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第二章
トラビス王と王家の呪い
しおりを挟むオルファイド王家 27代国王トラビス
ノーザンコート伯爵チャールズ
キングスバリー公爵アンドリュー
そしてアルビス公爵テオドール
建国に携わる古い家柄の貴族が王の自室に集まっている。
月に一回の「王国の呪い」についての研究会である。
「王家の呪い」それは建国に遡る
初代国王 エドワード1世
月の女神の眷属と恋をし妻に迎え、神の加護を得て、乱世を統一した 覇者王として伝えられている。
オルファイド王家は神の末裔
神に愛されし一族である。
女神と英雄の「真実の恋」
そう伝えられている。
しかし、その逸話には続きがあった。
女神であった女は、地に降り、不老の加護を捨て人としての人生を 愛する夫と歩んでいた。
だか、しかし、齢60になるエドワード1世は妻を捨てた。
旅の踊り子に夢中になり、踊り子を王妃にすべく 邪魔になった妻を 離島の修道院に送ったのだ!
周りは諌めた
だが王は慢心していた。
「あの様な年老いた女などに、なんの加護があろうか!」
「この若い娘にこそ我が王妃の座が相応しい、この愛こそが真実であったのだ」
「あの女は神を騙り 余を嵌めたのだ!」
王が幼き頃からの忠臣である五家は事の重大さに驚き、神罰を恐れ、
人に知れぬよう 王を病気と称し廃し 皇太子を即位させた。
昔 女神であった王妃は、修道院で姿を消した。
ある朝、修道女がお世話に入室したところ
忽然と姿を消していた、
ベッドの上には 白いウレクラの花が人型に並べられていた。
(それ以後ウレクラの花は王室の葬儀の花として使用されている。
庶民では結婚の時の花冠として使用されている。
花言葉は、浄化、清廉潔白、貴女を一生愛する)
事実は五家の間で速やかに隠匿され
「王は心の臓の病で急死された。
病気で亡くなった王の後を追う様に王妃が亡くなった」
と話を捏造し世間に拡散させた。
その後、天は轟き、地は芽吹きを止め、国が荒れた。
鎮魂と神への祈りの為
王妃が消えた修道院後地に神殿の総本山を移し神に祈りを捧げた。
その後、何故か、王家直系の男子のみにだけに、おかしな現象が起こるようになった
まず、王には子供が絶対に三人
(しかし父王ジョージは"ケイ様”との間に4人目の子供をもうける事が出来た。)
そして、生まれる比率は男子が二人以上。
その内一人が「真実の愛」を掲げて命を落とす。
「真実の愛」パターンは2種類
①、王家から離脱し相手と添い遂げる為に庶民となる
神殿へ赴き1か月の祈りを捧げる。
王子は庶民として生活していくうちに何故か髪色が金より茶に変わっていく
この場合の死は自然死が多い
何故か絶対 子供は出来ない。
②、自分の権利を行使して、周りを巻き込み、邪魔するものを断罪し、己の正当化を図る。
この②パターンが厄介なのである。
これがはじまると、、、
まず天が荒れ始める。
雲に覆われて長雨になる。
このまま続けば収穫量が落ち飢饉に陥る。
初代王の時に慣い毒杯を与える。
すると天候が回復し、地は緑で潤い始める。
戒めの為、次代に一人 王の息子 又は王太子の息子が、神殿で祈りを捧げる役目を担った。
こうして王国の存続、王位の継続、を図ってきた。
これが建国300年続くオルファイド王国の
「王家の呪い」
王家と、建国五家だけの秘密である。
———————————-
本来ここに
ハワード侯爵ネイサン
ランディエール侯爵サミュエル
が加わり五家となるのだが、、、
ハワード家は武門の家柄
炎を操る一族で大抵は赤系の髪をもって生まれる。
武に関しては素晴らしい頭脳を発揮するのであるが、他の事柄に関しては全く手助けにはならない。
本人達も自覚があるので会議の結果のみを聞くに止まっている。
紫の髪を持ち、見目麗しく、独特の色気を醸し出すランディエール家は、唯一「魅了」を発動出来る一族である。
建国よりも ずっと前、魅了をもつ魔族と恋に落ち妻にした。
でも、彼らは「魅了」を悪用しない。
(時々政治的にハニートラップに協力しているが、、、)
なせなら、
恋とは甘美なるもの
愛し愛された者の魔力は、芳醇で深く まろやかで ビロードのように肌を滑り 素晴らしい交響曲を聞いている時の高揚感と興奮を味わえるもの
そして、纏わりついて我を離さない粘りけのある甘味と、心焦がすような苦味。
「魅了」で得た相手の魔力、そんなものクソ喰らえだ!
そんな物を得るくらいなら泥水を飲んだ方がましさ!
と、言う 恋と美食の一族
かの一族は、一度愛した者はお互いの愛が消えない限り決して離さない。
そして、その愛の形は幾つも存在する。
愛の魔力は、色を変え、形を変え、味を変え、私を誘惑してくるのさ、
そんな甘美なモノに私が逆らえる筈がなかろう!
と言う。
そんな一族なので、愛の価値観が全く違う。
「その時その愛が真実ならば、その愛を堪能すれば良いではないか!
今 手にしている愛を わざわざ離す必要などないたろうに、
その愛を育てれば、愛は熟成し芳醇な味と香りを放つ。其れもまた一興
新たな愛に出会ったら、それもそれで楽しめばよいではないか。
人生とは楽しきものよ!」
なので、「真実の愛の呪い会議」は面倒だと滅多に出席しない。
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