転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール

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第二章

ジェイコブのお詫び行脚

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「一体、何故この様なポーズを私が取らねばならぬのか!!!」

<<<<パコーン>>>> ハリセンが飛ぶ

「ほら、その言い方、[殿下]の癖が抜けていない!」

「貴方、自分が何をしたか分かっているの?
一生に一度の卒業パーティーをダメにして、講堂を壊し、参加者の衣類に火の粉を飛ばしたのよ!」

「しかし、それとこのポーズはどう関係があるのだ?」

「このポーズはね、土下座と言ってね、相手に謝罪を求める最上級のポーズなの。
床にひざまずき、両手をついて深く礼をする。
凄く反省します。という意思表示なのよ」

「しかし、、、」
ジェイコブはまだ納得がいかなかった。

「貴方だけじゃないわ、私も一緒にするのよ!
だって、これは私と貴方の喧嘩じゃないの。
沢山の人を巻き込んでしまったのよ。
お詫びをするのは当たり前だわ!」

「しかし、王家の血筋の者が 床に頭を付けるなど••••」

「血筋?また、そんな事言って•••
そんなの関係ないわ。悪い事をしたら謝る、これ常識でしょ!
そんな事も、分からないの?」

「ほら、私が見本を見せるから•••」
そう言って頭を付け深く礼を取った。

「お前、女神の依代になったのによくそんな事できるなぁ、、、」
 ジェイコブは呆れ顔で私を見た。

「恥も外部も捨て、一心不乱に謝罪をする。その姿勢が相手の心を揺さ振るのよ!
ほら、やってみて、」

ジェイコブはマリアベルに促され、仕方なく平伏のポーズをしたのだった。

*****************

ジェイコブは、今の 穏やかな感情が心地よかった。

私は何故、あれ程 イライラとしていたのだろうか••••

父上にも、母上にも迷惑を掛けてしまった。
スティーブンは、フレディは、ラヴィは、、、元気であろうか••••

私の不始末だ!
しっかりと頭を下げ皆に詫びをしないと•••
私の王族としての最後の仕事だ。
マリアベルも一緒に着いて来てくれると言う。
1人ではない。心強い。

皆に償いをし、私は麦を作り 畑を耕し生きていくのだ!
そう決めたのだ。

この世の中知らない事だらけだ!学ぶ事が多い。
こんな生活も、悪くはないな。

ジェイコブは、ソヨソヨとそそぐ麦の新芽を前にして心を決めた。

しかし、あの時、私を看病して、粥を置いて行った方はどなたなのだろうか?
是非会ってお礼を言いたいものだ。

ジェイコブは、[ウォームで温めるて食べて下さい]と書かれた紙を大事そうに取り出して、目を細めて眺めた。

******************

「さあー、行きますわよ!」

ジェイコブのお詫び行脚が始まった。

最初はパーティー出席者の中で一番高位の[サウスベリー侯爵家]である。
卒業生のシャーロット様は火の粉でドレスが焦げてしまったのだ。
シャーロット様は卒業後家に帰られていて在宅して居られる。

訪問には王家の馬車を使った。

サウスベリー侯爵夫妻とシャーロット様が出迎えてくれた。

広間に通され、椅子を勧められる。

ジェイコブは当たり前のように椅子に腰掛けようとしたところ、、、

<<<シュパーン>>> ハリセンがジェイコブの頭に直撃した。

「ジェイコブ様、お詫びに来たのですよ!貴方はもう殿下では無いのです。」

私は、
「この度は、わたくし共の諍いに巻き込んでしまい申し訳御座いませんでした。」
そう言うと土下座をした。

「 ほら、早く、」

ジェイコブは立ったままであった。

私は手を引っ張った「ジェイコブ様!」

ジェイコブは足を曲げ、絨毯に膝を付け、手を着いて、頭を下げた。
「迷惑を掛け済まなかった」

<<<パコーン>>> ハリセンが唸った

「 違うでしょ、 『迷惑をお掛けして申し訳ありまんでした』 でしょ! 」

サウスベリー侯爵は恐縮して言った
「マリアベル様、殿下も反省していらっしらるようですから、もう、この辺で•••」

「 ダメです。これは教育的指導です。
甘やかしていても 彼の為にはなりません。
ジェイコブ様は王族を離れます。その為にも、今、頭を下げる事を学ばなければならないのです。」

私は優しくジェイコブを諭した。
「さあ、お詫び致しましょう。私が一緒ですよ。怖い事などありません。2人で練習したでしょ!」

「申し訳ありませんでした••••」
ジェイコブは生まれて初めて謝罪というものをした。

サウスベリー侯爵が膝を着きジェイコブの手を取って言った
「殿下の、謝罪 しかと受け取りました。」

「こちらがお詫びで御座います。」
トラビス王より 絹とレースを一巻き
クラレンスより 金のコイン
その目録をサウスベリー侯爵に差し出した

「確かに受け取りました。この度は陛下並びにクラレンス侯に多大なご厚意を頂き恐縮でございます。御二方にその様にお伝え下さい。」
サウスベリー侯爵は、そう言うと頭を下げられた。

シャーロット様はからは、
「マリアベル様がこんなに楽しい方だとは知りませんでしたわ!
わたくし、学園は卒業しましたがマリアベル様とは是非、お近付きになりたいですわ。
今度お茶会にご招待させていただいてもよろいでしょうか?」

「ええ、喜んで!」

帰り際にシャーロット様にコッソリと聞かれた。
「あれから、[夜の王]とはどうなさいましたの?是非お聞かせ下さいね、」

うぁ、興味の先はそこかぁ~

私達は馬車に乗りサウスベリー家を後にした。

***************


作者のたわ事

しっかし、、、
14才の子供が敬語を使って、16才の少年をハリセンで叩く。
想像するとシュールだなぁ

書いていて、そう思った。








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