ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航

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第三章 秘匿ダンジョン

第87話 告げられた真実

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 「あなたのおじいちゃん──彦根ギンガは生きている」

 配信終了後。
 落ち着いたところで、ヤマタノオロチの“ヤマダさん”が伝えてくる。
 驚いた俺は思わず聞き返した。

「お、おじいちゃんが?」
「そうよ。あなたは何も聞かされてないでしょうけど」
「……うん」

 おじいちゃんが消えたのは、四年前。
 ちょうど前回のヤマダさんの目覚めから、数日後だ。

 最初は俺も混乱してしまった。
 でも、エリカ姉さん達の支えもあって、なんとか持ち直した。
 それからは姉さんが主導となり、家主になるべく探索者申請などをしたんだ。

「そっか……おじいちゃんが」
「あ、ごめんなさい。生きているはず・・よ」
「え?」

 ヤマダさんはコホンと一息つくと、若干気まずそうに続けた。

「正しくは“少なくとも四年前までは生きていた”、かしらね。まあ、あの人が簡単に死ぬとは思えないけど」
「じゃあ、今はどこに……?」
「正確には分からない。だけど、目的・・は知ってる」

 一際ひときわ真剣な眼差しで、ヤマダさんは口にする。

「ギンガは、とあるダンジョンへ行ったのよ」
「……!」
「何やらとくされた場所だそうね。ギンガは秘密裏に依頼を受けておもむき、きっと今も探索を続けている」
「お、おじいちゃんが……」

 四年前の時点では、おじいちゃんは俺なんかよりもっと強かった。
 一緒に遊んでいた時も、軽くあしらわれていたんだ。
 そんなおじいちゃんがわざわざ行くなんて、一体どんなダンジョンなんだろう。

 少し考えていると、ヤマダさんはふっと笑った。

「私が知るのはここまでよ。続きは、そこの人にでも聞いたら?」
「え? あ」

 振り返ると、エリカ姉さんが歩いて来ていた。
 ヤマダさんは目を細めながらたずねる。
 
「どうせあなたが一番知っているでしょう?」
「ふふっ、どうかしらね」

 姉さんもふっと笑みを返した。
 だけど、ヤマダさんの言う通りだと思う。

 おじいちゃんの代には、おじいちゃんをしたう他のペット達がいた。
 めろん達はまだ幼かったし。
 でも、姉さんだけは深く関わっていた。

 姉さんが家を主導するのも、その時の名残だ。
 俺も頼りにしているし。

「姉さん、知っている事があるなら──」
「ふふっ。落ち着いてホシ君」
「……!」

 俺が聞こうとすると、姉さんの髪がふわりと浮いた。
 すると、隠し持っていた物が見える。
 
「まずはご飯にしないかしら」
「そ、それって……!」

 姉さんの後方から浮き上がったのは、キャンプセットだ。
 鍋なども持っている。

「もう遅いし、今日はここでキャンプをしましょ」
「うんっ!」
「キュイっ!」「ワフっ!」「ボオっ!」

 ペット達も大賛成みたいだ。
 ならばと、俺は後方にも呼びかける。 

「ヤマダさんもやるでしょ。どうせもうすぐ眠るんだし」
「シュフフ……私がそんな子供じみたことを──」
「じゃあ誘ってあげない」
「うそうそ、やります! やらせてください! キャンプ大好き!」

 こうして、俺たちはキャンプの準備を始めた。





「はー、極楽ごくらく極楽ごくらくぅ」

 辺りはすっかり真っ暗。
 涼しい夜風を感じながら、俺はリクライニングに寝転がる。

「満腹だし、気持ち良かったし、何も言う事ないや」

 あれから、姉さんの夕食をお腹いっぱいに食べた。
 火起こし係(いちご)もいたし、食材も姉さんが持ってきてくれたんだ。
 周りもエモい景色も相まって、最高のキャンプ飯になった。

「って、どうしたの流転君。顔を赤くして」
「……! いや、なんでも……」

 夕食後は、魔素水の湖で湯浴み。
 姉さんがタオル一枚で勝手に入ってきたけど、途中で追い出した。
 さすがに俺も一緒に入る年齢じゃないし。

 って、まさか。

「もしかして、魔素水の刺激が強かった!?」
「そ、そういうわけじゃなく……お姉さんの体が……」
「ごめん! 流転君なら大丈夫だと思って!」
「いや、それは大丈夫です! むしろ謝りたいのはこちらです……見てしまって・・・・・・

 最後まで、流転君はごにょごにょと話していた。
 とにかく大丈夫なら良かった。

 ちなみに、ヤマダさんは奥で酔っぱらっている。

「あははははぁ! 今回は飲~んみ明かすんわよぉん!」
「「「シャーーー!」」」

 べろんべろんでしゃべれていない。
 姉さんが持って来た追加の酒を、一気飲みしてたからな。
 周りの首と一緒に観覧車みたく回ってる。

「キュイィ」「ワフゥ」「ボオォ」

 ペット達も、回る首の上でのんびりしているしな。
 すっかりヤマタノオロチさんを気に入ったみたいだ。
 連れて来て大正解だったな。

 そんなペット達を眺めていると、湖の方から声が聞こえてきた。

「ホシくーん! お姉さんも上がったよ~!」
「お」
「ぶっ……!」

 姉さんは激しく揺れる浴衣姿だ。
 すると、隣で流転君が急に鼻を抑えた。
 
「流転君、大丈夫!? って大変、鼻血だ!」
「だ、大丈夫です。ティッシュあるんで」

 やっぱり魔素水の刺激が強かったのかも。
 俺も反省する中、寄ってきた姉さんはふわりと髪を浮かせた。

「あら。まさかと思うけど興奮しちゃったのかしら」
「……!?」

 姉さんはふっと笑みを浮かべる。
 目は笑ってない。

「今すぐ去りなさい♡」
「……ッ!! す、すみませんでしたぁ!」
「あー」

 なぜか怒られているみたいだった。
 そんなこんながあり、流転君は退場。
 すると、姉さんと二人きりになる。

「……綺麗だね、ホシ君」
「うん」

 見上げる夜空には、幻想的な景色があった。
 星かすら分からないけど、光る点々が浮かんでいる。
 改めて見ると、夜の地下三階は絶景だった。

「「……」」

 でも、姉さんもいつもより口数が少ない。
 きっと俺と同じで、切り出し方に迷っているんだ。
 だから最後は、俺から口を開いた。

「前に見た時は、おじいちゃんも一緒だったね」
「……ええ」

 そうして、ようやく姉さんは切り出した。

「話すわ。彦根ギンガさんのこと」
「!」
「まずは、少し昔話でもしようかしら」
「……うん」

 頭に浮かぶのは、家にいた頃のおじいちゃんの姿だ──。




────────
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現在ファンタジーカップに新作を投稿してますので、興味があればぜひ下記URL、もしくは作者ページより!
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