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第二章
マリアベルの災難 4
しおりを挟む王都に帰り、クラレンスのタウンハウスに一泊した。
私の部屋があった。
白を基準とした部屋に、玉子色のカーテン
ピンク色のウサギや、花の彫刻を施したベッド、、、
ディズニーのお姫様の部屋みたい。
「ちょっと子供っぽ過ぎるね」
父が言った。
「でもね、これはコーネリアが赤ちゃんに、と考えてた部屋なんだ。
三人で王都に来て王様に会うんだって、、、、」
父が泣きそうな顔をした。
私はベッドに腰を掛けた父を抱きしめて、背中をトントンした。
(大丈夫、大丈夫、私が いるわ!)
ローガンに慈愛の雨が、降り注いだ。
次の日、学園に出発した。
今回はお付きの侍女無しとはいかなかったので ガブリエルについて来てもらった。
「懐かしいですねー!」
お部屋を片付けたら訓練所行って来てもいいですか?
ガブリエルは身体を動かしたいようだ。
「いいわよ、夜は一緒に寮の食堂で取りましょう。」
それまては帰って来るようにと私は言った。
のど渇いたから紅茶でもいれましょう、あれ? 違和感を感じた。
私、紅茶なんか好きだったかしら???
夏は冷たい、いつも冷蔵庫から出して••••
む•ぎ•ちゃ、、、
そうよ!麦茶 冷たい麦茶じゃない。
どうして早く気が付かなかったのかしら?
もー、認知症だわ!
(あっ、認知度酷くなったからホームに入ったんだっけ、オホホホ。忘れてたわ。)
作り方は知っている
子供の頃はムギ煎ってたわ。
そうそう、足踏み脱穀機でザザザっ
て脱穀するのよね、懐かしいわ。
井戸で冷やしてたっけ。
小麦粉があるんだから、麦あるに決まっているじゃないの!
そういえば、お祖父様に、思い付いた食べ物を作成するのを禁じられていた。
真似をされて権利の問題に発生するからだ。
そうね、産業スパイが潜んでいる可能性もあるわね。
でも、ムギだったら部屋で煎れるし大丈夫よね!
私は マリアセットを着用して学園の食堂へ向かった。
残念ながら食堂には小麦粉しかなかった。
では厩舎なら、と向かったが小麦はエサにしていないかった。
「残念だわぁ~⤵︎⤵︎⤵︎⤵︎」
すごーく残念だった。
今度、お祖父様にバザール連れて行ってもらいましょう。
じゃあ、大麦もあるのかしら?
小麦の麦茶より大麦の方が断然美味しいのよね。
私は調べるため、図書館へ向かった。
食料分布、麦の育成と交配、簡単パンのレシピ、
どれがいいかしら?
[オルファイド王国食糧年間]これなんか良さそうね。
厚さ15cm位ある。重そう。
本棚から抜けない。
ウンとこしょ、どっこいしょ、
それでも、まだまだ抜けません。
後ろから人が引っ張った、
2人で、ウンとこしょ、どっこいしょ•••
って、誰? と後ろを振り向いたら、、、
エロブルーことスティーブン•アルビスが私の二の腕を掴ん一緒に引っ張っていた。
あっ••••••• 固まった。
「ごめん ごめん、あんまり一生懸命に引っ張っていたから ついつい、、、」
彼は、クスクス笑って言った。
「はい、この本でしょ!」
エロブルーは本を取って私の前に差し出した。
「重いから、ほら、手を出して」
私の、両の手を掴む
これ、ワザとだ!!!
異性には触れては、いけない
わたし、セバスチャンにそう習ったもん。
安易にさわっちゃいけないって••••
怖い、怖い、怖い、
コツ、コツ、コツ、足音で我に帰った。
書士さんだ!
「あら、その本重いでしょ、年代別の食糧統計もあるわよ、」
書士さん、あなたは救いの神だ。
心の中で手を合わせる。
「ありがとうございます。必要な年代を、調べてまた来ます。」
「アルビス様もありがとうございました。」
お礼を言って、一目散に逃げ帰った。
———————-
[青い貴公子]スティーブン•アルビス
どんな事にも動じないクールな男
そんな彼は頬を染め マリアの後ろ姿を見送っていた。
———————-
捕捉
マリアセットとは
アイラからもらった茶のカツラ
入学前に買った侍女服の中の一枚
地味なネズミ色の生地で作られた、オーバーサイズのロングスモックである。
茶のカツラに、地味なスモックをワンピースの上から羽織れば、侍女マリアに早変わりー!
ちなみに、これは和装エプロン風なので マリアベルの大のお気に入りである。
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