転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール

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第二章

祭りの後

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騎士100名を従えて
王は旧家達と急ぎ学園へ向かった。

大ホールの入り口前に立つと
「陛下、後ろにお下がり下さい。まず土魔法持ちが最初に突入します。」

バン、大きな扉を開け土バリアを纏った騎士が突入した。

人々の視線が騎士達に集まった。

「なんだ、なんだ、」
殿下が暴れているのではなかったのか?」

「おお~、早かったな!殿下ならここだ」
ハワード侯が手を振っている。

ジェイコブ殿下は身体を魔封じのロープでグルグル巻きにされており、さながら芋虫のようであった。

そして、何故か室内なのに木々がざわめいている。

「マリアベル様はご無事か、」
「マリアベル様!ーー」
「マリー!ーー、何処だーー」
旧家の面々は口々に叫ぶ。

マリアベル様はご無事ですぞ!ハワード侯は叫んだ。

泣きながら しがみついて来た娘にキングスバリー公は聞いた
「マリアベル様はいずこへ?」

ソフィアは泣きじゃくり
「殿下が王命で、、、、
ドゥラーク様にあげちゃったのですゔゔぅ
お父様ぁぁあ、マリアベル様を取り返して!!!」

王命?王命を出したのか?
勝手にマリアベル様を下賜したのか?

何という事を•••••

室内は天井に穴が空き満天の夜空が見える。
そして、これだけの惨事があったにも関わらず、参加者は興奮状態でパーティーを続けていた。



もう、大興奮ですわ!!!
女神が降りられたマリアベル様の何と美しいことー
漆黒のマントに包まれたマリアベル様は、
さながら[夜の王と星の姫]のようでしたわ!
キャー、わたくしもあのような求婚を受けてみたいわぁ~

殿下のあの雷魔法を、女神が降臨され無効にされたのだ!
あの、星屑の魔法は素晴らしく美しいかった。
あぁ、マリアベル様の何とも美しいことといったら、あの、銀に輝く金の髪、女神のかんばせ••• 麗しのマリアベル様!!!



何が起こったのだ、
それよりマリアベル様は何処だ、ドゥラーク卿はどうした

林の中では、スティーブン、ラヴィ、ウッドフィールド親子が力尽き座り込んでいた。

「陛下、その事についてお話しが、、、」
ガブリエルを先頭に、フレディ、フランシスが王の前に歩み出て礼を取った。

事のあらましと顛末を聞いたトラビス王と旧家四家は怒りに狂った。

「ジェイコブ、本来なら、お前はここで死んでいたはずなのだ、マリアベル様に救っていただいたのに、、なんて愚かなのだ!!!」

「マリアベル様を勝手に王命を使って婚姻させるとは、何事か!」

早く、王命の撤回の書類を作成してマリアベル様を取り返さなければ、、、
面々はアタフタと動いた。

「お待ち下さい。」
ノーザンコート伯爵の声が聞こえた。
「取り敢えず、しばらくドゥラーク卿にマリアベルを一時的に預かってもらっては如何でしょうか?
マリアベルの容姿と煌めきの加護は皆の知るところとなってしまいました。
女神が降りた娘として、たくさんの求婚者がやって来るてましょう
我が家はまだ警備体制が整っておりません。連れ帰ってマリアベルに何かあっては大変です。」

「たしかにそうですなぁ!
攫ってでも既成事実を作って、、などと考える不埒な輩がでるやもしれません。
ドゥラーク家は武人が多い。おいそれと侵入は出来ないでしょう」と、ハワード侯。

「ダメだ、ダメだダメだ!マリアベルは誰にもやれん。
あれは、2人の忘れ形見、王家の物だ!」

「トラビス王、あげるのではありません。
安全な場所に隠すのです。あそこが一番安全です。
明日、ドゥラーク卿とよく話し合いましょう。
それよりも、問題はジェイコブ殿下の処分です。
これを間違うと、、、天が荒れます。
お分かりですな!」

そうであった。
呪いの後始末、ジェイコブに償いをさせねばならん。
私は王であったのだ、、、、

トラビス王はステージに立った
「皆の者、我が息子ジェイコブが晴れの卒業を汚してしまった。申し訳ない。」
王は頭を下げた。
「ジェイコブは王族としてではなく、人として償いをさせる。
そして、今日、被害を受けた者は申し出るように、私が個人的に損害を補償する。
本当にすまぬ事をした。」

トラビス王は王族ではあり得ない程、深々と頭を下げてた。

割れるような拍手が起こった。

「ジェイコブを罪人として引っ立て!」

ジェイコブ殿下は暴れていたが騎士に担がれホールから出て行った。

王は、木々の隙間から結界に入り ウッドフィールド伯爵夫婦を見舞った。
「夫人、ご無事でしたかな?
この素晴らしい結界の維持はさぞご苦労であったことでしょう。我らのマリアベルの為に尽力を尽くして下さりお礼を申しあげる。」

「勿体ないお言葉です。
娘の大切な友の命を守る為でございます。
それに以上に魔力の供給をしてくれたのはマリアベル様とランディエールの御子息様でごさいます。
私1人の力ではありません。」

(そうであったか、ラヴィとマリアベルが•••)

「そろそろ結界の解除をいたしますね。」
ウッドフィールド夫人とアビゲールは手の平を合わせて詩のような歌を口ずさむ。
そして、歌に合わせて踊った。

風が吹き木々がざわめいたと思ったら一瞬にして木から緑が失われた。
木は、ただの枯れ木に変わった。

「還元の儀式でございます。
恩恵の返還と神へのお礼を歌ったものです。」

儀式を間近に見ていた魔術師達は興奮し、口々に感想を話していた。

魔術とは、古来、神よりの恩恵であった。
それが進化し攻撃魔法となり本来の恩恵の形は失われていった。
ウッドフィールドの加護の形はより神に近いものなのだろう。

「見事なものだ、、、」私は本心よりそう思った

神とは、
女神とは、
[呪い]とは

マリアベルは死なずにすんだ。
ケイ様は[不幸な結末]と[幸せな結末]があるとおっしゃった。

これが、幸せな結末なのか?

ジェイコブは死ぬ、マリアベルは生きる。

私には神のご意志はよくわからない。


トラビス王は息子を失う辛さに押し潰されそうになった。









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