魔境の森に捨てられたけど、最強のテイマーになって生還した~外れギフト【スライムテイム】でスライムを無限に仲間にして成り上がり無双~

むらくも航

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第17話 それには及びません

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「こちらが私のお母様──エリン・ヒルナーデです」

 セレティアに案内され、僕はエリン様の部屋にお邪魔する。
 でも、その顔を見た途端、少し息を呑んでしまった。

「これは……」

 顔はやせ細り、衰弱しているみたいだ。
 呼吸は安定しているけど、放っておくのが心配というのはよく分かる。
 実際、このままでは危ないだろう。

「少し触れさせていただいてもよろしいですか」
「はい、構いません」
「ありがとうございます」

 僕はエリン様の首に手を触れる。
 同時に 【スライム念話】【知覚共有】を発動させた。
 念話先は、長老スライムさんだ。

(何か分かる?)
『これは……呪いの一種じゃな』
(やっぱりそうだよね)

 呪いとは、ステータス異常のようなものだ。
 性質が違うので、回復魔法でも治すのは難しいだろう。
 どんな人に頼んでも無理だった、というのもうなずける。
 
 でも、手段はある。

(いつもの合わせ技で治るかな?)
『うむ。問題なかろう』
(ありがとう!)

 長老スライムさんとの念話を切り、ゴンゾ様に話をする。

「どうやらこれは、呪いの一種のようです」
「呪いですか!?」
「はい。かけられた経緯は分かりませんが、体が徐々に衰弱しています」
「なんと……」

 ゴンゾ様は頭を抱えながらも、僕にたずねてくる。

「してアケア様、治し方はあるのでしょうか」
「あります」
「それはどのように!?」
 
 必死なゴンゾ様に、僕も全て答える。

「『極活性草』と『解呪の花』というのがあります。これらを用いればおそらく治せるかと」
「そ、それは一体どこに生えているのですか!」
「魔境の森の中央辺りです」
「ちゅ、中央……」

 魔境の森は、中央へ行くほど難易度が高くなる。
 セレティア達は序盤で苦戦していたので、取りに行くのは難しいかもしれない。
 苦しそうな顔をしながらも、ゴンゾ様に頭を下げられる。

「そう、ですか……。ですが貴重な情報をありがとうございます。なんとか我々だけで採りに──」
「いえ、それには及びません」
「……?」

 僕は肩に乗っていたスライムに念話を飛ばした。

「取り出せる?」
『あるよー! はい!』

 スライムが、あーんと口から二つの植物を取り出す。

「「「んなっ……!?」」」

 すると、周りは声を上げて驚いた。
 そっか、【スライム収納】を見せるのは初めてだったか。

「してアケア様、それは一体?」
「これが『極活性草』と『解呪の花』です」

 魔境の森の中央辺りで採れる、二つの植物。
 僕はそれを【スライム収納】から取り出した。

「「「なっ……!?」」」

 この二つが必要なのを知っていたのは、僕が持っていたからだ。
 でも実は、もう一つ工程を挟まなければならない。

「頼める?」
『もっちろんー!』

 手で重ねた植物の上に、スライムが『♪』と可愛げに乗ってくる。
 発動させたのは【スライム合成】だ。

「この二つを合わせてっと!」
「え、あの……?」

 魔境の森には、様々なステータス異常を付与してくる魔物がいる。
 中には、適した治癒魔法を持っていない場合も多々あるわけだ。
 そんな時は、この二つを合わせたオリジナルの薬草『完全治癒薬』を使っている。

 これで治せなかったステータス異常は無い。

「できました。この薬を飲ませますが、よろしいですか」
「は、はい! もうなんとでも!」

 サラサラの粉状になった『完全治癒薬』を飲ませる。
 すると、エリン様がゆっくりと目を開いた。

「……あれ、私は何を」
「「「……!?」」」

 おそらく久しぶりに目を覚ましたんだろう。
 その姿に、周囲が一斉に駆け寄る。
 中でもセレティアは真っ先に飛びついた。

「お母様ー!」
「あらあら、心配をかけたみたいね」

 エリン様も衰弱していること自体は分かっていたみたいだ。
 親子で喜び合う中、僕は後ろからドレイク様に声をかけられる。

「アケア様! なんとお礼をすれば良いか! 本当に、本当にありがとうございます!」
「いえいえ、そんな大したことは。それに──」

 僕はセレティアの方をチラリと見た。

「セレティアとも約束をしましたから」
「そうですか! この借りは何としてでもお返しいたします! 命に代えても!」
「お、大げさですって」

 それから、威厳を保っていたドレイク様が慌ただしく動く。
 エリン様の元へ行ったり、僕にまた頭を下げてきたり。

 よっぽどエリン様が心配だったんだろう。
 容姿に似合わないそんな姿が、少し微笑ましく思ってしまった。

 そうして、ようやく落ち着いたドレイク様にたずねられた。

「ところで、アケア様はどのようなギフトをお持ちで?」
「僕ですか?」

 恐る恐る様子をうかがうような聞き方だ。
 でも、僕はこうとしか答えようがない。

「ただのテイマーですが……」
「「「……」」」

 その回答に対しては、またも大声で言われてしまった。

「「「なわけあるかーーーーーーー!」」」
「え?」

 しかも、エリン様も交えてだ。
 元気になられたのなら僕も嬉しい。

 ただ、一つ言っておかなければならないことがある。

「エリン様、少しよろしいですか」
「なんでしょうか」
「実はですね──」
「え……!」

 この一件は、まだ裏がありそうだ。
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