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20話 愛する人の妻になる ーENDー
しおりを挟む隣国から私とイザークが帰国すると… 私たちの結婚式は、大急ぎですすめられた。
もともとの計画では、半年ぐらいかけて2人が成長した姿を、社交界で披露してから王都の中央神殿で、豪華な結婚式をおこなう予定だった
だが……
「どうしたんだ、アンリエッタ? 顔が真っ青だ…」
「だ… 大丈夫よ。 そんなにあわてないで、イザーク… 少しめまいがしただけなの」
バラスター公爵家に帰国のあいさつで訪問したときに、私は急に体調が悪くなり、公爵邸の居間でたおれてしまった。
「まぁ、かわいそうに… きっと隣国からの、旅の疲れが出たのね」
「すぐに医師に診てもらおう」
「どうか公爵様、公爵夫人。 少し休めばすぐに良くなりますから… おかまいなく…」
いくら嫁ぎさきでも… 帰国してすぐにこんな迷惑をかけるなんて、恥かしいわ。
「だめよ、アンリエッタ。 あなたは私の大切な娘になるのだから、遠慮しないで」
「そうだよ、アンリエッタ」
「申… 申し訳ありません……」
断わろうとしたが… 結局、公爵夫妻に押し切られて、泊まることにした。
「私が客間の寝室へつれてゆくよ。 さぁ、アンリエッタ… 私の首に腕をまわせるか?」
ひどいめまいに襲われて、ソファに座ったまま目をあけることもできない私を、イザークは軽々と抱きあげる。
「ごめんなさい、イザーク…」
「私は君の夫になるのに… これぐらいで、謝らないでほしいな」
「ふふっ… ありがとう」
公爵邸の客間に横たわり、私は医師の診察を受けた。 その診断結果を聞いた公爵夫妻とイザークは… 驚愕の表情を浮かべた。
「お嬢様は妊娠しておられます」
「……ごめんなさい」
月のモノがおくれていたから… 『もしかすると?』 と、私自身も妊娠をうたがっていた。
もちろん相手はイザークだけど… 私は思わず謝った。
「あ… 謝らないでくれ、アンリエッタ。 悪いのは私だから」
「いいえ… そんなことないわ。 だってあの時は、本当に嬉しかったから……」
隣国で成人の儀式をうけた、若い貴族たちを祝う舞踏会が、王宮広間でひらかれた。
その夜イザークは、私が暮らす王弟殿下の屋敷に泊まることを許され、私はこっそり部屋へ行き、愛の告白をした。
『愛しているわ、イザーク! あなたを愛せて私は幸せよ』
それまで恥ずかしくて言えなかったけれど… 大人になったその日に、イザークにつたえようと決めていた。
『アンリエッタ… 私も愛しているよ。 ああ、生きていてよかった!』
『つたえるのが、遅くなってごめんなさい。 ずっと私を愛してくれて、ありがとう』
『私のほうこそ、ありがとう… アンリエッタ。 一生かかっても、君を待つ気でいたから… 少しもおそくないよ』
『イザーク… 愛しているわ! 今はあなたが、好きで好きでたまらないの!』
おたがいの愛情が激しく燃えあがり、キスだけではがまんできなくて… 私は迷わずイザークに純潔を捧げた。
私のお腹が大きくなる前に… 私はイザークの妻になった。
…今さらどうでも良い話だけれど。
元婚約者のエミール様は、1年ほど前にレティシア嬢と夜会に出席したとき… 人前で大げんかをして、レティシア嬢になぐられたらしい。
その場で『婚約破棄する!』 …と罵りあい、別れたとか。
さすがに2度目の婚約破棄も、見苦しい醜聞も許されず、どちらも実家から絶縁されて、エミール様は平民になり… レティシア嬢は、あらっぽい気質の女性が多い、南方地域の神殿に送られたというウワサだ。
ー END ー
ここまで読んで下さりありがとうございます!
○ ○ あとがきと反省 ○ ○
テンプレ逆バージョンを… また、ヤッてしまいました。
いつも書き始める時は、ぜんぜんそのつもりはないのに… 書き進めて中間あたりで初めてそのコトに気付くのです。 すみませんアホで(-_-;)
登場人物、全員が… それぞれ、すれ違う話を作りたかっただけなのに……(笑)
プロット作りの時に、気づいても良さそうなのに、なぜか気づかないんだなぁ~ コレが。
反省。
流行らないとわかっていても、元は王道だった逆バージョンの方が好きなのでしょうね。へそ曲がりだから(笑)。
お付き合い下さりありがとうございます。
また、どこかでお会いできれば幸いです☆彡
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