129 / 163
第二章
五家の密談. 2
しおりを挟む五家は昨晩の断罪劇に対処すべくいつものノーザンコートの隠し部屋にあつまっていた。
断罪は早まってしまったが、マリアベルの無事で終了を迎えた。
殿下の雷魔法が落ちる直前に、割れる音を聞いたと多くの者が証言している。
ガラスはどこも割れていなかった。
では何が割れた?
背後にいたラヴィやウッドフィールド夫人達は、マリアベルの中より割れる音が聞こえた、と言っていたが••••
{白きモヤの中からい出し }
マリアベルは年越し女神と出会い、彼女の回りを包む白いモヤを失った。
{至宝が割れ}
あの割れる音は、つまり マリアベルのなにかが割れたという事なのか?
割れた事により、金と銀の加護が発揮された?
{夜の帳に包まれし時}
これに関しては全くの想定外だ。
女生徒達が騒いでいていた、[夜の王と星の女神]の話。
夜は[夜の帝王]こと、ウーラノス•ドゥラーク卿、
ドゥラーク辺境伯は、マリアベルの姿を漆黒のマントで包んだという事だが
本当に、神託のお相手がドゥラーク殿だというのか???
では、{世の理の流れる道を示す} この意味は
世の理とは••••
理とは••••
「失礼、」耳に手を当てたキングスバリー公が席を外した。
「ハワード侯、只今、鳩がこれを、」
給仕が手紙を渡した。
「マリアベル様が動き出された」
「マリアベル様が、殿下の嘆願に向かわれた」
今日、マリアベルと面会をしている筈の子供からの連絡だった。
(あれだけ、マリアベルを匿うようドゥラーク卿にお願いしたのに••••)
「ドゥラーク卿とご一緒に向かわれたご様子です。」
「よかった、」私はホッと胸を撫で下ろした。
もし、殿下が命を奪われず、天も荒れず、そんな奇跡的な事が起こったら?
もし、もし、もし、、、、、、
「娘の考えなのですが•••」
キングスバリー公は発言をする。
「 “自分の間違えに自分で気付く事が大切だ” そう、マリアベル様は仰られた。
それが、呪い回避のつながるのでは?」
そうだ!
ラヴィも、スティーブンも、自分の力で間違えを正した。
断罪には巻き込まれなかったではないか!
もし、殿下もご自分の愚かさに気づかれたなら••••
私たちは一部の望みをマリアベルに賭けた。
確か昔、ケイ様がマリアベルの行動が未来につながる。
手出ししてはならないと仰っていたではないか!
幸か不幸か、マリアベルは、女神様から”好きに生きて良い”とお墨付きをいただいている。
マリアベルの思う通りに行動させよう。
なにより、このサーガは•••
[マリアベルの章]、マリアベルに与えられたもの
そう、ケイ様は断言なされた!
私達はマリアベルの行く末を妨げてはいけない。
5人でそう決めたのであった。
*************
その日の夜、殿下の処分について話し合いが行われる。
きっとマリアベルは現れる。
私達五家は傍観に当たろう。
エクルス神殿長は大丈夫だろう。
マリアベルの女神のような姿を見れば陥落間違い無い。
問題は、法務大臣ジョン•クレイ
彼はへそ曲がりの論客だ!
彼を説得出来なければ殿下の死罪は覆されない。
マリアベル、どう出る?
その小さな身体で、その若い思考で、どう立ち向かう?
あの娘は普通と違う考え方をする。
どのような戦略を立てているのやら、、、
不謹慎だかワクワクしている自分がいた。
*********
25
あなたにおすすめの小説
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
【第2章完結】王位を捨てた元王子、冒険者として新たな人生を歩む
凪木桜
ファンタジー
かつて王国の次期国王候補と期待されながらも、自ら王位を捨てた元王子レオン。彼は自由を求め、名もなき冒険者として歩み始める。しかし、貴族社会で培った知識と騎士団で鍛えた剣技は、新たな世界で否応なく彼を際立たせる。ギルドでの成長、仲間との出会い、そして迫り来る王国の影——。過去と向き合いながらも、自らの道を切り開くレオンの冒険譚が今、幕を開ける!
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……
ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。
そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。
※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。
※残酷描写は保険です。
※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる