐに自分を妻だと言って襲ってきた。結婚式もしていないのにって。そして首の後ろを噛まれたら言うことを聞かなければならないように感じてしまったと。これ、オス猫がメス猫の首を噛むネックグリップみたいなものだろうか。
定期的に自分の気持ちとは関係なく頭が熱くなって子供を作ってしまうとある。これは多分発情期の事だろう。
食事も合わなかったみたいだな。野菜と嫌いな魚ばかりでおいしくない。ミントティーを飲んではフルーツばかり食べていたようだ。元の食事をしたいって、帰りたいって書いてある。
子供を産んだがその子が完全な人ではなく、時々ライオンに変わるのが怖くて受け入れられなかった。嫌だと言ってもさらに一人望まれてまた直ぐに産んでからは食事も喉を通らず、体調回復せずに亡くなったようだった。最後まで帰りたかったみたい。この人は運命の番なのにあまり王を愛していなかったのか。動物に関する知識もないし動物が苦手だったのかも。そんな状態で子供を産まされたらさぞや哀しかったことだろう。不安で寂しかっただろうな。可哀想に。
アルがこの手記を読めたのかどうかはわからないが、少なくとも僕にとって辛い記載がある事はわかっていて見せてくれた。彼の誠実さは理解出来たし、儀式を行う事にためらいがあった様子も、人型のリノさんを付けてくれたのもわかった。
辛い気持ちでもう一冊を手に取った。これはもっと古い書だ。体裁が擦れて切れそうな所もある。
中を開くと過去の王が書いた日記のようだ。どうしても番が見つからず、年を重ねるばかり。そこで伝説の儀式を行った。現れたのは美しい男性であった。彼からは芳しいフェロモンを感じた。この地での生活を送るうちにオメガの特徴がよりはっきり現れた。発情期が起こるようになり、王を求めたのだ。二人は愛し合い、項を噛んで番となり子供が出来た。
アルファの息子を産んでくれた妃に感謝し大切にしていることが書かれている。そして長く一緒に暮らし、更には孫が産まれとても可愛いという記述もある。
ああ、良かった。愛し合っていた転生者もいたんだ。これを読んだから僕に子供が産めて長く生きられるように言ったってことだ。あと、番契約は項を噛んで成立するようなこともわかったぞ。
しかし、この二対の番の例を考えると儀式で呼んでも上手くいかない事もあれば上手くいくこともある。政略結婚だってその後仲良く過ごす夫婦と仮面夫婦がいるんだしな。
これを読めて良かった。帰れないならそれなりに、嘆いてばかりではなく楽しみを見つけて幸せを感じたいじゃないか。
幸いアルは僕を無理に組み伏したりせず気遣う人間性と誠実さを兼ね備えていて聡明だと思う。
僕もゆっくりこの世界を知って、自分が変化するのか経過を追ったり彼を愛せるのか考えていけば良いんじゃないだろうか。
せっかく獣医の知識を蓄えて来たんだ。自分を守って、この国の人に役に立つ部分があるかも知れない。アルの逞しい体と格好良い顔、気持ち良かったモフモフの毛並みもまた僕に希望をもたらしている。
「リノさん、さっきより距離が遠く無いですか?」
「陛下のフェロモンがハルト様を覆っておられるのでこれ以上お近くには…」
「そうなんですね?」
「はい。他の獣人を近寄らせないお力がおありですので」
そうか。強いフェロモンには寄って来れないんだ。それは、その薫りを付けられた僕も同じなんだな。フェロモン付けられた自覚は無いけど、もふもふしたからかな?
ソファーで座っていたら、誰かが本を届けてくれたようだ。リノさんが受け取り、ワゴンに乗せて少し離れた所に置いてくれた。立ってその本を取る。三冊あり、三冊とも文机に置いて椅子に座って読み進める事にした。
上の一冊目は、国の歴史を纏めた体裁の書籍である。一部分にその転生者である王妃の記載があるようだ。
おそらく随分昔の事のようだ。暦年の数え方や時間感覚をまだ把握しきれていないが、紙は古い感じがする。
その頃番が見つからず、似た種族と後継者を作ろうとしていた王がいた。しかし、強いフェロモンに耐えれる相手が少ない上に産まれにくく、産まれた子供に先天的な異常が多く生き残れなかったようだ。
決意して儀式を行い現れたのは金髪で白い肌の女性。彼女は獣人をとても怖がり、完全な人型になれる使用人と王のみとしか会わずに王宮の奥で過ごした。
息子を二人産むと暫くして体を弱らせ、妃は儚くなってしまった。嘆いた王は息子達が一人立ちする頃には自分も徐々に生きる気力を無くし、王としてはとても早い生を終えたとある。
アルは僕も長く生きるような事を言っていたけど、この転生者はあまり長生きしなかったみたいだ。他にも伝承があるのか、彼の希望なのかわからない。でも王と人間の女性で子供が出来たってことは分かった。ただ僕は男性なんだけどね。
その後は、その子供の王が立派に国を治めた歴史が少しだけ続いている。王子二人のどっちが王なのかはっきりしない。残りの一人がどうなったかはこの本には書いてないがライオンの習性や人の国の王を継がない兄弟の行く末を考えると、王室を出た可能性があるな。
次に真ん中の一冊を手に取った。こちらは妃の書いた物のようだ。日記というか、備忘録というか手記?これ、英語だ!今まで読んでいた本と比べて読むスピードが格段に落ちた。普通に英語の文章を読む。
固い表紙には何も書いてない。めくると内表紙に名前が書いてある。メアリー・グラッドストン。さらに本文を読む。メアリーは、自分の事をまず書いてある。貴族令嬢の一人だったようだ。
メアリーは突然この世界にいて、周りには動物と人がまざったモンスターのような人がたくさんいて怖いと大変恐れている様子が書かれている。
王は人で、見た目も良かったようだ。でも王が直ぐに自分を妻だと言って襲ってきた。結婚式もしていないのにって。そして首の後ろを噛まれたら言うことを聞かなければならないように感じてしまったと。これ、オス猫がメス猫の首を噛むネックグリップみたいなものだろうか。
定期的に自分の気持ちとは関係なく頭が熱くなって子供を作ってしまうとある。これは多分発情期の事だろう。
食事も合わなかったみたいだな。野菜と嫌いな魚ばかりでおいしくない。ミントティーを飲んではフルーツばかり食べていたようだ。元の食事をしたいって、帰りたいって書いてある。
子供を産んだがその子が完全な人ではなく、時々ライオンに変わるのが怖くて受け入れられなかった。嫌だと言ってもさらに一人望まれてまた直ぐに産んでからは食事も喉を通らず、体調回復せずに亡くなったようだった。最後まで帰りたかったみたい。この人は運命の番なのにあまり王を愛していなかったのか。動物に関する知識もないし動物が苦手だったのかも。そんな状態で子供を産まされたらさぞや哀しかったことだろう。不安で寂しかっただろうな。可哀想に。
アルがこの手記を読めたのかどうかはわからないが、少なくとも僕にとって辛い記載がある事はわかっていて見せてくれた。彼の誠実さは理解出来たし、儀式を行う事にためらいがあった様子も、人型のリノさんを付けてくれたのもわかった。
辛い気持ちでもう一冊を手に取った。これはもっと古い書だ。体裁が擦れて切れそうな所もある。
中を開くと過去の王が書いた日記のようだ。どうしても番が見つからず、年を重ねるばかり。そこで伝説の儀式を行った。現れたのは美しい男性であった。彼からは芳しいフェロモンを感じた。この地での生活を送るうちにオメガの特徴がよりはっきり現れた。発情期が起こるようになり、王を求めたのだ。二人は愛し合い、項を噛んで番となり子供が出来た。
アルファの息子を産んでくれた妃に感謝し大切にしていることが書かれている。そして長く一緒に暮らし、更には孫が産まれとても可愛いという記述もある。
ああ、良かった。愛し合っていた転生者もいたんだ。これを読んだから僕に子供が産めて長く生きられるように言ったってことだ。あと、番契約は項を噛んで成立するようなこともわかったぞ。
しかし、この二対の番の例を考えると儀式で呼んでも上手くいかない事もあれば上手くいくこともある。政略結婚だってその後仲良く過ごす夫婦と仮面夫婦がいるんだしな。
これを読めて良かった。帰れないならそれなりに、嘆いてばかりではなく楽しみを見つけて幸せを感じたいじゃないか。
幸いアルは僕を無理に組み伏したりせず気遣う人間性と誠実さを兼ね備えていて聡明だと思う。
僕もゆっくりこの世界を知って、自分が変化するのか経過を追ったり彼を愛せるのか考えていけば良いんじゃないだろうか。
せっかく獣医の知識を蓄えて来たんだ。自分を守って、この国の人に役に立つ部分があるかも知れない。アルの逞しい体と格好良い顔、気持ち良かったモフモフの毛並みもまた僕に希望をもたらしている。
385
あなたにおすすめの小説
不憫王子に転生したら、獣人王太子の番になりました
織緒こん
BL
日本の大学生だった前世の記憶を持つクラフトクリフは異世界の王子に転生したものの、母親の身分が低く、同母の姉と共に継母である王妃に虐げられていた。そんなある日、父王が獣人族の国へ戦争を仕掛け、あっという間に負けてしまう。戦勝国の代表として乗り込んできたのは、なんと獅子獣人の王太子のリカルデロ! 彼は臣下にクラフトクリフを戦利品として側妃にしたらどうかとすすめられるが、王子があまりに痩せて見すぼらしいせいか、きっぱり「いらない」と断る。それでもクラフトクリフの処遇を決めかねた臣下たちは、彼をリカルデロの後宮に入れた。そこで、しばらく世話をされたクラフトクリフはやがて健康を取り戻し、再び、リカルデロと会う。すると、何故か、リカルデロは突然、クラフトクリフを溺愛し始めた。リカルデロの態度に心当たりのないクラフトクリフは情熱的な彼に戸惑うばかりで――!?
【完結】家族に虐げられた高雅な銀狼Ωと慈愛に満ちた美形αが出会い愛を知る *挿絵入れました*
亜沙美多郎
BL
銀狼アシェルは、一週間続いた高熱で突然変異を起こしオメガとなった。代々アルファしか産まれたことのない銀狼の家系で唯一の……。
それでも医者の家に長男として生まれ、父の病院を受け継ぐためにアルファと偽りアルファ専門の学校へ通っている。
そんなある日、定期的にやってくる発情期に備え、家から離れた別宅に移動していると突然ヒートが始まってしまう。
予定外のヒートにいつもよりも症状が酷い。足がガクガクと震え、蹲ったまま倒れてしまった。
そこに現れたのが雪豹のフォーリア。フォーリアは母とお茶屋さんを営んでいる。でもそれは表向きで、本当は様々なハーブを調合して質の良いオメガ専用抑制剤を作っているのだった。
発情したアシェルを見つけ、介抱したことから二人の秘密の時間が始まった。
アルファに戻りたいオメガのアシェル。オメガになりたかったアルファのフォーリア。真実を知るたびに惹かれ合う2人の運命は……。
*フォーリア8歳、アシェル18歳スタート。
*オメガバースの独自設定があります。
*性描写のあるストーリーには★マークを付けます。
【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる
おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。
知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
【本編完結】最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
「禍の刻印」で生贄にされた俺を、最強の銀狼王は「ようやく見つけた、俺の運命の番だ」と過保護なほど愛し尽くす
水凪しおん
BL
体に災いを呼ぶ「禍の刻印」を持つがゆえに、生まれた村で虐げられてきた青年アキ。彼はある日、不作に苦しむ村人たちの手によって、伝説の獣人「銀狼王」への贄として森の奥深くに置き去りにされてしまう。
死を覚悟したアキの前に現れたのは、人の姿でありながら圧倒的な威圧感を放つ、銀髪の美しい獣人・カイだった。カイはアキの「禍の刻印」が、実は強大な魔力を秘めた希少な「聖なる刻印」であることを見抜く。そして、自らの魂を安定させるための運命の「番(つがい)」として、アキを己の城へと迎え入れた。
贄としてではなく、唯一無二の存在として注がれる初めての優しさ、温もり、そして底知れぬ独占欲。これまで汚れた存在として扱われてきたアキは、戸惑いながらもその絶対的な愛情に少しずつ心を開いていく。
「お前は、俺だけのものだ」
孤独だった青年が、絶対的支配者に見出され、その身も魂も愛し尽くされる。これは、絶望の淵から始まった、二人の永遠の愛の物語。
悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。
それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。
家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。
そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。
ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。
誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。
「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。
これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる