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8話 姉マグノリアと妹ビオレータ
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それまで呆気にとられて見ていた両親が、クロードとマグノリアの話に割って入る。
クロードが激怒している、オーラを感じたデントン夫人は、なだめようと必死にお茶をすすめはじめた。
「まぁ… まぁ… クロード様! 少し落ちついて下さい!」
「そうだわ、クロード様! まずは仲良くお茶でも飲みましょう?! 朝からたくさんお話をしたから、喉がかわいてしまったのではないかしら?」
「おおっ…! そうだ、そうしよう!」
「ありがとうございます、デントン婦人… 今はマグノリアと、このくだらない話を終わらせたいので、のちほどお付き合い下さると嬉しいです」
礼儀正しくクロードはお茶をことわり、ニッコリとほほ笑んだ。
あきらかにマグノリアへの態度とはちがい、クロードの瞳に冷たさはなく、やわらかく和ませている。
「そうやっていつもクロードは、私以外の人には礼儀正しいのに… 私にだけ、“妹のビオレータのように淑女になれ” …とバカにしたり、お説教ばかりするし! なぜ私には意地悪なの?!」
クロードと両親のやり取りを見て… マグノリアは感情的になって怒鳴った。
「それは… いつも君が、子供っぽい我がままで、私を困らせるからだよ… ビオレータは今の君のように、大声で怒鳴るような無作法なことはしない… だから少しは君も見ならえと言ったのさ」
隣にいるビオレータを見下ろし… クロードはビオレータと目が合うと、ニコリと笑い、視線をマグノリアにもどした。
ビオレータに対する、クロードの優しげな態度を見て… ますます腹をたてるマグノリア。
「だ… だから、いつもクロードが淑女だと褒めてるビオレータと、結婚式だけあなたのために、代わってあげたのよ!! もんくはないでしょう?! あなたが大好きな淑女と、結婚式が出来たのよ?!」
「代わってあげた… ですって?!」
クロード様がどれだけ、お姉様のことを愛しているのか、知らないの?! 知っていたら、絶対にそんなことは、言えないはずだわ!!
姉の言いわけを聞いていたら、思わずムッ… としてビオレータも、2人の話に口をはさんだ。
「そうよ! だからクロード、あなたもこれに懲りたら、ビオレータばかり褒めるのは、止めてちょうだい! これからは私を妻として、尊重して!」
顔を真っ赤にしてマグノリアは、拳をにぎりクロードに反抗した。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
“私を妻として” …と聞き、ビオレータとクロードは思わずだまりこんだ。
「マグノリア… あなた、もしかしてビオレータに嫉妬して… 身代わりなんてさせたの?」
デントン婦人が静かにたずねた。
「そうよ、お母様! クロードは私のことは、子供のように軽くあつかうのに! ビオレータと話す時は、いつも礼儀正しくしているのよ?! こんなのおかしいし、不公平だわ!」
マグノリアは怒鳴りながら、ジロリッ… とクロードと、そのとなりにいるビオレータを悔しそうににらんだ。
「・・・っ?!」
私に嫉妬していた?! そんな… お姉様が私のことを、そんなふうに思っていたなんて?! 知らなかった… 私の方がいつも、お姉様とクロード様が子供のころのように、口ゲンカをしたり、揶揄いあったりしているのが… うらやましくて、嫉妬していたのに…?
「お母様… 婚約者は私なのに、クロードは少しも私を大切にしようとしないのよ?! だから、クロードにお仕置きをしてあげたのよ―――っ!!」
興奮したマグノリアは、家中にひびきわたりそうな、大声でさけんだ。
マグノリアは結婚式直前に、自分がいなくなることで、妹のビオレータを困らせ、クロードをあわてさせたかっただけなのだ。
クロードが激怒している、オーラを感じたデントン夫人は、なだめようと必死にお茶をすすめはじめた。
「まぁ… まぁ… クロード様! 少し落ちついて下さい!」
「そうだわ、クロード様! まずは仲良くお茶でも飲みましょう?! 朝からたくさんお話をしたから、喉がかわいてしまったのではないかしら?」
「おおっ…! そうだ、そうしよう!」
「ありがとうございます、デントン婦人… 今はマグノリアと、このくだらない話を終わらせたいので、のちほどお付き合い下さると嬉しいです」
礼儀正しくクロードはお茶をことわり、ニッコリとほほ笑んだ。
あきらかにマグノリアへの態度とはちがい、クロードの瞳に冷たさはなく、やわらかく和ませている。
「そうやっていつもクロードは、私以外の人には礼儀正しいのに… 私にだけ、“妹のビオレータのように淑女になれ” …とバカにしたり、お説教ばかりするし! なぜ私には意地悪なの?!」
クロードと両親のやり取りを見て… マグノリアは感情的になって怒鳴った。
「それは… いつも君が、子供っぽい我がままで、私を困らせるからだよ… ビオレータは今の君のように、大声で怒鳴るような無作法なことはしない… だから少しは君も見ならえと言ったのさ」
隣にいるビオレータを見下ろし… クロードはビオレータと目が合うと、ニコリと笑い、視線をマグノリアにもどした。
ビオレータに対する、クロードの優しげな態度を見て… ますます腹をたてるマグノリア。
「だ… だから、いつもクロードが淑女だと褒めてるビオレータと、結婚式だけあなたのために、代わってあげたのよ!! もんくはないでしょう?! あなたが大好きな淑女と、結婚式が出来たのよ?!」
「代わってあげた… ですって?!」
クロード様がどれだけ、お姉様のことを愛しているのか、知らないの?! 知っていたら、絶対にそんなことは、言えないはずだわ!!
姉の言いわけを聞いていたら、思わずムッ… としてビオレータも、2人の話に口をはさんだ。
「そうよ! だからクロード、あなたもこれに懲りたら、ビオレータばかり褒めるのは、止めてちょうだい! これからは私を妻として、尊重して!」
顔を真っ赤にしてマグノリアは、拳をにぎりクロードに反抗した。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
“私を妻として” …と聞き、ビオレータとクロードは思わずだまりこんだ。
「マグノリア… あなた、もしかしてビオレータに嫉妬して… 身代わりなんてさせたの?」
デントン婦人が静かにたずねた。
「そうよ、お母様! クロードは私のことは、子供のように軽くあつかうのに! ビオレータと話す時は、いつも礼儀正しくしているのよ?! こんなのおかしいし、不公平だわ!」
マグノリアは怒鳴りながら、ジロリッ… とクロードと、そのとなりにいるビオレータを悔しそうににらんだ。
「・・・っ?!」
私に嫉妬していた?! そんな… お姉様が私のことを、そんなふうに思っていたなんて?! 知らなかった… 私の方がいつも、お姉様とクロード様が子供のころのように、口ゲンカをしたり、揶揄いあったりしているのが… うらやましくて、嫉妬していたのに…?
「お母様… 婚約者は私なのに、クロードは少しも私を大切にしようとしないのよ?! だから、クロードにお仕置きをしてあげたのよ―――っ!!」
興奮したマグノリアは、家中にひびきわたりそうな、大声でさけんだ。
マグノリアは結婚式直前に、自分がいなくなることで、妹のビオレータを困らせ、クロードをあわてさせたかっただけなのだ。
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