転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール

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第二章

ジェイコブの一人暮らし.3

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マリアベルは考えた。
思春期の子供は、自分をもう大人だと思ってしまい、子供扱いされるのを嫌う。
だから、大人から注意されても聞く耳を持たないだろう。
では、子供相手なら素直になれるのではないのか?

ジェイコブは素直で正義感の強い子だ。
ただ、思慮に欠け、物事を額面通りでしか考えられないタイプの子だと思うのだ。
(だって、生前の私の長男ソックリだもの)
周りが持ち上げてお育てした為に自分が尊大だと勘違いしてしまった。
彼の喋り方もまるで陛下の猿真似である。

そうね、ハロルドが適任だわ。
あの子なら、殿下も警戒しないでしょう。
ハロルドは、マリアベルがバザールに行く時の護衛マイクの息子だ。

バザールでの出来事
私がオレンジを買おうとしてた時
「姫様、少し先にもっと安くて美味しいお店があります。僕が買ってきましょう。
でも、ここから15分掛かる店なので往復30分、オレンジの差額を時給としてお駄賃にプラスとして貰えませんか?」

あら、頭が働く子ね!
時間もお金だと理解している。品物の目利きも良い。
屋台の肉串一本買うにしても、私にまず好みの部位、味付けを聞き、そして金額を提示してくる。
この子、将来大物になるかも•••

「ねえ、ハロルド。貴方に仕事を頼みたいの。
貴族のお坊ちゃんのお世話なんだけどね、、、
彼、世間が全く分からないのよ
お金の大切さと、働く事の大切さ、自分で生活出来るように手助けして欲しいの。」

「そんな簡単な事でいいの?」

「多分、思っているより簡単では無いわ、
だって彼、筋金入りのお坊ちゃまなのよ。」

「姫様の頼みだもん、やってみるよ!」

「彼は、貴方に用事を言い付けて来るわ。
絶対にタダで働かない事、労働には対価があると分からせなさい。
現金を持っていないから 取れる物は何でも取りなさい。絶対タダ働きはしない事!
どんどん、ボッタくってやりなさい。」

「えー、いいの?殴られない?」

「大丈夫よ、暴力振るう人ではないわ。
いい人なんだねどね、ちょっと浅はかなのよね。
知恵がつくとボレなくなるから取れるだけとっておきなさい。」

「僕、頑張るよ! やったね、副収入のチャーンス♪」

ハロルドに、今後のジェイコブの教育予定を、細々と指示をした。

私が実際に、指導出来ればよいのだか、殿下は私を敵視している。
少し頭が冷えるまで行くのは控えておこう。

***************

ジェイコブは困っていた。

ハロルドは良く働くが必ず代価を求める。
ハムもやった、パンもやった、果物もやった。
私の食べる物がない。
もう支払う物がない。今度は家具で支払うか?

「ジェイコブさん、こんな広い土地があるから小麦作ったらどうですか?」
ハロルドはそう提案してくれた。

「 でも、収穫まで時間が掛かるであろう。
その間はどうする? 」

「では、ジェイコブさんが作った小麦を、収穫期にグラムで買い取ると言う約束をしてお金を先渡しします。どうですか?」

「 そんな事が出来るのか? 」

「ええ、この位の農地だと•••、
収穫量と出来高の計算をして、後から契約書とお金を持って来ますね!」

「 ああ、頼む!」

「でも、ジェイコブさん、買い取りはグラムですので秋の収穫量が少なかったら差額は返金してもらいますからね!
一生懸命耕して下さいね。」

「 うむ、頑張って育てようぞ!」


ハロルドは見事、ジェイコブに小麦を作らせる事に成功した。


******************

マイク「お前、そんな安請負いしていいのか?」

ハロルド「姫様が、先物取引だって教えてくれた。」

マイク「先物?取引き?」

ハロルド「うん、来年の品物を今から買う約束をするんだって。
もし、来年不作だったら、麦の値段が上がって僕が儲かる。
もし、豊作だったら、麦の値段が下り僕が損をする。」

マイク「なんだか、訳がわからないなぁ?」

ハロルド「過去の天候を調べるとパターンが分かってくる、って姫様が言ってた。
面白いよねー!」


{希代の相場師、相場の父と言われた、ハロルドの幼少期の出来事であった}

*****************

作者より

[先物取引き]を真面目に説明すると、とっても長くなってしまうので、チョー簡単にまとめました。
ツッコミ処満載だと思いますが、許して下さい。 m(_ _)m

******************









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