転生した新人獣医師オメガは獣人国王に愛される

こたま

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「ハルト…待たせたな。苦しませて申し訳ない」
「アル。アルバート…ごめん」
「何を謝る。呼んでくれてありがとう。愛しているよ…心から」

 ベッドに上がってきたアルが僕を腕の中に囲う。頬を撫で、頭を撫で、それから顔中にキスを降らす。アルの目はとても優しくて愛しさに溢れていた。愛されていることが実感される。
 やっと唇同士が重なりあい、何度も触れては離れ、唇を開けて舌が入ってきた。くちゅと音がしてなでられる口内が気持ち良く、ぞくっと背中に快感が走った。

「はあ…アル。もっと触って。欲しい。アルの全部」
「ああ。芳しい。素敵だ。どこも美しいよ。私の全てはハルのものだ。これまでは私のフェロモンに耐えられず誰とも関係を結べなかった。貴方は神様に頂いた奇跡だ。大切にする。どうか私を受け入れて...」

 アルの手が僕の寝巻きを取り払い、アル自身も着ていた服をバサバサと脱いでいく。鍛え上げられた筋肉質な体が格好良い。オスを滲ませたフェロモンが暴力的な程に匂いたち、僕を包んだ。より一層顔が熱くなってアルを求める。
 意外なほど繊細な指先が僕の首や胸を撫で擦り、胸の飾りを確かめた。今まで存在を意識したこともなかったその小さい粒がぴんと立って主張している。アルが触れたり舐めるたび快感がせり上がる。

 指が僕の前を扱き、後ろにぬかるみを利用して1本指が入ってきた。ゆっくり、丹念に慣らしながら体の中にある膨らみを押さえた。

「ああっ…」
「ここが良いところだな」
「あっ」

 何度も優しく撫で、押されると前の刺激と合わさって経験したことの無い強い快感に目の前が白くなる。いつの間にか後ろの指が増えると共に前からも力を失った欲望の雫がとろとろと流れでてくる。

「もう良いか」
「うん。来て」

 うつぶせられ、首のチョーカーを外した。背中から覆い被さったアルが、僕を潰さないよう体をささえつつ、ゆっくり中に入ってきた。

「う…」
「あ、あ...」

 馴染むのを待ってから奥に進み、また待って。全てを収めると抱きしめられた。

「ありがとう。愛しているよわが番。私の最愛…ハルト」

 アルが動く。だんだん早くなり、僕は息をするのがやっとで声も出ない。アルは動きながら僕を撫で擦り、項を舐めた。舐められるだけでもぞくぞくとしてくる。そして

「「あっ!」」

 僕の中が熱いもので満たされ、うなじにアルの牙があたった。牙がプツリと皮膚を破る。痛みは一瞬で直ぐに何か麻薬のような多幸感と体が変化するような感覚、二人が一つに混ざり合うような不思議な感覚に占められた。

「は、あっ...」
「うっ…」

 はあ…とアルが僕を包み込み、僕も力を抜いてベッドに体を預けながらその腕にすり寄る。

 凄い。番になるって、なんて神秘的な出来事なんだろう。そしてとても幸せだ。悩むことは無かった。これで良いんだ、と本能的に納得する。

「アルバート。好きだよ」
「ありがとう。愛している」

 精を受け、番になるとますます愛しさが増してくる。そしてまだまだ欲はあるが一人でおさめるよりもずっと気持ち良く、幸せだ。

「ねぇ、休んだらもっとしたい」
「大丈夫か?疲れたら教えて欲しい」
「うん。まだ大丈夫。少し休んでからまたしたい」

 アルは僕の項を消毒して布を巻いてくれた。僕が作ったアルコール消毒液。今回役に立った。後で傷を確認しないとな。

 それから、水を飲ませたり、風呂に運んだりと甲斐甲斐しく世話をしてくれた。浴室から出たらシーツが替えてあり、また二人で快楽に沈む。
 何度も交わり、疲れると眠ったり水分補給して、入浴して。あっという間に数日経ったのは、びっくりだった。

「ハル、落ち着いたか?」
「うん。頭も体もすっきりしてる」
「大丈夫か?」
「うん。後悔してないよ。良い経験だった。凄かった。番って凄いね」
「運命だから、尚更だな」
「そうだね。気持ち良かったし、一つになった感じがしたよ」
「良かった。私もハルと同化したように感じた。愛しさが溢れている」

 本当にね。体が変化しているのが分かるんだ。発情期が来た時点で、無かったはずの子宮が実感できたし、番になっていることも良くわかる。子供が出来たって驚かないと思う。その子が獣人であることは尚更。当然の事と受け止められそうな自身がある。

 時間をかけて関係を作ったから、このような気持ちになれているんだろう。アルが待っていてくれたからだ。アルに愛情と感謝を再確認した。

「お風呂に入りたい。お腹空いた」
「ああ。そうだな。さっぱりして食事にしよう」

 お姫様抱っこで浴槽まで運んでくれた。全身を洗われて湯につかる。傷はどうなったかな?もう洗ってもしみないのだが。

「ね、アル。項どう?大丈夫かな?」
「牙の刺し傷は塞がってかさぶたになっている。大丈夫」
「あ。チョーカーはどこ?」
「文机に置いてある」
「これからチョーカー要らないの?着ける?」
「噛み跡も大事な記念だ。見られたく無い。チョーカーには家宝の守護石が縫ってあるから着けておいて欲しい。ハルを守ってくれるだろう」
「わかった。傷が治ったらまた着けるね」
「愛している」

 アルの体に包まれて腕に抱かれて入浴しているので、すっかり子供のように安心していた。しかし僕を抱きしめ、常にどこかを触りながら頭や首に触れるキスを繰り返しているアルを見ていたら、番の執着心は人間の夫婦なんて目ではないほどなんだろうなと思う。

 こんなに愛されるなんて、きっとなかなか無いことだ。幸せを素直に受け止めよう。疲れた体を休め、何を食べるかなと考えてワクワクする。御飯が良いか、おじやを作ってもらうか。フルーツは、煮てジュースにしたものが良いかな。うとうとして、さっぱりしたら、ニコニコ笑うリノさんが待っていた。…恥ずかしい...
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