転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール

文字の大きさ
124 / 163
第二章

王の決断とウーラノスの決断

しおりを挟む

 ************

「学園より火急の使者が、サリバン子爵夫人ご本人です。」

王は顔色を変えた。

 **********

この光景を見ていた者がいた。
ハワード侯爵と、先程任ぜられたばかりのドゥラーク辺境伯である。

2人は次回の遠征についで話し合っているところだった。

先程まで警備に当たっていた、生え抜きの護衛の者が居なくなっている。
アイツ、コイツ、それに、あの者も••••
みんな、土魔法使いじゃないか?
ドゥラーク辺境伯はハワード侯爵と目を合わせた。

( 何が始まっている? )

ハワード侯爵は言った。
「ウーラノス殿、貴殿の力を借りるかもしれん。敵は雷使いだ、、、」
「雷使い、では王家縁のものか?」
「そうだ!私は陛下に合わなければ、、、」

俺はハワード侯爵と一緒に廊下に出た。

「おお、ハワード侯爵、探しました」
近衛騎士団長のユチノフ卿が走って来た。
陛下より五家の方に連絡をと、隣の部屋にてお待ちです。

俺などが同席して良いものか?
「一緒に来て欲しいのだ」
ハワード侯爵は縋るような目で私に訴えた。

広間の隣の王家控室。
入室すると、5人の騎士が揃っていた。

王の脇にはエチケット夫人(失礼、名前を失念してしまった)が控えていた。

「ハワード侯爵、今しがた連絡が入った。
始まってしまった。」

「始まった?まだ、一年ありますぞ、何故?どういう事ですか!」

「ジェイコブがマリアベルを討とうとしているらしい。」

「なんですと!!!」私は話に割って入った

「そんな、大変な事が起きているのに、悠長に話し合いですか。
殿下と姫の命が掛かっておいでなのですよ。
私が、向かいます。
状況わかるものは、どなたか?」

エチケット夫人は王の顔色を伺った。

「この期に及んで何を躊躇させておる。御二方が死んだらどうする!」

夫人は心を決めて話始めた。
「ジェイコブ殿下がマリアベル様を私怨で断罪し、討とうとしています。
ただ今、職員の土魔法が使える者と、ウッドフィールド子息が木のバリアを張り防いでおります。
ここに向かう途中、フランシス•カーバンクル嬢が 殿下に魔封じの腕輪を付ける計画を実行してみると言っておりました」

なんと無謀な•••

「陛下、何卒、何卒わたくしの生徒達をお守り下さい。」
エチケット夫人は膝を下り頭を垂れた。

「夫人、非はどちらにあるのですか?」

「殿下の、一方的な怨恨です。マリアベル様には全く罪はありません。」

「よし!話し合いは後から出来る。
陛下、マリアベル様をお救いしてよろいしですな?
そして、姫を救う為に ジェイコブ殿下の生死は問わない、でよろしいですな!」

「待ってくれ、ジェイコブは生かして保護してくれ!!!」
王は懇願した。

「陛下、あれだけの魔力のある殿下を生かして保護するとなると、100名以上の騎士が死ぬ事になるでしょう。私とて命の保証は無い。
もちろんマリアベル様も、、、」

「そして、貴方は愚王の汚名を着る事となる。」
俺は冷たく言い放った。

「私は1人でも行きます、マリアベル様を助けに」
「いや、2人だな!」ハワード侯が笑って言った。

2人の漢はマントを翻し 王に背を向けた。




トラビス王は叫んだ
「皆の者、将軍らに続け!マリアベルと学園を守るのだ!!!
その際、ジェイコブの生死は問わん。
健闘を祈る。」


うおおぉー
後ろから、五人の騎士が走って来た。

「直ぐにも、第二陣を向かわせる、なんとかしのいでくれ。」
後ろから王の声が聞こえた。


************


俺たちは馬で学園に向かった。
ここから馬で15分の距離にある。

息をする時間も惜しい。
ハワード侯が、馬を脇に付た。
「ジェイコブ殿下はマリアベル様を本気で殺す気でいる。躊躇は要らぬ、我々五家はマリアベル様をお助けする為に動いている。
王に遠慮はいらぬ。」

「よし、あいわかった!」
生かして捕らえる事ほど難しいものはない。
相手の力量が高いほどその難易度は高い。

マリアベル様をお助けする。
その一心で俺は動く!

学園に付き、ホールへ急ぐ
俺も学園の卒業生だ、ホールの場所位は覚えている。

近づくにつれ、焦げ臭い匂いがしてくる。
火を付けたのか?
ホールに入ると彼方此方に土塀バリアの残骸が散らばっている。そして、何故か木々が生えていた。
そして、中央では マリアベル様と殿下、お二人が睨みあっていた。

殿下の回りに光が集まっている。
危ない、雷を放つ気だ

俺は持てるだけの力で、走りながら土バリアを飛ばした。
「マリアベル様ーー!!!」


その時だった


ジェイコブ殿下は上に向かって巨大な光の柱を放った

 雷が落ちる

マリアベル様ーー    間に合わない!
せめて、御前に、俺を、貴方の前に、、、

  <<<<<<<パキーン>>>>>>>

    {{{{{{{{ドッカン}}}}}}}}}

その音はほぼ同時に響いた。


屋根に穴が空き雷が落ちた

ああぁぁ、、、間に合わなかった
お助け出来なかった






いや、、、、



キラキラ、キラキラ、キラキラ


いや、なんだ、あの星屑のドームは
光の粒子が彼女の回りを包んでいる。

そしてそれは、すべてを包み込み、空に向かって舞い上がって行く。

スターダストが••••
キラキラ  キラキラ キラキラ キラキラ

こんな光景は初めて見た。あまりに美しく幻想的な風景に ついつい見惚れるてしまうほどであった。

あっ、マリアベル様は、
ご無事か!!!
しっかりとご自分の足で立っておられる。

殿下は、腰を抜かしているところを ハワード殿に取り押さえられていた。

マリアベル様は、殿下に近づいて、、、

なんと、殿下に1発食らわした!
ワハハ、豪快なお方だ。
おお、ポカポカ殴っているぞ、猫パンチだけど、、
実にお可愛らしい。


殿下は子供みたいに癇癪起こして泣き叫んでいるし、、、 あいつ アホだな。

なになに、
「お前なんて砂漠に嫁に行け、あそこのジジイと結婚しろ。
二度と帰ってくるなぁ、王命だぁ!」

砂漠のジジイと結婚だと?、俺と?

殿下がマリアベル様に掴みかかった
あっ、やばい、マリアベル様のカツラが外れた。
高貴な御姿が一目に晒される。
何とかしなければ、、、


俺は、咄嗟に パンパンと手拍子を打った。
人の注目が俺に集まる。
その隙にマリアベル様にマントを被せた。

でもなぁ、流石に王命と言えど、マリアベル様を嫁にもらうのは、何だかなぁ、、、
子供だし、イケナイよなぁ、、、
混乱の最中だ、殿下の戯言として 人も忘れてくれるだろう。

取り敢えずこの場を納めないと、

「先ほど殿下に言われた砂漠のジジイです。
ウーラノス•ドゥラークと申します。
いや、先程爵位を賜りましたのて、ドゥラーク辺境伯ですかな。」
殿下に挨拶をしてマリアベル様をこの場からコッソリとお連れするつもりだったのだが、

だか、しかし、
なんと、マリアベル様から逆プロポーズ?

目をキラキラさせて、、、
本当にこの方は、なんとお可愛らしいのだ!

俺、オッサンだけどいいのかなぁ?どうしよう•••

まあ、、、いいか。くれると言うならもらっておこう。
本人も嫁に来てくれるというし、、

よし、決めた!
マリアベル様は俺がもらう。

俺は、星の姫を隠すように大事にマントに包み、攫うように連れて帰った


**********

帰り道の馬車の中

坊ちゃん、その荷物は?

殿下からお土産もらったのだよ。

ヘェ~、大きいですね。なんですか?

ああ、人生最高の贈り物さ!

なんですか?

邸に着いてからのお楽しみ♡
(みんな、驚くぞ!)


***********








しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ

柚木 潤
ファンタジー
 薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。  そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。  舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。  舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。  以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・ 「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。  主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。  前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。  また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。  以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。  

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん
ファンタジー
 誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。  運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……  与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。  だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。  これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。  冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。  よろしくお願いします。  この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

【第2章完結】王位を捨てた元王子、冒険者として新たな人生を歩む

凪木桜
ファンタジー
かつて王国の次期国王候補と期待されながらも、自ら王位を捨てた元王子レオン。彼は自由を求め、名もなき冒険者として歩み始める。しかし、貴族社会で培った知識と騎士団で鍛えた剣技は、新たな世界で否応なく彼を際立たせる。ギルドでの成長、仲間との出会い、そして迫り来る王国の影——。過去と向き合いながらも、自らの道を切り開くレオンの冒険譚が今、幕を開ける!

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

売れない薬はただのゴミ ~伯爵令嬢がつぶれかけのお店を再生します~

薄味メロン
ファンタジー
周囲は、みんな敵。 欠陥品と呼ばれた令嬢が、つぶれかけのお店を立て直す。

【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……

ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。  そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。 ※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。 ※残酷描写は保険です。 ※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。

処理中です...