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10月6日 月曜日
Epilogue(3)-記念写真
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「──ねえ」
拍手が落ち着いたタイイングで、山名さんが声を上げた。
「せっかく今メンバーが全員揃っててさ、さらにこんな素敵なプレゼントまで頂いて。せっかくだから記念に集合写真撮らない?」
「それいい! 撮ろう!」
いち早く賛同したのは輝だった。「え、どうやって撮る? タイマー?」と、早くもスマホを取り出している。
「タイマー使うにしたってどこに置くんだよ」
呆れて眉を寄せた乾に、輝は「あー、たしかに」とうなった。が、すぐに「もう誰かに頼んじゃお」と辺りを見回し始める。
「適当に、ほら通りがかった誰かに頼んで──あ」
何の因果なのだろう、ちょうど校舎からえてきたのはなんと桐山会長だった。果たしてあの人に頼んでいいものなのか、と全員が同じことを考えたのが空気で伝わる。
「──桐山くん。悪いんだけど、カメラマンお願いできない?」
素早く動いたのは新垣くんだった。突然話しかけられた桐山会長はぐっと眉間にしわを寄せている。ああこれは絶対に「なんで僕がそんなことを」と思っている。というかもう顔にそう書いてある気がする。
けれど意外にも、桐山会長は「わかった」と新垣くんが差し出したスマホを受け取った。
なんともいえない妙な緊張感を漂わせながら、私たちは噴水を背に並ぶ。
それぞれが立ち位置を調整し終わったところで、桐山会長はスマホを構えた──が。
「まったく、君たちは……」
桐山会長が呆れたように言ってスマホを下ろす。
「僕を何だと思ってるんだ。普通にしろ、自然に」
それはあなたの無言の圧のせいです、と思いながらもつい吹き出してしまった。それがみんなにも伝染して、緊張気味だった空気が和らぐ。
桐山会長は早くしてくれと言いたげにすでにスマホを構え直していて、私たちは気を取り直してレンズに向かった。屋外なのと距離がある程度離れているのとでシャッター音は聞こえなかったが、何枚か撮ってくれているのが雰囲気で伝わる。
桐山会長が構えを解いたタイミングで、私たちは口々にお礼を言った。新垣くんがスマホを受け取りに桐山会長のもとへと歩み寄る。
「そうだ、女子だけでも撮ろうよ!」
そう言って、輝が真紀ちゃんの腕を引っぱった。
「えっ、私もですか?」
うろたえる真紀ちゃんに、私たちは「もちろん」と笑って手招きする。
輝は山名さんと自分の間に真紀ちゃんを挟み、私は輝のさらに隣に立った。
「僕撮りますよ」
輝がカメラを起動したところで、中村くんが気を利かせてくれる。
それを見て私が「あ、私のでも頼んでいい?」と差し出したスマホは、「じゃあそれは僕が」と塚本くんが受け取ってくれた。
「はーい、もっと寄ってー! あ、花束顔付近まで上げてもらって-。あ、良い感じですいきまーす!」
中村くんのカメラマンっぷりが可笑しくて、吹き出しそうになりながら笑顔を作る。
なんだか、本当に卒業式みたいだ。
でも本当の卒業式には、このメンバーでこんなふうにわいわいすることはできないだろう。真紀ちゃんには美術部があるし、湯浅くんには放送部がある。
だから今日をこんなに特別な日にしてくれた後輩のみんなには、感謝してもしきれなかった。
視界の端で、新垣くんと桐山会長が何か話しているのが見える。なんだろう、と思ったところで新垣くんがこちらへ戻ってきた。
桐山会長は校舎に戻るようなので、私たちはもう一度お礼を述べる。
桐山会長はそれに片手を挙げるだけで応え──ほんの一歩間違えば痛々しいナルシストに見えかねない動作なのに、様になっているのがさすがだと思う──出てきたのとは反対の校舎の中へと消えていった。
拍手が落ち着いたタイイングで、山名さんが声を上げた。
「せっかく今メンバーが全員揃っててさ、さらにこんな素敵なプレゼントまで頂いて。せっかくだから記念に集合写真撮らない?」
「それいい! 撮ろう!」
いち早く賛同したのは輝だった。「え、どうやって撮る? タイマー?」と、早くもスマホを取り出している。
「タイマー使うにしたってどこに置くんだよ」
呆れて眉を寄せた乾に、輝は「あー、たしかに」とうなった。が、すぐに「もう誰かに頼んじゃお」と辺りを見回し始める。
「適当に、ほら通りがかった誰かに頼んで──あ」
何の因果なのだろう、ちょうど校舎からえてきたのはなんと桐山会長だった。果たしてあの人に頼んでいいものなのか、と全員が同じことを考えたのが空気で伝わる。
「──桐山くん。悪いんだけど、カメラマンお願いできない?」
素早く動いたのは新垣くんだった。突然話しかけられた桐山会長はぐっと眉間にしわを寄せている。ああこれは絶対に「なんで僕がそんなことを」と思っている。というかもう顔にそう書いてある気がする。
けれど意外にも、桐山会長は「わかった」と新垣くんが差し出したスマホを受け取った。
なんともいえない妙な緊張感を漂わせながら、私たちは噴水を背に並ぶ。
それぞれが立ち位置を調整し終わったところで、桐山会長はスマホを構えた──が。
「まったく、君たちは……」
桐山会長が呆れたように言ってスマホを下ろす。
「僕を何だと思ってるんだ。普通にしろ、自然に」
それはあなたの無言の圧のせいです、と思いながらもつい吹き出してしまった。それがみんなにも伝染して、緊張気味だった空気が和らぐ。
桐山会長は早くしてくれと言いたげにすでにスマホを構え直していて、私たちは気を取り直してレンズに向かった。屋外なのと距離がある程度離れているのとでシャッター音は聞こえなかったが、何枚か撮ってくれているのが雰囲気で伝わる。
桐山会長が構えを解いたタイミングで、私たちは口々にお礼を言った。新垣くんがスマホを受け取りに桐山会長のもとへと歩み寄る。
「そうだ、女子だけでも撮ろうよ!」
そう言って、輝が真紀ちゃんの腕を引っぱった。
「えっ、私もですか?」
うろたえる真紀ちゃんに、私たちは「もちろん」と笑って手招きする。
輝は山名さんと自分の間に真紀ちゃんを挟み、私は輝のさらに隣に立った。
「僕撮りますよ」
輝がカメラを起動したところで、中村くんが気を利かせてくれる。
それを見て私が「あ、私のでも頼んでいい?」と差し出したスマホは、「じゃあそれは僕が」と塚本くんが受け取ってくれた。
「はーい、もっと寄ってー! あ、花束顔付近まで上げてもらって-。あ、良い感じですいきまーす!」
中村くんのカメラマンっぷりが可笑しくて、吹き出しそうになりながら笑顔を作る。
なんだか、本当に卒業式みたいだ。
でも本当の卒業式には、このメンバーでこんなふうにわいわいすることはできないだろう。真紀ちゃんには美術部があるし、湯浅くんには放送部がある。
だから今日をこんなに特別な日にしてくれた後輩のみんなには、感謝してもしきれなかった。
視界の端で、新垣くんと桐山会長が何か話しているのが見える。なんだろう、と思ったところで新垣くんがこちらへ戻ってきた。
桐山会長は校舎に戻るようなので、私たちはもう一度お礼を述べる。
桐山会長はそれに片手を挙げるだけで応え──ほんの一歩間違えば痛々しいナルシストに見えかねない動作なのに、様になっているのがさすがだと思う──出てきたのとは反対の校舎の中へと消えていった。
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