魔境の森に捨てられたけど、最強のテイマーになって生還した~外れギフト【スライムテイム】でスライムを無限に仲間にして成り上がり無双~

むらくも航

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第30話 聖域にて

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 「はあ、なんとかなったあ」
『『『なったあー!』』』

 最後の一匹を倒し、アケアが額の汗をぬぐう。
 スライム達も真似をして、小さな手で上部をこすった。
 主と同じことをしたいスライム達はとてもかわいい。

 すると、シルリアが声をかける。

「ありがとうアケア。キミいなければ……」
「ううん、仲間だからね!」
「……! そ、そうか」

 アケアからすれば当然のことだ。
 だが、シルリアは少し照れるように顔を赤らめた。

「それよりも何をってるの?」
「あ、ああ、これは傷薬をまぶしたものだ。塗っておけば数日の間にケガが治る。ワタシのような近接スタイルには必須だな」
「え、ダメだよ!」

 すると、アケアはシルリアに駆け寄る。

「それじゃ跡になっちゃうよ!」
「あ、ちょっ──」
「はい、【上級治癒ハイ・ヒーリング】」
「……!?」

 急に近寄られてびっくりする中、アケアが灯した光で傷は一瞬で治癒する。

「回復魔法までできるのか!?」
「うん。そんなことより・・・・・・・、シルリアに傷を負わせたら周りに何を言われるか分からないよ」
「そんなことよりではないのだが……ありがとう」

 シルリアは、改めて“テイマーアケア”を実感する。
 同時に、心にドクンとするものを感じた。

(なんだ、この締め付けられる感じは……)

 だが、アケアはまだ尋ねたいことがあったようだ。

「あと、ここから北東方向に何かない? 巨大な魔物が住んでいるとか」
「北東……あ、あるぞ!」

 対して、シルリアは驚いたように口にした。

「北東には“いにしえのドラゴン”が棲んでいる。普段は立ち入り禁止だが……それがどうかしたのか?」

 いにしえのドラゴンは、古くからエスガルド森林に生息するボスだ。
 だが巣から出る事はなく、冒険者にも危険なことから、“聖域”として立ち入り禁止のエリアとなっていた。

 すると、アケアは首を傾げながら話す。

「黒いオーラの出所は、北東のような気がする」
「なんだと! では、古のドラゴンのわざだと?」
「分からない。でも、何かある気がしてならないんだ」
「アケア……」

 ほがらかなアケアの表情が少し曇る。
 すでにアケアを全面的に信頼しているシルリアは、迷わず口にした。

「ならば行こう。怒られた時はワタシが責任を取る」
「シルリア……ありがとう!」

 そうして、二人は古のドラゴンが棲むという“聖域”へ向かった。




「あの先が“聖域”だ」

 森の最奥付近にたどり着き、シルリアが前方を指差す。
 そこには、大きな神殿のような柱が複数立っていた。
 近くには『立ち入り禁止』の看板と、結界も張られている。

 だが、アケアは目を見開いた。

「この結界、一部が破られてる!」
「なんだって!?」
「すぐに行くべきだ!」
「わかった!」

 周囲を探索させていたスライムから、報告を受け取ったのだ。
 二人は迷わず破られた結界まで移動する。

『こっちだよー! ほらー!』
「本当だ……」

 スライムの案内に従うと、結界が強引に・・・破られた跡がある。

「魔法で突破されているみたいだよ」
「そんなことができる者がいるのか……?」
「でも、確かめに行かなきゃ!」
「ああ、ここまでくればな!」

 二人はすぐさま“聖域”へ飛び込む。
 そのまま歩くこと少し、物陰でアケアは足を止めた。
 
「シルリア、ストップ!」
「ギャオオオオオオオオオオオ……!」

 隣のシルリアを手で止めた瞬間、大地を揺るがすような轟音ごうおんひびき渡る。
 物陰から覗くと、そこには巨大なドラゴンが見えた。

「ギャオオオオオオ!」

 全体的に体は黒く、周囲にも黒の気高いオーラをまとっている。
 強化された魔物と同じようものだ。

 また、細長くも筋骨隆々な手足で、姿勢は四つん這いだ。
 首と尻尾は長く、体長は計り知れない。

 言わずもがな、“古のドラゴン”だろう。

「あれが本物の……!」
「でも様子が変だよ?」
「なに?」

 エスガルドの絵本にも出てくる伝説の存在。
 シルリアは思わず興奮するが、アケアはいぶかしげな表情を浮かべる。
 すると、アケアの言う通りにドラゴンはふらっと姿勢を崩す。

「ギャオォ……」
「「え?」」

 そしてそのまま、古のドラゴンはずしーんと横に倒れた。

「ドラゴンさん!?」
「あ、アケア!」

 明らかに弱った様子の古のドラゴンに、アケアはその場を飛び出す。

「ドラゴンさん大丈夫!? 何があったの!」
「ギャオォ……」
「しっかりするんだ! 【上級治癒ハイ・ヒーリング】!」
「ギャゥ……」 

 アケアが回復魔法をほどこすも、よくなる様子はない。
 すると、物陰からもう一匹の魔物が飛び出てくる。

「ぎゃう……」
「え!」

 出てきた魔物は、小さな古のドラゴンのようだった。
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