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第二章
マリアベル熱弁を振るう
しおりを挟む「ジェイコブはまた毒杯を拒否しているのか•••」
報告を聞き、これから来る悲しみが少しだけ遠のいてトラビス王はホッとした。
しかし、 ジェイコブをこのままにはしておけぬ。
騎士に命じ死罪にするしかない。
せめてもの親心、[名誉ある死]を迎えさせたい。
「ジェイコブ•••、お前はどうして、、、」
「陛下、クラレンス侯爵令嬢マリアベル様とウーラノス•ドゥラーク辺境伯様が御面会を求めております。
マリアベルが会いに来てくれた!
「早く通せ、お茶とお菓子を準備しろ」
私は早くマリアベルの顔が見たかった。
見て、安心したかった。
「おおー、マリアベル無事出会ったが?
怪我などはないか?私に顔をよく見せておくれ。」
マリアベルは男物の帽子をスッポリと被っていた。
「陛下から頂いたカツラを学園のホールに置いて来てしまいました。
こんな格好で失礼致します。」
マリアベルは帽子を脱いで礼を取った。
銀に輝く金の髪は肩まで伸びていてた。
コーネリアそっくりの深い海の眼差しで私を見つめるマリアベル。
ああ、この子を失わずによかった。
この娘は王国の至宝。
私の宝だ。
「ドゥラーク卿は如何した?」
「外で待機しております。」
「王、単刀直入に申し上げます。ジェイコブ殿下の死罪の撤回をお願いいたします。」
「マリアベル、それだけは聞く事が出来ないのだよ。
昔からそう言う決まりになっておる。」
「しかしながら、被害はでましたが死者は出ておりません。刑が重すぎます。」
「しかし、大昔から[恋狂い]になり王家を揺るがした物は死罪という決まりがある。
それに従わないと天の怒りを買ってしまう。」
「では、[恋狂い]てはなく他の理由で王家を揺るがした者はどうなのですか?
それは容認されるのですか?」
「マリアベル、それは詭弁だ。
王家にはむかしから[呪い]が存在しておる。
マリアベル、お前はそれを打破する為の信託を受けた娘なのだ!」
(私の受けた神託?私のキラキラと関係あるのかしら?)
「 そして、其方の祖母ケイ様によると、其方には、とジェイコブによって命を失ってしまう不幸な結末と、幸せになる結末とが待っていると予言された。」
「 其方はに与えられた神託とは 」
白きモヤの中からい出し 至宝が割れ
夜の帳に包まれし時
世の理の流れる道を示す
「陛下、私 ジェイコブ殿下に殺されませんでした。これが[幸せな結末]ですか?
誰も死なない、誰も傷つかない、これが本当の幸せなのではありませんか?
教えていただいた神託、これは私が主役なのですよね!
この中にはジェイコブ殿下の事など一遍も書かれていません。
つまり、私の運命にジェイコブ殿下が巻き込まれてしまったと考えられませんか?
お婆様のケイ様は王家から見てジェイコブ殿下の死に焦点を当てて考えておりました。
でも、私を視点に考えてみたら如何でしょうか?
私にとっての幸せな結末。
その中にはジェイコブ殿下の死はありません
陛下、もう一度お考え下さい。」
*****
「視点を変える?」
トラビス王は、今まで考えた事がない発想に驚いた。
マリアベルを主体に考えてみると、
マリアベルの幸せとは?
マリアベルが考えている幸せとは?
マリアベルはジェイコブの死を望んでいない、、、、
『主役は、マリアベルなのか!』
******
「 マリアベル!
今晩、ジェイコブの処置について話し合うために皆が集まる。
今の考えを皆の前で披露してもらえぬか?
裁決が覆るかもしれぬ。
お願いだ、お前の力で未来を変えてくれ! 」
「お任せ下さい。不肖マリアベル、一世一代の大仕事、やり遂げて見せます。」
私は鼻の穴を膨らませて大見えを切った。
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