必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「なんだ、いつもの春風様か。そろそろ雪ちゃんも連れ合いをもっても良いだろうに。別嬪さんがもったいねぇなぁ」
 今にも良い人を紹介しようかと言わんばかりの男に、どう切り抜けようかと雪也が苦笑した瞬間、スコーンッと乾いた音が大きく響くと同時に男の頭がガクリと前に倒れた。
「人様のことにグイグイ踏み込むのって、大きなお世話って言うんだよ~」
 ニコニコと笑いながら木製の杓子を握りしめている青年が男の後ろで仁王立ちしている。雪也と同じくらいの年頃であろうか、柔らかな髪やクリクリとした大きな瞳もあいまってふわふわした雰囲気を持つ青年であるが、この青年こそが雪也に絡んでいた男の頭を杓子で殴りつけた張本人であり、男の息子でもある蒼だった。
「ごめんね雪ちゃん。うちのバカ親父が変な絡み方しちゃったね~。美味しいお野菜でしょ? 良いのあるよ~」
 ほらどいてどいて、と頭を摩る父親を手で後ろに追いやり、蒼はニコリと雪也に微笑みを浮かべた。彼の後ろでは男が「父親に向かって何しやがる!」と怒鳴っているが、蒼は何を気にすることもなく父に視線ひとつ向けない。そんな蒼に勝ち目がないと悟ったのか、ブツブツと文句を言いながらも男は奥へ引っ込んでいった。最初こそこの二人の過激なやり取りにオロオロとした雪也であるが、どうやらこれが彼らの常であると知ってからは苦笑するに止め、口をはさむことは無い。
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