転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール

文字の大きさ
38 / 163
第二章

マリアベルとお祖父様

しおりを挟む

キングスバリー公爵家から馬車に乗り一時間、

御者さんが、
「もうじき到着です。
ほら、皆様お出迎えしておられますよ。
窓から覗いてみて下さい。
あの、大きなグレーの門のお宅ですよ」

門の前には壮年の夫婦が立って手を振っている。
後ろに、使用人さん達も立っている
わぉー、熱烈歓迎だわ!

馬車を降りたら、
いきなり、壮年夫婦が私の手を取り、
「マリアベル様、私達が至らぬばかりに苦労おかけしました。
本当に申し訳ありません。」
と謝られてしまった。

ところで、こちらの方は?誰でしょう?
助けてを求めてキングスバリーから付いてきてもらった護衛の方を見た。

「ノーザンコート伯爵ですよ、
クラレンス侯爵のお父上様にあたります。」

旦那様のお父様?
では、大旦那ではないですか!
どうして、私が頭を下げられなければならないの?

「大旦那様、頭をお上げ下さい。私のようなものに、、、こちらこそ申し訳ごさいません」

「大旦那様などとは、、、
あの子達は、一体どんな扱いをしてきたのだ、おいたわしや、、、マリアベル様」
逆に、また、謝られた。

もう、訳が分からない。
どうすればいいの?
そーいえば、私 前妻の娘だったのだわ。

「あの、大旦那様、つかぬ事をお聞きしますが、、、
私の母は前王の娘で、旦那様の前妻でよろしいでしょうか?
では、私の父は旦那様?
そして、大旦那様はお祖父様になるのでしょうか?」

「そうですよ!貴女様はわたくし達の孫なのですよ!」
「何と言う事だ、あやつは、自分の娘に、それも王家の血筋の娘に、自分を旦那様などと呼ばせていたのか•••何という無礼な、、、」

玄関前で頭下げ合戦が続いた。

私の言葉で局面は打破した。
「お祖父様、お婆様、初めまして。
マリアベルと申します。」
サリバン先生から習った血族に対する最上の礼をとった。

「マリアベル様、わたくし達を許して下さるのですね、ああ、何と尊い御心をお待ちなの•••」
「マリアベル様、重ね重ね申し訳ない」

打破できなかった••••

こー言う時は話の流れを変える!
孫の話、子供の話、嫁の話、どれもダメだわ、、、、
ふと、目を逸らすとそこにはフリフリピンクの薔薇が、あら、フリル咲きね。綺麗だわ。
…………
そうよ!退職したら庭の話 と、相場は決まっているじゃない!そうよ!

「お婆様、話の腰を折って失礼な娘とお思いにならないで下さいましね。」
ソフィアを真似て 前置きを言ってみる。
「あそこの薔薇がとても綺麗で気になってしまって••• 近くて見てもよろしいでしょうか?」

お婆様、釣れた!
「まあ、マリアベル様、あれはミスクイーンズハートと言う新品種なのよ!」

「フリル咲きがとても美しいですわ。
それにピンクから白のグラデーションがとても際立っていて素晴らしいですね。」

ふぅ、なんとか 会話を 薔薇に持っていけた。

そこで負けじとお祖父様 参戦!
「マリアベル様、王都で評判の菓子を、取り寄せたのだよ、さあ、こちらの庭が見える席で、私とお茶でも如何かな?」
お祖父様、エスコートポーズをする。
私は手を添えて、
「では、お祖父様、エスコートをお願いしますわ」
お祖父様ニコニコである。

よーし、完全に風向きが変わったわ。

三人で軽く軽食のついたお茶会を楽しんだ、
が、
風向きが変わってしまった。
お菓子を侍女に下げわたそうとして、お祖父様 気が付いてしまった。
「マリアベル様、其方、侍女の一人も付いておらぬのか、なんと言う事だ•••」

マズイ、また謝罪合戦に突入か、
と思いきや、お婆様が助け船を出してくれた。

「アナタ、マリアベル様は午後には出発されないと、今日の夜までには予定した宿には付けませんよ。
侍女でしたらうちの子を、出したらよろしいではないですか。」

「 クシュン、、、」
後ろで誰かがクシャミをした。
振り返ってみたけど、誰も居ない。
人がいた気配がしたけど•••• 気のせいかしら?

二人の間で話しはまとまり、無事ノーザンコート邸を後にする事が出来た。

馬車に乗り、窓から手を出す。
「お祖父様、お婆様、名残惜しゅうございます。」

「大丈夫だ!遅れて私もクラレンス領に参るでな。
マリアベル一人では心細かろう。待っておれ。」

私は幸せ者だ!
こんな素敵は祖父と祖母がいてくれて•••
こんなに気を遣っていただけるなんて、とても嬉しく思った。












しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ

柚木 潤
ファンタジー
 薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。  そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。  舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。  舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。  以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・ 「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。  主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。  前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。  また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。  以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。  

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん
ファンタジー
 誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。  運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……  与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。  だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。  これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。  冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。  よろしくお願いします。  この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

【第2章完結】王位を捨てた元王子、冒険者として新たな人生を歩む

凪木桜
ファンタジー
かつて王国の次期国王候補と期待されながらも、自ら王位を捨てた元王子レオン。彼は自由を求め、名もなき冒険者として歩み始める。しかし、貴族社会で培った知識と騎士団で鍛えた剣技は、新たな世界で否応なく彼を際立たせる。ギルドでの成長、仲間との出会い、そして迫り来る王国の影——。過去と向き合いながらも、自らの道を切り開くレオンの冒険譚が今、幕を開ける!

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

売れない薬はただのゴミ ~伯爵令嬢がつぶれかけのお店を再生します~

薄味メロン
ファンタジー
周囲は、みんな敵。 欠陥品と呼ばれた令嬢が、つぶれかけのお店を立て直す。

【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……

ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。  そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。 ※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。 ※残酷描写は保険です。 ※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。

処理中です...