9 / 20
9
しおりを挟む
今日は、朝食の後でアルの執務室にお邪魔している。この数日は、毎日図書館で勉強して知識を増やしていた。アルから地形図が書けたと聞いて、見せて貰うことになったのだ。
「初めまして、ハルト様。私はこの国で宰相でございます。普段より陛下の補佐をさせて頂いております。本日は同席を許可頂きありがとうございます」
「初めまして。陽翔です。僕の故郷での治水についてお話しますね。素人ですけど、わかる範囲で何か参考になることがあればと思います」
お年を召した鹿の角と耳がある男性が宰相のようだ。持ってきてくれた地図によるとこの国は日本のような島国だ。全てが海に囲まれている。山や川がある所も似ているから、多少参考になると良いな。
「川が蛇行していると内側に土が堆積して、外側は削れていきます。水量が多いと氾濫して、この一部は三日月湖になったりしますよね。だから川はまっすぐに近づくほど氾濫しにくい。それと両岸に堤防を作っていました」
紙に絵を書きながら説明していく。三角州やダムの事も同様に。僕の知識は少ないが、何か役立ちたい。
「海も地震で津波が来るので、堤防を作っていました。都会の海では埋め立てして土地を広げたりも」
「素晴らしい。ハル。何という博識か。ありがとう。心から礼を言わせて貰う」
「私からも御礼させて下さいませ。いやはや、何と、これはすごい。聡明なお妃様であらせられる。我が国にも取り入れられそうな施策がごさいますな、陛下」
「ああ。是非取り入れよう。具体的な方法を考えていこう」
「かしこまりました」
「ハル。御礼に何か希望はないか?」
「うーん。そうしたら城下町とか外に行ってみたい」
「良いだろう。午後に私と護衛も共に出てみよう。私からハルに贈りたいと思っていた物があるんだが。オメガは発情期の交わりの際にアルファが項を噛んで番が成立する。そうなると互いのフェロモンしか判別出来なくなり、他のアルファを誘う事がなくなる。だから番の居ないオメガは、大事な項を守る為に首にチョーカーを巻くのだ。ハルには私がフェロモンでマーキングしているから襲ってくるような輩は居ないだろうが、ただのアルファの男としては美しいハルの項を誰にも見せたく無いんだ。どうか、気に入れば着けて欲しい。勿論ハルの常識では無いのだから無理強いはしない」
「そうなんだ。首が苦しかったり動きにくいのは嫌だから実際に見てから考えて良い?」
「ああ。城下町に店があるから見に行こう。そうだ。ハルは馬に乗れるのか?」
「うん。乗れるよ。自分のかわいいペットの馬がいて、良く乗せて貰っていたんだ」
「そうか。では安心だ」
昼食後の約束の時間になった。アルが迎えに来るのを部屋で待っている。乗馬するなら、もう少し楽な格好と靴も欲しいんだけど。
「ハル、待たせたな。これを履いてみてくれないか」
「あ、乗馬ブーツ。あったらいいなと思っていたんだ」
柔らかいロングブーツ、サイズぴったりに用意してくれた。それを履くと、アルがまた抱っこしてくる。ひょいっと運ばれるのは楽だけど恥ずかしい。
「歩けるよ?」
「このまま馬に乗せるから。ハルを乗せるのは馬獣人のベータ女性だ。スピードはおさえるよう頼んである」
「そっか。ありがとう」
城の入り口と思われる所に、馬に乗った騎士数人と、馬が二頭。馬の彼らも獣人なんだな。
「初めまして。陽翔です。今日は背に乗せて頂きます。宜しくお願いします」
ご挨拶すると頷いてくれ、アルがそのまま僕をひょいっと鞍に乗せた。さらに厚い布で出来た帽子を被せてくる。手綱も、手が痛くならないように工夫されていて、乗り心地はとても良い。
僕とアルを中心に周囲を囲まれて出発した。馬はゆっくりと門を出て、城下町を行く。外から見ると城は石造りの中世ヨーロッパの城のように見えた。
馬が進む道も石で舗装されている。周囲には石や木で作られた家や店が並んでいて、やはり中世ヨーロッパの町並みの写真に似ていると思う。本で調べた内容と照らし合わせてもおそらく石油やコンクリートが無いんだろう。
「まずはここだ」
着いたのは瀟洒な店。アルに抱っこして下ろされ、中に入った。宝石やアクセサリーが所狭しと並んでいる。
「店主、チョーカーやネックレスを見せて貰いたい」
「かしこまりました。只今お持ち致します」
リボンに宝石が縫い込まれていたり、レースのような生地だったり。アルが一つを取って僕の首に巻いて見せる。
「どうだろう?苦しい?」
「苦しくはないよ。思ったより薄いね」
「どれも似合う。美しいハルには何でも似合うな。どれか、着けて貰えそうなものはあるか?」
「そうだね…」
僕に何とか選ばせて着けさせたいと思っている様子が微笑ましく、動きやすいものを選ぶ。
「これなら、動きやすそう」
「うん。良いな。中央に石を縫えるようになっている。王家伝来の守護石があるから、入れて貰おう。ハルを守ってくれる筈だ」
「そんな大事そうな物、入れて貰うのは気がひけるよ」
「いや。是非貰って欲しい。店主、石を届けさせるから加工して納めてくれ」
「かしこまりました」
注文されてしまい、店を後にした。少し歩きたいと言ったら皆が回りを囲んで歩いてくれた。食品、衣類、飲食店などが並んでいる。楽しそうに買い物や食事をする多種族の獣人達。平和な様子に心が和んだ。
「そうだ!上水、下水処理ってどうなっているの?」
中世ヨーロッパを想起すると、下水が整備不足だったり、ネズミによるペストの流行があったんだ。ここはどうなって居るんだろう。
「水は雨をためたり川や井戸から汲んで浄化している。下水は、集めて浄化して捨てたり再利用するが、王都や人の多い所でないと、整備されて居ない場所もある」
「そうなんだ。とても進んでいるね。僕達の世界の失敗例では、下水が未整備で病気が媒介されて蔓延ったり、山を削って出た物質や工場の排水に有害物質が含まれていて、それを川や海に流すことで魚を介して病気になる事があった」
「ありがとう。未整備の地域にもしっかり行き渡らせるように早く進めていく。ハルは美しくかわいくて、優秀でもある。素晴らしい」
「そうやって、僕の事を褒めてくれるのは嬉しいよ」
愛するとか美しいとか、恥ずかしいけど毎日そうやって褒めながら言ってくれるのはくすぐったく嬉しい。アルが僕の経験や考えを聞いてくれると、ここに居場所が出来てきたようにも思う。やっぱり少しずつ好きになっているようだ。
オメガという体質変化については今のところまだ感じる事がない。ただ、近くにいるとアルは優しい甘い薫りを漂わせているなと感じる。僕には心地よい薫りだ。
「初めまして、ハルト様。私はこの国で宰相でございます。普段より陛下の補佐をさせて頂いております。本日は同席を許可頂きありがとうございます」
「初めまして。陽翔です。僕の故郷での治水についてお話しますね。素人ですけど、わかる範囲で何か参考になることがあればと思います」
お年を召した鹿の角と耳がある男性が宰相のようだ。持ってきてくれた地図によるとこの国は日本のような島国だ。全てが海に囲まれている。山や川がある所も似ているから、多少参考になると良いな。
「川が蛇行していると内側に土が堆積して、外側は削れていきます。水量が多いと氾濫して、この一部は三日月湖になったりしますよね。だから川はまっすぐに近づくほど氾濫しにくい。それと両岸に堤防を作っていました」
紙に絵を書きながら説明していく。三角州やダムの事も同様に。僕の知識は少ないが、何か役立ちたい。
「海も地震で津波が来るので、堤防を作っていました。都会の海では埋め立てして土地を広げたりも」
「素晴らしい。ハル。何という博識か。ありがとう。心から礼を言わせて貰う」
「私からも御礼させて下さいませ。いやはや、何と、これはすごい。聡明なお妃様であらせられる。我が国にも取り入れられそうな施策がごさいますな、陛下」
「ああ。是非取り入れよう。具体的な方法を考えていこう」
「かしこまりました」
「ハル。御礼に何か希望はないか?」
「うーん。そうしたら城下町とか外に行ってみたい」
「良いだろう。午後に私と護衛も共に出てみよう。私からハルに贈りたいと思っていた物があるんだが。オメガは発情期の交わりの際にアルファが項を噛んで番が成立する。そうなると互いのフェロモンしか判別出来なくなり、他のアルファを誘う事がなくなる。だから番の居ないオメガは、大事な項を守る為に首にチョーカーを巻くのだ。ハルには私がフェロモンでマーキングしているから襲ってくるような輩は居ないだろうが、ただのアルファの男としては美しいハルの項を誰にも見せたく無いんだ。どうか、気に入れば着けて欲しい。勿論ハルの常識では無いのだから無理強いはしない」
「そうなんだ。首が苦しかったり動きにくいのは嫌だから実際に見てから考えて良い?」
「ああ。城下町に店があるから見に行こう。そうだ。ハルは馬に乗れるのか?」
「うん。乗れるよ。自分のかわいいペットの馬がいて、良く乗せて貰っていたんだ」
「そうか。では安心だ」
昼食後の約束の時間になった。アルが迎えに来るのを部屋で待っている。乗馬するなら、もう少し楽な格好と靴も欲しいんだけど。
「ハル、待たせたな。これを履いてみてくれないか」
「あ、乗馬ブーツ。あったらいいなと思っていたんだ」
柔らかいロングブーツ、サイズぴったりに用意してくれた。それを履くと、アルがまた抱っこしてくる。ひょいっと運ばれるのは楽だけど恥ずかしい。
「歩けるよ?」
「このまま馬に乗せるから。ハルを乗せるのは馬獣人のベータ女性だ。スピードはおさえるよう頼んである」
「そっか。ありがとう」
城の入り口と思われる所に、馬に乗った騎士数人と、馬が二頭。馬の彼らも獣人なんだな。
「初めまして。陽翔です。今日は背に乗せて頂きます。宜しくお願いします」
ご挨拶すると頷いてくれ、アルがそのまま僕をひょいっと鞍に乗せた。さらに厚い布で出来た帽子を被せてくる。手綱も、手が痛くならないように工夫されていて、乗り心地はとても良い。
僕とアルを中心に周囲を囲まれて出発した。馬はゆっくりと門を出て、城下町を行く。外から見ると城は石造りの中世ヨーロッパの城のように見えた。
馬が進む道も石で舗装されている。周囲には石や木で作られた家や店が並んでいて、やはり中世ヨーロッパの町並みの写真に似ていると思う。本で調べた内容と照らし合わせてもおそらく石油やコンクリートが無いんだろう。
「まずはここだ」
着いたのは瀟洒な店。アルに抱っこして下ろされ、中に入った。宝石やアクセサリーが所狭しと並んでいる。
「店主、チョーカーやネックレスを見せて貰いたい」
「かしこまりました。只今お持ち致します」
リボンに宝石が縫い込まれていたり、レースのような生地だったり。アルが一つを取って僕の首に巻いて見せる。
「どうだろう?苦しい?」
「苦しくはないよ。思ったより薄いね」
「どれも似合う。美しいハルには何でも似合うな。どれか、着けて貰えそうなものはあるか?」
「そうだね…」
僕に何とか選ばせて着けさせたいと思っている様子が微笑ましく、動きやすいものを選ぶ。
「これなら、動きやすそう」
「うん。良いな。中央に石を縫えるようになっている。王家伝来の守護石があるから、入れて貰おう。ハルを守ってくれる筈だ」
「そんな大事そうな物、入れて貰うのは気がひけるよ」
「いや。是非貰って欲しい。店主、石を届けさせるから加工して納めてくれ」
「かしこまりました」
注文されてしまい、店を後にした。少し歩きたいと言ったら皆が回りを囲んで歩いてくれた。食品、衣類、飲食店などが並んでいる。楽しそうに買い物や食事をする多種族の獣人達。平和な様子に心が和んだ。
「そうだ!上水、下水処理ってどうなっているの?」
中世ヨーロッパを想起すると、下水が整備不足だったり、ネズミによるペストの流行があったんだ。ここはどうなって居るんだろう。
「水は雨をためたり川や井戸から汲んで浄化している。下水は、集めて浄化して捨てたり再利用するが、王都や人の多い所でないと、整備されて居ない場所もある」
「そうなんだ。とても進んでいるね。僕達の世界の失敗例では、下水が未整備で病気が媒介されて蔓延ったり、山を削って出た物質や工場の排水に有害物質が含まれていて、それを川や海に流すことで魚を介して病気になる事があった」
「ありがとう。未整備の地域にもしっかり行き渡らせるように早く進めていく。ハルは美しくかわいくて、優秀でもある。素晴らしい」
「そうやって、僕の事を褒めてくれるのは嬉しいよ」
愛するとか美しいとか、恥ずかしいけど毎日そうやって褒めながら言ってくれるのはくすぐったく嬉しい。アルが僕の経験や考えを聞いてくれると、ここに居場所が出来てきたようにも思う。やっぱり少しずつ好きになっているようだ。
オメガという体質変化については今のところまだ感じる事がない。ただ、近くにいるとアルは優しい甘い薫りを漂わせているなと感じる。僕には心地よい薫りだ。
306
あなたにおすすめの小説
不憫王子に転生したら、獣人王太子の番になりました
織緒こん
BL
日本の大学生だった前世の記憶を持つクラフトクリフは異世界の王子に転生したものの、母親の身分が低く、同母の姉と共に継母である王妃に虐げられていた。そんなある日、父王が獣人族の国へ戦争を仕掛け、あっという間に負けてしまう。戦勝国の代表として乗り込んできたのは、なんと獅子獣人の王太子のリカルデロ! 彼は臣下にクラフトクリフを戦利品として側妃にしたらどうかとすすめられるが、王子があまりに痩せて見すぼらしいせいか、きっぱり「いらない」と断る。それでもクラフトクリフの処遇を決めかねた臣下たちは、彼をリカルデロの後宮に入れた。そこで、しばらく世話をされたクラフトクリフはやがて健康を取り戻し、再び、リカルデロと会う。すると、何故か、リカルデロは突然、クラフトクリフを溺愛し始めた。リカルデロの態度に心当たりのないクラフトクリフは情熱的な彼に戸惑うばかりで――!?
【完結】家族に虐げられた高雅な銀狼Ωと慈愛に満ちた美形αが出会い愛を知る *挿絵入れました*
亜沙美多郎
BL
銀狼アシェルは、一週間続いた高熱で突然変異を起こしオメガとなった。代々アルファしか産まれたことのない銀狼の家系で唯一の……。
それでも医者の家に長男として生まれ、父の病院を受け継ぐためにアルファと偽りアルファ専門の学校へ通っている。
そんなある日、定期的にやってくる発情期に備え、家から離れた別宅に移動していると突然ヒートが始まってしまう。
予定外のヒートにいつもよりも症状が酷い。足がガクガクと震え、蹲ったまま倒れてしまった。
そこに現れたのが雪豹のフォーリア。フォーリアは母とお茶屋さんを営んでいる。でもそれは表向きで、本当は様々なハーブを調合して質の良いオメガ専用抑制剤を作っているのだった。
発情したアシェルを見つけ、介抱したことから二人の秘密の時間が始まった。
アルファに戻りたいオメガのアシェル。オメガになりたかったアルファのフォーリア。真実を知るたびに惹かれ合う2人の運命は……。
*フォーリア8歳、アシェル18歳スタート。
*オメガバースの独自設定があります。
*性描写のあるストーリーには★マークを付けます。
【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる
おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。
知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
【本編完結】最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。
佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。
「禍の刻印」で生贄にされた俺を、最強の銀狼王は「ようやく見つけた、俺の運命の番だ」と過保護なほど愛し尽くす
水凪しおん
BL
体に災いを呼ぶ「禍の刻印」を持つがゆえに、生まれた村で虐げられてきた青年アキ。彼はある日、不作に苦しむ村人たちの手によって、伝説の獣人「銀狼王」への贄として森の奥深くに置き去りにされてしまう。
死を覚悟したアキの前に現れたのは、人の姿でありながら圧倒的な威圧感を放つ、銀髪の美しい獣人・カイだった。カイはアキの「禍の刻印」が、実は強大な魔力を秘めた希少な「聖なる刻印」であることを見抜く。そして、自らの魂を安定させるための運命の「番(つがい)」として、アキを己の城へと迎え入れた。
贄としてではなく、唯一無二の存在として注がれる初めての優しさ、温もり、そして底知れぬ独占欲。これまで汚れた存在として扱われてきたアキは、戸惑いながらもその絶対的な愛情に少しずつ心を開いていく。
「お前は、俺だけのものだ」
孤独だった青年が、絶対的支配者に見出され、その身も魂も愛し尽くされる。これは、絶望の淵から始まった、二人の永遠の愛の物語。
悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。
それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。
家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。
そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。
ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。
誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。
「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。
これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる