魔境の森に捨てられたけど、最強のテイマーになって生還した~外れギフト【スライムテイム】でスライムを無限に仲間にして成り上がり無双~

むらくも航

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第50話 出会った子犬

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<三人称視点>

「フィル、あれを見て!」

 アケアが指差した方向に、傷ついている子犬を発見した。
 汚れているが、白い毛並みを持っている。
 フィルはすぐさま駆け寄ると、あることに気づく。

「この子、さっきまでテイムされてる!」
「くぅん」

 テイムスキルの紋章が浮かび上がっていることから、ほんの少し前までテイムされていたようだ。
 だが、あるじは見つからず、明らかに弱っている。

「この状態で放置なんて……」
「くぅん……」

 フィルはテイムした魔物には、必ずありがとうと伝え、元の状態で見送る。
 助けてくれたことに感謝しているからだ。

 しかし、これは使い捨てのようなもの。
 使えなくなったから捨てる、動かなくなったから捨てる、そんな様に扱われたように見える。

 また、紋章は少し経てば消えていく。
 この近くに元の主がいるのだろう。

 だが、探すまでもなくその者は現れた。

「お、その犬をテイムすんのか」
「あなたは?」
「俺は冒険者でテイマーのネガトだ。一つ忠告するよ、そいつはやめとけ」
「……どうして?」

 じっと見つめたフィルに、ネガトは笑って返す。

「雑魚だからだよ」
「!」
「テイムしても何も還元されねえしよ。知らねえ奴だったから試しにテイムしてみたが、全然ダメだ。何もできやしねえ」
「……だからそのまま捨てたの?」
「そういうことだ」

 ネガトはバカにした笑いのまま去って行った。

「お前もテイマーなら分かるだろ。テイマーは使える奴をいかに使うかだ。不遇職なら不遇職なりに頭使わねえとな」
「……回復薬」

 そんなネガトを見ながら、フィルは子犬を回復させた。
 すると、子犬はフィルの太ももにほっぺをすりすりさせてくる。

「くぅん」
「ふふっ、良かったね」
「くん!」

 フィルにはアケアが声をかけた。

「テイマーってああいう人もいるのかな」
「まあ間違ってはないし、悪いことをしてるわけではないからね」
「うん……」
「でも、私は違う考え方かな」

 対して、フィルは子犬をなでながら答える。

「私たちテイマーは助けてもらってる方だから。せめて最低限の敬意は払いたい」
「やっぱりフィルは良いテイマーだね」
「そ、そう? ちょっと照れるかも」

 使役ではなく、助けてもらっている。
 フィルにはそんな考え方が根付いているようだ。
 
 そうして、元気になった子犬は走り回る。

「くん、くぅん!」
「ぎゃうぎゃう!」

 ドランにお辞儀をして、二匹は仲良くはしゃぎ始めた。
 アケアとフィルは微笑ましく様子を眺める。

「ドランとも仲良しみたいだね」
「ふふっ、かわいい」

 互いに惹かれ合うもの《・・・・・・・》があったのかもしれない。
 するとフィルは、アケアにたずねた。

「この後はこの子も連れて行っていい?」
「もちろん! ドランも喜んでいるし!」
「ありがとっ!」

 そうして、立ち上がったフィルは子犬を誘った。

「じゃあちょっと一緒に行こっか」
「くぅん!」




「そーっと、ゆっくり近づくんだよ」
「くぅん」

 木陰に隠れ、フィルが子犬に伝える。
 標的にしているのは虫の魔物だ。

「それ今だ!」
「くん!」
「ギイイイ!」

 的確な指示を出すと、子犬はしっかりと役目を果たした。
 フィルはうんうんと笑顔でうなずく。

「この子、結構すごいかも!」
「たまに片鱗へんりんを見せるっていうか、力を発揮する時があるね」

 それにはアケアも同意だ。
 ここまで何度か指示を出してきて、子犬は期待以上に働きを見せたのだ。

「じゃあ、あのネガトの指示が悪かったのかな」
「そうかもね。もう、こんなに出来る子なのに!」
「くぅん!」

 ねー、とフィルは子犬を抱き寄せる。
 フィルもすっかり気に入ったようだ。
 
 ──そんな時、アケアが目付きを変える。

「後方から魔物だ。かなりデカい」
「……!」
「ここは僕が出た方が良いかも」

 今回はフィルの願いでアケアが手を出さないようにしていた。
 だが、そうも言っていられない魔物のようだ。
 それでも、フィルは子犬に目線を合わせて口にした。

「私たちにやらせてもらってもいい?」
「くぅん」
「二人とも……!」

 フィルも子犬も覚悟を持った目だ。

「わがままかもしれないけど、危なくなったら退くから」
「くぅん」
「……わかったよ」

 アケアも二人に応え、魔物を待ち構える。
 すでに彼らを察知している魔物は、すぐに目の前に現れた。

「グオオオオオオ!」
「「「……!」」」

 Cランク魔物の『ナイルベアー』だ。
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