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第二章
マリアベル バレる
しおりを挟むソフィアとアビゲールが学園のティルームで勉強していた。
ここは、席が広く騒ぐ者もなく、勉強するにはもってこいの場所であるので、真面目な生徒達のちょっとした憩いの場になっていた。
ソフィアは冷めた紅茶を飲み干し、そろそろ閉店の時間かしら?と、時計を見る。
すると、厨房より侍女風の女生徒が大きな紙袋を抱えて出てくるのを見た
「あら、可愛い子ね!ちょっとマリアベル様に似ているわ。」
微笑ましく後ろ姿を見ていた。
「あら、マリアベル様だわ、何処にいらっしやるのかしら?」
アビゲールがつぶやいた。
「どこ、何処にいらっしらるの?」
「ほら、紙袋を抱えて、、、ああ、もう出ていかれましたわ。」
混乱した、先程の娘は茶色い髪、
確かに似てはいましたが、、、
荷物もそっちのけで後を追った。
ベンチに腰掛け、紙袋を覗く彼女を見つけた!
確かに顔は似ている、、、
でも、あのアビゲール様が 本人だと言ったのだ。
「ねえ、ちょっと、あなた?」
私は彼女の腕に手を添えた。
その時感じた魔力は、、、、、
「「「「マリアベル様ぁぁぁー」」」」
全く、この方ときたらぁ、、、
————————
夜、アビゲールを従えたソフィアが、マリアベルの部屋に”突撃 隣の晩ごはん”してきた。
————————
「一体どう言うことですの?」
わたくしはマリアベル様に詰め寄った。
マリアベル様曰く
「私は 二つの仮面を持つ女」と、おっしゃる。(二重人格なのかしら?)
全く意味がわからないわ?
アビゲールが助け舟を出した。
「ソフィア様、マリアベル様は マリアベル様でしてよ!ね、!」
こちらも 何が言いたいのか 意味不明??
おずおずと、マリアベルはカツラを脱いで、
「実は、私、こー言うもんでして、、、」
髪が短い、、、髪色が違う
唖然として言葉が出ない。
マリアベルは狂ったように言葉を捲し立てた
「お控えなすって、お控えなすって!」
「手前生国と発しますは、クラレンス領 みちのく オルファイドの国 マリアベルにござんす。
流れ清きロールア川に生湯を遣い、風光明媚で名高いドラゴンフライ岬の断崖絶壁よじのぼり、、、、、、、、」
この娘なに言ってるの?
変なポーズとってるしぃーー
膝からガックリ崩れ落ち、
なんなの?なんなの?なんなのぉ?
ハァハァ、ハァハァ
パニックに落ち入り呼吸が困難になった。
その時
ふわっ、と誰かに抱きしめられた。
何か暖かいモノが私を包む
「大丈夫、大丈夫よ、ほらほら、」
背中をトントン、トントン、トントン
「グスン、グスン、メソメソ(涙」
「私 頑張っているの、頑張っているの、、、」
「そうね、頑張っているわね」背中トントン
身体から重いものが流れ、心が洗われたように軽くなった
我に返ってみると、マリアベル様にトントンされていた。
「も、申し訳ございません。
大丈夫です、もう落ち着きました。」
羞恥で顔が赤くなる。
穴があったら入りたいとは この事だ。
アビゲールが
「とても良い物を見せていただきましたわ!
うふふ、
先ほどまで、自愛の雨が降り注いでいるような風情でしたの、それはそれは美しい銀の雨でしたわ」
その光景を思い出したのか、ウットリとした表情で二人を見つめていた。
あれ?今日、雨降ってたかな?
ボケっとするマリアベルだった。
———————————-
この素晴らしい光景が忘れられず、興奮状態の収まらないアビゲールは、兄に手紙をしたためた。
ソフィアは、マリアベルから発生したと思われる「銀の雨」についての考察を 報告書にまとめ サリバン先生と父 キングスバリー公に送ったのであった。
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