転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール

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第二章

秋の夜長はお花見タイム。

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アビゲール様からいただいた種が育ち蕾がついた。
白いチューリップだ。
真っ直ぐな茎に昔からあるただのチューリップ。
よくある花だ。
何処から見てもなんの変哲もない、普通のホームセンターで 球根3個100円で売ってるチューリップ。
しかし、、、種からチューリップが咲くかなぁ?

みんなはどんな花が咲いたんだろう?

朝、顔を合わせてだ時、ソフィア様が興奮して、話し始めた。
「アビゲール様からいただいた種、蕾が開きかけてるの、楽しみだわ!
白から赤のグラデーションで、フリルが入っていて、花弁がたくさん重なっていて、あんなに美しいお花見た事ないわ!
皆様どんなお花が咲きましたの?」

「まぁ、ソフィア様は赤いお花ですのね。
赤い色は情熱の象徴なのですわ!ウフフ
素敵ですわぁ~」

まあ、そうなんですの?
そうですわよ!
ウフフ、オホホ、と話している。

「わたくしは、ブロッコリーの花が咲いた様な、ちょっと地味なお花なんです。
多分花は白ですわ、昨年もそうでしたから」
アビゲールは言った。

マリアベル様は?
「白いチューリップでした。」

チューリップ???
どうやらこの世界にはチューリップは無いらしい。
絵に書いて説明したが、私は絵心が全く無いため [棒に飴が刺さっている]にしか見えなかった。

ソフィア様が、
「では、今晩、お花の鑑賞会をしませんか?
お花を持ち寄って、」
と、いう事でお花見をする事になった。

お花見かぁ、
お団子と、お茶が欲しかったなぁ。
[なりたい小説]だったら主人公がチートで直ぐ作っちゃうのになぁー、
私 チート無いし•••

でも、お花見には餡子と言う事で
[ミニパンケーキの餡子バターサンド]
通称どら焼きもどき、を作る事にした。
これなら部屋のキッチンでも出来る。
お嬢様方はお上品なので一回り小さく作る。
侍女さんも同行するのでたくさん作る。
お手伝いしてくれたガブリエルには、特別に 大きなどら焼きもどきを 用意してあげた

紅茶はよく分からないので渋みの無いサッパリとした物を用意してもらった。

さあ、準備万端!いつでも来い
そのまえに湯浴みだ。
着替えて、部屋の窓を開けて空気を入れ替える。

アビゲールが、ポッポと侍女さんと一緒にやって来た。
「お招きいただきまして、ありがとうございます。」
ポッポもポッポーと鳴く。

続いてソフィア様がいらした。
こちらは侍女さん2人で鉢を荷台に積んできた。
ソフィア様の花が大きい
うわぁー、子供の頭一つ位ある。
これは凄い。

「今日は月が綺麗ですわね、
月の光を、浴びると開花か早くなるのですよ。
月には何か強い力があるのでしょうね!」
アビゲールが言う。

一番初めはソフィアの花
白から赤のグラデーションが真っ赤に染まり
一斉に開く様はまるで燃えているかの様、
薔薇咲きの芍薬に似た柔らかい花弁はフリフリとウェーブしている。
大きく開花した姿は誠に美しく、圧巻としか言いようがない。
みんなが「ほぅ、」と声を上げた。
実にソフィア様らしい花である。

次に開花はアビゲール様。
ブロッコリーとおっしゃったが
かすみ草がビッシリと詰まった花束に似ている。
とても可愛い。アビゲール様らしいお花だ。
花は、白でなく薄いピンク、
アビゲール様の侍女さんがビックリされた。
「まぁ、お嬢様 今年は桃色ですよ!」
「そうね、初めてだわ、どう言う事でしょうね?」
アビゲールは膝で寝ているポッポを撫でながら不思議そうな顔をした、、

私の花は、咲かない、開こうともしない。
可愛くない。地味だ。
「茎が、マリアベル様の真っ直ぐなご気性を表しているのですわ」
「珍しいお花ですわね、」
みんな、慰めてくれなくていいわよ。
ただのチューリップだもの、
クスン、クスン、

夜10時になっても開かなかった。
仕方が無いのでお開きにしますか、と私は片付ける為キッチンへ向かおうとした。
「マリアベル様ー、早く、咲きますー」
アビゲールが叫んだ。

走って戻ると、
花弁が反り 花が開き、
中からキラキラと星屑が溢れ落ちた。
まるで星の噴水のように、キラキラ、
キラキラ、、
キラキラ、、、

みな、この幻想的な景色を間近かにみて、声を失った
、、尊い、首を垂れ、涙している者もいた。

そして、星屑は 何も無かったかの様に綺麗に消え失せた。

はぁ、終わったのね、終わってしまったのね、
みんな、無言で粛々と帰って行った。


——————

「しっかし、お嬢様、最近キラキラ増産してませんか?」

「知らないわよ、勝手に出るんだもん、」

「お菓子残らなかったですね、残念だわ、
冷蔵庫の、餡子食べていいですか?」

全くブレない ガブリエルであった。










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