【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重

文字の大きさ
28 / 28

番外編~Sideオリヴィエ~

しおりを挟む
 友好条約30周年記念パーティーの時に初めて彼女を見た。
 なんて華奢で可愛らしい、いい意味で気取っていない令嬢だろうと思った。
 話をしていた令嬢に聞くと、彼女は声を出せないらしい。
 なぜか私は彼女のことが気になった。

「ヴィルフェルトっ!! よくも~!!」

 彼女を助けるため身体が勝手に動いていた。
 幸い武術の心得があったので、暴漢をなんなく倒せたのだが、王子の立場で前に出るなとあとで叱られるだろうなと思った。

「大丈夫かい、ご令嬢」
「(……こく)」

 やはり声が出せないのか。
 頷きや身振り手振りで返す彼女の健気さに心を打たれた。


 数日後、彼女からお礼の手紙が届いた。


『オリヴィエ・ブランジェ様
 先日は助けていただきまして、ありがとうございました。
 咄嗟のことできちんとお礼が申し上げられず、お手紙にて失礼しました。』
 
 そんな短い手紙でも、なんだか彼女の思いが伝わってきた。
 律儀に手紙を渡す彼女の心遣いに、もうすでに心が奪われていたのかもしれない。


 そんな彼女との婚約が決まった時は私自身嬉しくて仕方なかった。
 どんな趣味があるのだろうか、どんなものが好きなのだろうか。
 多くのことを聞きたくて仕方なかった。

 そして、ついに婚約の儀の当日。
 彼女には他に好きな人がいることを知った。

「お兄さまっ!!!! 大好きでした!!!」

 なんて素直でまっすぐでそして思いが強いのだろうか。
 義理の兄と妹。
 そんな絆の間に入れるわけがない。

「ローゼマリー・ヴィルフェルト。私は貴殿との婚約を解消する」
「なっ! オリヴィエ王子!」
「だが、貿易業での協定は予定通り結ばせてもらう。このオリヴィエ・ブランジェの名において、我が父に進言しよう」
「なんと、ありがとうございます」

 そうだ、私にできることは少しでも彼女が幸せになるようにと取り計らうだけ。
 そう、そこに私の想いなど必要ない。

 私の恋心は、誰にも言わずにそっと胸にしまっておこう──
しおりを挟む
感想 6

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(6件)

沙吉紫苑
2023.02.28 沙吉紫苑

20話、令嬢達の嫌味会話ですけど、「誑かされて(たぶらかされて)」かと思いますが。

細かいこと言ってすみません。

2023.02.28 八重

>沙吉紫苑 様
「小説家になろう」のほうで、修正してこちらの修正抜けておりました!
「惑わされている」という表記に変更させていただきました。
誤用など気をつけて執筆いたします。恥ずかしいばかりです……。
読者様からご指摘いただけることが、嬉しくもあり、申し訳なくもあります。

ただ、こうして伝えていただけることが大変嬉しいです。
ありがとうございます!<m(__)m>

解除
沙吉紫苑
2023.02.28 沙吉紫苑

すみません。話数間違えて書いてしまいました。

2023.02.28 八重

沙吉紫苑様
全然大丈夫です!!

解除
沙吉紫苑
2023.02.28 沙吉紫苑

たのしいです。

すみません。
12話ですけど、お父様はひどく叱ったのか、何も言わずお風呂に入らせたのかどっちでしょう?
なんか矛盾があるような気かするのですが…。

2023.02.28 八重

>沙吉紫苑様
感想ありがとうございます!
16話もことだと思うのですが、確かにご指摘通り少し矛盾を感じたため、「お父さまに声をかけられました」に修正しました!
ありがとうございます!!
お父さまは何もいわずにわかってくれる、優しい方です!

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。

朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。 宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。 彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。 加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。 果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?

【完結】身代わりに病弱だった令嬢が隣国の冷酷王子と政略結婚したら、薬師の知識が役に立ちました。

朝日みらい
恋愛
リリスは内気な性格の貴族令嬢。幼い頃に患った大病の影響で、薬師顔負けの知識を持ち、自ら薬を調合する日々を送っている。家族の愛情を一身に受ける妹セシリアとは対照的に、彼女は控えめで存在感が薄い。 ある日、リリスは両親から突然「妹の代わりに隣国の王子と政略結婚をするように」と命じられる。結婚相手であるエドアルド王子は、かつて幼馴染でありながら、今では冷たく距離を置かれる存在。リリスは幼い頃から密かにエドアルドに憧れていたが、病弱だった過去もあって自分に自信が持てず、彼の真意がわからないまま結婚の日を迎えてしまい――

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています

22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。 誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。 そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。 (殿下は私に興味なんてないはず……) 結婚前はそう思っていたのに―― 「リリア、寒くないか?」 「……え?」 「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」 冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!? それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。 「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」 「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」 (ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?) 結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?

子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!

屋月 トム伽
恋愛
私と婚約をすれば、真実の愛に出会える。 そのせいで、私はラッキージンクスの令嬢だと呼ばれていた。そんな噂のせいで、何度も婚約破棄をされた。 そして、9回目の婚約中に、私は夜会で襲われてふしだらな令嬢という二つ名までついてしまった。 ふしだらな令嬢に、もう婚約の申し込みなど来ないだろうと思っていれば、お父様が氷の伯爵様と有名なリクハルド・マクシミリアン伯爵様に婚約を申し込み、邸を売って海外に行ってしまう。 突然の婚約の申し込みに断られるかと思えば、リクハルド様は婚約を受け入れてくれた。婚約初日から、マクシミリアン伯爵邸で住み始めることになるが、彼は未婚のままで子供がいた。 リクハルド様に似ても似つかない子供。 そうして、マクリミリアン伯爵家での生活が幕を開けた。

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。10~15話前後の短編五編+番外編のお話です。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非! *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。  ※R7.10/13お気に入り登録700を超えておりました(泣)多大なる感謝を込めて一話お届けいたします。 *らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.10/30に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。 ※R7.12/8お気に入り登録800超えです!ありがとうございます(泣)一話書いてみましたので、ぜひ!

婚約者は冷酷宰相様。地味令嬢の私が政略結婚で嫁いだら、なぜか激甘溺愛が待っていました

春夜夢
恋愛
私はずっと「誰にも注目されない地味令嬢」だった。 名門とはいえ没落しかけの伯爵家の次女。 姉は美貌と才覚に恵まれ、私はただの飾り物のような存在。 ――そんな私に突然、王宮から「婚約命令」が下った。 相手は、王の右腕にして恐れられる冷酷宰相・ルシアス=ディエンツ公爵。 40を目前にしながら独身を貫き、感情を一切表に出さない男。 (……なぜ私が?) けれど、その婚約は国を揺るがす「ある計画」の始まりだった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。