魔境の森に捨てられたけど、最強のテイマーになって生還した~外れギフト【スライムテイム】でスライムを無限に仲間にして成り上がり無双~

むらくも航

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第18話 事件の裏側

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<三人称視点>

 その日の夜。

「エリン様、よろしいでしょうか」

 彼女の部屋に、ノックと声が聞こえてくる。
 執事であるオルトの声だ。

「どうぞ」
「失礼いたします」

 オルトは半年ほど前より、この家に従事している。
 今回はエリンに紅茶を淹れてきたようだ。

「体調はいかがでしょうか」
「問題ないわ。少し体が重いけれど」
「左様ですか」

 だが、オルトは途端に表情を変えた。

「あのガキさえいなければ……」
「え?」

 突然変わった声色と共に、ガチャリと部屋の鍵を閉める。

「あのガキさえいなければ、あと二週間でくたばるはずだったのによお!」
「まさか、全てあなたが──」
「声を上げるな」
「……!」 

 オルトは、これが本性だと言わんばかりに鋭い眼光を覗かせる。
 月夜に照らされ、赤く光る目は同じ人間とは思えない。

「たった今、この部屋に結界を張った。これで誰も入れねえ」
「……っ!」

 次に、オルトは魔法の灯った指をエリンへ向けた。

「すぐに殺すと足がつくからな。だからゆっくりと衰弱死させようとしたのによお」
「あなたは、何者なの……!」
「ハッ、俺は崇高なる魔族様だよ」
「魔族ですって!?」

 魔族とは、人族にあだなす存在。
 多くは人型をしており、身体能力や魔法は、人族よりも優れているとされる。
 ただ、最近は存在そのものを疑う声があった。

「魔族なんて、ここ何十年も発見されていないはずなのに!」
「だから、動き出した・・・・・んだよ」
「そんな……!」

 そうして、オクトは手に込めた魔力を放とうとする。

「こうなっちゃ仕方がねえ。時期尚早ではあるが、殺るしかねえか」
「……!」
「言い残したことはあるか?」

 対して、エリンは少しうつむいた。
 上がった・・・・口角を隠すように。

「やはり、あの方の言った通りでしたね」
「何の話だ」
「アケア様には全てお見通しでしたよ」

 すると毛布の下から、小さな丸っこいものが出てくる。

「なっ、そいつは……!?」
「ぽよっ!」

 アケアのスライムだ。
 こうなることを事前に察知し、エリンに持たせていたのだ。
 
『わるい奴は許さないぞー!』
「チィッ! たかがスライムが調子に乗りやがって!」
『【業火球】ー!』
「ぐわああああああっ!」

 スライムごと殺ろうとしたオクトだが、返り討ちにされてしまう。
 アケアのスライムは侮ってはいけないのだ。
 今のスライムは、十種の強化を得た最強のスライムである。

 また、その魔法と共に、アケアが部屋に突撃してくる。

「やっぱりそうか」
「なぜ貴様が!? 結界は張ったはずだぞ!」
「それなら破ったよ」
「……!?」

 オクトごときが張った結界など、アケアの前には意味をなさない。
 それから、アケアは事を顛末てんまつを話す。
 
「話を聞いておいて正解だった。予想以上に情報をくれたけどね」
「こ、このクソがあ!」
 
 魔族については、まだ分からないことも多い。
 エリンと二人にさせることで情報を得たのだ。
 もちろん危害が加わるようなら、容赦なく倒すつもりではあったが。

「どうする? もう逃げ場はないぞ」
「チィッ……!」

 従魔のスライムにすら勝てなかったのだ。
 主であるアケアには敵うはずもない。
 結末を悟ったオクトは、チラリと窓を視界に入れた。

「死ななきゃ安い!」

 そのまま、窓から飛び降りるように逃げ出した。
 対して、アケアはエリンに駆け寄る。

「大丈夫ですか、エリン様」
「はい。心強いスライムくんがいましたから」
「ぽよっ!」

 スライムはにゅっと伸ばした手で、敬礼のポーズを取った。
 エリンを守る使命を果たせて嬉しいようだ。
 それから、一足遅れてセレティアとドレイクが部屋にやってくる。

「お母様!」
「エリン、無事か!」
「ええ、大丈夫よ」

 そうして、ドレイクは悔しそうな表情を浮かべる。

「本当にオクトの奴が犯人だったとは……」
「あなた……」

 正体を見抜けなかったことが悔しいようだ。
 高位の魔法を駆使してくる魔族は、それほど厄介である。
 かなりの実力者ではないと難しいだろう。

 だが、今は悔やんでいる場合ではない。
 ドレイクはアケアに振り返った。

「アケア様、ありがとうございました。あの者は必ず我々が追いかけます」
「いえ、その必要はありません」
「え?」

 しかし、アケアは決して逃がしてなどいない。
 むしろ“戦う場所を選んだ”だけだ。

「僕にお任せください」
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