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今日は一の刻に早く起きることが出来た。まだリノさんは出勤していないし、少し慣れてきたので自分で用意を始めることにした。
洗面、トイレを済ませて衣装部屋に入ったら昨日と少し様子が違っていた。全て僕のサイズに合わせた服ばかりになっている。ズボンも色や生地、形の選択肢が増えた。ブラウスも増えている。僕の好みだと思って増やしてくれたんだろうな。Tシャツみたいなものは無いから寝巻き専用なのか。少しだけドレスやスカートも残っていた。今日はグレーのズボンに青のブラウスを合わせた。
着替え終わって文机に座り、また昨日の本三冊を見返したり、他の本を読んでいると
「おはようございます。ハルト様。お早いお目覚めですね」
「おはよう、リノさん」
「お手入れをさせて下さいませ」
今日はアルのフェロモンが薄いのか近寄って来て案内された。また顔に何か塗ったり髪を梳かして結っている。鏡を見たら、一部を編み結んで細いリボンのような装飾まで着いていた。
「成人男性なのにこれは恥ずかしく無いですか?」
「いいえ、全く。お美しいお顔を引き立て、お似合いでございます。ブラウスの色と合わせました」
そうかなあ。リノさんがそう言うなら、折角着けてくれたのでそのままで良いか。こちらの美意識なのかも知れない。
「朝食は、陛下よりご一緒なさりたいと。参りましょう」
今日はリノさんの先導でダイニングルームに移動した。ドアがあいて中に入ると
「おはよう愛しいハル。今日も美しい。体調はどうだろうか」
「おはようアル。元気だよ」
「良かった。食事にしよう。ハルの好みを教えてくれ」
「うん。いただきます」
今日は野菜のスープ、焼いた魚に野菜のソース、固いパンのような物と長米をパサパサな感じに茹でた物。フルーツの煮たもの。ジャムと考えると良いのかな。パンは硬いから、スープに浸さないと噛めない。獣人の歯は噛めるのかもしれない。
「食事内容についてはどうだ?どれが好きだろう」
「そうですね。スープも魚も食べ慣れていて美味しいです。小麦のパンは僕には固く感じます。あと、これ、米ですか?」
「料理長を呼んでくれ」
「畏まりました」
「陛下、ハルト様おはようございます。何か不備がございましたでしょうか?」
「いや。ハルトがパンを硬いと言っている。今後柔らかい物が出来るか改善を。またこの米についても何かあるようだ。一緒に聞いて欲しい」
「はい。承知致しました」
「すみません。お手数おかけします。これは米ですよね?」
「はい。雑穀のアワや赤米、この白米が手に入ります」
「僕の故郷では白米を柔らかく炊いたご飯が主食でした。これを水多めに炊いたら近くなって嬉しいかなと思って」
「左様でございますか。承知致しました。やってみますのでまたご意見を頂戴したいと存じます」
「ありがとうございます」
「良かった。また気になる事があれば何でも言って欲しい。ハルの生活を改善するのみならず国の発展に繋がる事だろうと思う」
「アルがそう言ってくれて嬉しいよ」
食事を終えるとそのままアルに連れられて図書館に向かった。僕達の後ろには、護衛の人が数人続く。一度宮殿を出て外廊下を歩くと建っているのはやや簡素な建物だ。
「ここが図書館だ」
中に入ると、身長が僕より小さいおじいさんで頭に耳がある人と、そのとなりにはやはり頭に耳があるおばあさんの二人。
「陛下おはようございます。はじめましてハルト様。図書館管理人のネズミ獣人マークです。こちらは妻で同じくネズミ獣人のミリーです。夫婦でこちらの図書館を管理させて頂いております」
「陽翔です。この国の事を書物で学ばせて頂きたいと思っています。お力添えを宜しくお願いします」
「こちらこそ、どうぞ宜しくお願い申し上げます」
「では、ハル。外に護衛がいる。戻るときには彼らに警護して貰うように。昼食を共にしたい。二の刻の終わりにはダイニングルームで待っている」
「わかった。ありがとう。仕事頑張って」
「ありがとう。そう言って貰えるとは、嬉しいものだ」
にこりと笑顔を見せて出ていったアル。よし、僕も頑張ろう。
「何ということでございましょう。陛下があのようなお顔をお見せになるとは…」
「え?」
「陛下が微笑まれるなど。珍しいことでございます。さすが運命の番のハルト様であらせられますな」
「そうなんですか?あまり笑わない?」
「はい」
僕は結構アルって表情豊かだと思ったんだけど、他の人には違うのかな。
「まず国の歴史や特徴とか、過去の転移者に関する資料を読みたいです。それが終わったら病気や災害について。お願いします」
「はい。かしこまりました。ご案内致します」
広い図書館には書物が沢山あり、その中から目的の物を探して貰う。早速いくつか興味を惹かれる物があったので、座って読み始めた。
僕の考えではヒトと哺乳類が交配して獣人になったのかなと思ったのだが、歴史書では初めから獣人の国として記載されているので、始まりがよくわからなかった。
文字が発達している状態での建国ということだからだ。そして、やはり電気という存在や概念が無さそう。だから水や光のスイッチは、念じることでオンオフが為されるのか。
他の転移者については、昨日読ませて貰った資料の他には見つからなかった。
国王は国の成り立つ当初からホワイトライオンの王家が継承している。他の種族に代わったことは無い。そこまで学ぶと昼食前になっていた。
「ハルト様。お食事のお時間です。そろそろお休みになさって下さい」
「わかりました。ありがとう。ダイニングルームに行ってきます」
「はい。午後もご観覧頂けますのでゆっくりお休みをお取り下さい」
「ハル。どうだった?根を詰めていないか?」
「大丈夫。無理の無い範囲で勉強させて貰うね」
昼食は野菜と豆のスープだ。パンには何かが練り込まれている?食べてみたら朝のパンより柔らかい。
「このパン、柔らかくて甘くて美味しい!何を入れたの?」
「果物を細かくして入れ、水も多めに焼きました。如何でしょう?」
「とっても美味しくなってる」
料理長がニコニコと笑顔を見せた。ということは、イーストとか柔らかく膨らむ成分がこれまでは入っていなくて、果物でそれを補ったということか。
「僕達の世界では酵母発酵でパンを柔らかく膨らませるんです。これは果物の消化酵素…アミラーゼとか何かが柔らかくしている。凄いですね。料理長。こんな短時間で考えつくなんて」
「お褒めにあずかり光栄です。今後も改良して参ります」
「アル。災害や病気で困っている事があると言っていたよね。午後はその勉強をしたいから、特に問題のある分野を教えてくれない?」
「ハルは素晴らしいね。様々な知識を持っている。是非何か思いつけば教えて欲しい」
洗面、トイレを済ませて衣装部屋に入ったら昨日と少し様子が違っていた。全て僕のサイズに合わせた服ばかりになっている。ズボンも色や生地、形の選択肢が増えた。ブラウスも増えている。僕の好みだと思って増やしてくれたんだろうな。Tシャツみたいなものは無いから寝巻き専用なのか。少しだけドレスやスカートも残っていた。今日はグレーのズボンに青のブラウスを合わせた。
着替え終わって文机に座り、また昨日の本三冊を見返したり、他の本を読んでいると
「おはようございます。ハルト様。お早いお目覚めですね」
「おはよう、リノさん」
「お手入れをさせて下さいませ」
今日はアルのフェロモンが薄いのか近寄って来て案内された。また顔に何か塗ったり髪を梳かして結っている。鏡を見たら、一部を編み結んで細いリボンのような装飾まで着いていた。
「成人男性なのにこれは恥ずかしく無いですか?」
「いいえ、全く。お美しいお顔を引き立て、お似合いでございます。ブラウスの色と合わせました」
そうかなあ。リノさんがそう言うなら、折角着けてくれたのでそのままで良いか。こちらの美意識なのかも知れない。
「朝食は、陛下よりご一緒なさりたいと。参りましょう」
今日はリノさんの先導でダイニングルームに移動した。ドアがあいて中に入ると
「おはよう愛しいハル。今日も美しい。体調はどうだろうか」
「おはようアル。元気だよ」
「良かった。食事にしよう。ハルの好みを教えてくれ」
「うん。いただきます」
今日は野菜のスープ、焼いた魚に野菜のソース、固いパンのような物と長米をパサパサな感じに茹でた物。フルーツの煮たもの。ジャムと考えると良いのかな。パンは硬いから、スープに浸さないと噛めない。獣人の歯は噛めるのかもしれない。
「食事内容についてはどうだ?どれが好きだろう」
「そうですね。スープも魚も食べ慣れていて美味しいです。小麦のパンは僕には固く感じます。あと、これ、米ですか?」
「料理長を呼んでくれ」
「畏まりました」
「陛下、ハルト様おはようございます。何か不備がございましたでしょうか?」
「いや。ハルトがパンを硬いと言っている。今後柔らかい物が出来るか改善を。またこの米についても何かあるようだ。一緒に聞いて欲しい」
「はい。承知致しました」
「すみません。お手数おかけします。これは米ですよね?」
「はい。雑穀のアワや赤米、この白米が手に入ります」
「僕の故郷では白米を柔らかく炊いたご飯が主食でした。これを水多めに炊いたら近くなって嬉しいかなと思って」
「左様でございますか。承知致しました。やってみますのでまたご意見を頂戴したいと存じます」
「ありがとうございます」
「良かった。また気になる事があれば何でも言って欲しい。ハルの生活を改善するのみならず国の発展に繋がる事だろうと思う」
「アルがそう言ってくれて嬉しいよ」
食事を終えるとそのままアルに連れられて図書館に向かった。僕達の後ろには、護衛の人が数人続く。一度宮殿を出て外廊下を歩くと建っているのはやや簡素な建物だ。
「ここが図書館だ」
中に入ると、身長が僕より小さいおじいさんで頭に耳がある人と、そのとなりにはやはり頭に耳があるおばあさんの二人。
「陛下おはようございます。はじめましてハルト様。図書館管理人のネズミ獣人マークです。こちらは妻で同じくネズミ獣人のミリーです。夫婦でこちらの図書館を管理させて頂いております」
「陽翔です。この国の事を書物で学ばせて頂きたいと思っています。お力添えを宜しくお願いします」
「こちらこそ、どうぞ宜しくお願い申し上げます」
「では、ハル。外に護衛がいる。戻るときには彼らに警護して貰うように。昼食を共にしたい。二の刻の終わりにはダイニングルームで待っている」
「わかった。ありがとう。仕事頑張って」
「ありがとう。そう言って貰えるとは、嬉しいものだ」
にこりと笑顔を見せて出ていったアル。よし、僕も頑張ろう。
「何ということでございましょう。陛下があのようなお顔をお見せになるとは…」
「え?」
「陛下が微笑まれるなど。珍しいことでございます。さすが運命の番のハルト様であらせられますな」
「そうなんですか?あまり笑わない?」
「はい」
僕は結構アルって表情豊かだと思ったんだけど、他の人には違うのかな。
「まず国の歴史や特徴とか、過去の転移者に関する資料を読みたいです。それが終わったら病気や災害について。お願いします」
「はい。かしこまりました。ご案内致します」
広い図書館には書物が沢山あり、その中から目的の物を探して貰う。早速いくつか興味を惹かれる物があったので、座って読み始めた。
僕の考えではヒトと哺乳類が交配して獣人になったのかなと思ったのだが、歴史書では初めから獣人の国として記載されているので、始まりがよくわからなかった。
文字が発達している状態での建国ということだからだ。そして、やはり電気という存在や概念が無さそう。だから水や光のスイッチは、念じることでオンオフが為されるのか。
他の転移者については、昨日読ませて貰った資料の他には見つからなかった。
国王は国の成り立つ当初からホワイトライオンの王家が継承している。他の種族に代わったことは無い。そこまで学ぶと昼食前になっていた。
「ハルト様。お食事のお時間です。そろそろお休みになさって下さい」
「わかりました。ありがとう。ダイニングルームに行ってきます」
「はい。午後もご観覧頂けますのでゆっくりお休みをお取り下さい」
「ハル。どうだった?根を詰めていないか?」
「大丈夫。無理の無い範囲で勉強させて貰うね」
昼食は野菜と豆のスープだ。パンには何かが練り込まれている?食べてみたら朝のパンより柔らかい。
「このパン、柔らかくて甘くて美味しい!何を入れたの?」
「果物を細かくして入れ、水も多めに焼きました。如何でしょう?」
「とっても美味しくなってる」
料理長がニコニコと笑顔を見せた。ということは、イーストとか柔らかく膨らむ成分がこれまでは入っていなくて、果物でそれを補ったということか。
「僕達の世界では酵母発酵でパンを柔らかく膨らませるんです。これは果物の消化酵素…アミラーゼとか何かが柔らかくしている。凄いですね。料理長。こんな短時間で考えつくなんて」
「お褒めにあずかり光栄です。今後も改良して参ります」
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