転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール

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第二章

マリアベル 真実と向き合う

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王都の真ん中に位置する[トレバスト修道院 ]は、修道院の最高峰である。

その貴賓室でマリアベルは、王妃ザビーネと王妹エリザベスを迎えていた。

「この度は、王妃様並びにエリザベス様には多大なご迷惑をお掛けして申し訳ございませんでした。」
マリアベルは深々と頭を下げ謝罪した。

「 頭を上げて頂戴
マリアベル、貴女はジェイコブの命の恩人です。
この結婚はジェイコブが言い出しましたが、王家の命で成立したもの。
私達の思惑で貴女の運命を狂わせてしまったわたくし共にも責任があります。」

王妃はマリアベルの手を取り、頭を下げ、その手の甲にオデコを付けた

「 王妃様、頭をお上げ下さい 」

マリアベルはビックリして焦った。
オロオロとしているマリアベルを見て、エリザベスは微笑んで言った。

「 マリアベル、貴女はわたくし達、王家の希望の星だったの。
神託の中で見事に、生を掴み取り、さらにジェイコブを死から救った。
ザビーネ様の感謝を受け取っておあげなさい。」

王妃ザビーネは目に涙を浮かべて言った
「今度はわたくし達が、貴女を救う番です。」


*************

遡る事1日前
マリアベルから書状をもらったザビーネは、直ちに、トラビス王と五家を集めて話し合いをした。

「 今回は、わたくしの思った通りにさせていただきますわ、宜しいですわね!」

「 しかし、ケイ様はマリアベルに出生を教えてはならないと言っていたではないか!」
トラビス王は反論した。

「 それは、あの2人の結末が 分からなかったからですわ!
断罪は終わったのです。
ジェイコブも王族を離れ、マリアベルも学園を卒業しました。
マリアベルも、もう大人です。」

「しかし••••」男共は難しい顔をする

「 今までマリアベルが何かを頼んだ事がありましたか?
何一つ頼んだ事などなかったでしょ!」

「 あなた方、コーネリア様が亡くなった時の宮廷の噂、それを放置するように わたくし言いましたわね。
その結果がこれですわ、よく思い知るといい。」
ザビーネの背後には、刺す程の冷たいオーラが漂っていた。

「 わたくしは、マリアベルにサーガの全貌とケイ様、そしてコーネリア様についてお話するつもりです。
そして、本当の父の話を••• 」

「それは、、」ノーザンコート伯爵が小声で言った。

「 マリアベルは、事実を知ったからと言って態度を変える愚か者だとお思いですか?
彼女を侮ってはなりません。
それを貴方が一番良くご存知ではありませんか? 」

男共は、事実を隠していた事がマリアベルに知れ、彼女から軽蔑の目で見られるのではと危惧しているのであった。

「わたくしは、彼女程広い視野で物事を見る事が出来る女性を他には知りません。
事実を知らなけれはマリアベルも今後の噂に対処が出来ないでしょう。」

「 宜しいですわね、これは わたくしの決定事項の報告ですわ!」

ザビーネは、有無を言わせぬ態度で、口元を扇で隠しニッコリと目だけを細めた。


************

そして話は、今ここに至る。

ザビーネ王妃は

この国の隠された初代様と女神様の歴史
そして、神から授かった”サーガ”
前王ジョージとケイ様の努力
そしてコーネリアとアーサーの関係、何故マリアベルを宿して降嫁しなければならなかったのか
そしてクラレンスにどうしてアイラがやって来る事になったのか?
マリアベルの誘拐事件の全貌
クラレンス侯爵の薬物投与とアイラの失脚

知らせていなかった事実を、全て、包み隠さずマリアベルに告げた。

**************


話を最後まで聞いたマリアベルは、


サーガって、、、神託の事よね?

なんだか凄いお話ねぇ~、まるで物語りを聴いているみたい

人生の選択肢があるなんて、まるで、、、

ほら、あの、そのぉー、女の子がするゲーム、ほら、あれよ、あれ、なんだっけ••••

前世のTVで宣伝してた、、、ハンサムが「俺のモノになってくれ!」とかいうヤツ•••
そーよ、乙女ゲームよ!
これって乙女ゲーム?、この世界は乙女ゲームなのかしら???

なりたい小説みたいに、私、ゲームの世界に転生したのかしら?
そんな事、本当にあるのね。面白いわね。

じゃあ、殿下に断罪された私は、悪役令嬢だったのかしら?
ヒロインは誰だったのかしら?
ヒロインは男ハーレム作るんでしょ?そんな人居たかしら?

(マリアベルは、マリアとしてハーレムを作っていたとは全く気付いていなかった。
そして、一歩 真実に近づいたが、全く乙女ゲーと言う物を理解していなかった )


「 はぁ、」話を聞き終えたマリアベルは大きな溜息をついた。

「 では、私は王弟殿下と母の娘で、祖母の占いでクラレンスの子として育てられたと言う事ですね。」

(なんだ、実の父が違うと言う事じゃないの。
それを公表する事が出来なくて、こんなスキャンダルになったのね、 アホらしい  

だいたい、祖母のケイ様が変な入れ知恵するから 紛らわしい事になったんじゃないの?
全く、もう、、、)

「そうだわ、私を本当に父の子としてしまえば良いのだわ!」

「 それはどういう意味なのかしら?」
エリザベス様に聞かれた

「 結婚してすぐ出産だったのがまずかったのですよ。だから皆が誤解するのです。
だったら、前王がギリギリまで手放すのを躊躇する理由を付ければよいのです。」

「 手放す事が出来ない理由? 」

「 そうです、例えば、体が弱すぎて出産に耐えられないとか、、、

そうだわ、母は生まれた時から身体が弱く長く生きられないと言われた。

しかし、父と出会い恋をして、私が授かったが、出産したら命が危ないと医師に言われた。

母の命を助ける方法が見つからず、とうとう産み月が近づき、母は父の元で私を産みたい、愛する父の元で死にたいと懇願した。

それで仕方なく前王は、産み月ギリギリに、私共々クラレンスに送り出した。」

「確かに、それなら辻褄があうわね、コーネリア様は殆ど離れからお出にならなかったし•••• 」
ザビーネ様は頷いた。

「 お話を聞いて、わたくし涙が出ましたわ!そうよ、これ舞台の題目にして上演させたらいいのではなくって?
“薄幸の美姫 命を賭けた恋”  わたくしの派閥の者にコーネリア姫の真実だと拡散させればよいわ!」
エリザベス様が良い案を出してくれた。

「 そうですよ、” 悲恋 ” 皆様お好ですものね! 」
私はウンウン頷いた

よし、これで母の不貞は払拭されるであろう。

次はアイラ奥様の事だ。
これは闇が深い。
父の名誉の為にも、薬物は公表する事は出来ない。
人身売買の娼館も、背後に絡んでくるし•••
うーん、どうしよう•••

「 アイラ様については少し考えさせて欲しい」と、私は時間を貰った。



話が一段落付いたところで、貴賓室の隣の面会控室の戸が開けられた。

その部屋には、五家のメンバーと、
泣きそうな顔をした父ローガン、その父の肩を摩っている祖母ポーリンが控えていた。

私は一目散に父の元に走った

「 お父様、まだ私を娘だと思って下さいますか?」
私は、父の手を取り聞く

「 私を父と呼んでくれるのか?」

「ええ、私の父は、お父様、貴方しかいません。
母を愛し、私を慈しんでくれたのは、お父様、貴方です 」

「 マリアベル、お前は紛れもない私の娘だ
もう、何処にも行かないでおくれ、、、 」

泣き虫の父は、私を抱き オイオイ と涙を流した。

「 ええ、お父様、私とクラレンスに帰りましょう!」
私は父を抱きしめて答えた


****************


「しかし、クレイ卿はやり手ですな、早速離婚承諾書に、サインを貰って来おった。」
ハワード侯が一昨日の出来事を語って聞かせた。

「マリアベル、決心は硬いのですか?」
女性陣が、心配をして声をかけた。

「 私、本当に辛かったのです。
卒業パーティーから結婚までの10ヶ月、全く歩み寄ろうとしない方を相手に•••
結婚とはこのようなものだと、諦めていました。」

ノーザンコート伯爵は控えているガブリエルに聞いた
「それは真実なのか?」

「はい、エスコートも手を掛けたら直ぐ手を離し、目も合わせず、言葉も返さない•••
私も、見ていてとても気の毒に思いました。」

????男共は首を傾げた。

( ドゥラーク卿は我々にはあれ程の溺愛を見せていたが、、、あれは言葉だけの見せかけだったのか?)


伯爵はさらに控えているドゥラークより来た侍女三人組に聞いた
「ガブリエルの申している事に相違はないか?」

侍女三人組は下を向いている。
そして、一番年長のギュセルが口を開いた。

「発言をお許し下さい。

旦那様は照れておいでだったのです。

久々に会ったマリアベル様が女神の様に美しくなられて••••
姫様が、余りにも美しくて眩しくて、どう接してよいのか分からないご様子でした。

旦那様は、遊び慣れしていると勘違いされていますが、実はとても純粋なお方なのです。

いつもは姫様の事ばかり話しておられるのですが、いざ目の前に姫様がいらっしゃると緊張して声をかける事が出来ないと申しておりました。」

「 はあ??? 」周りから素っ頓狂な声が上がった。

そして、皆「クククッ」と笑い声を堪えていた。

「 これは、少し話し合った方が良さそうだな。」
ランディエール侯爵が優しく声をかけた。

「でも、あんまりな態度です。」
私は訴えた

「 マリアベル、少しは男心を察してやりなさい、」
祖父は私を宥めたが、、、

祖父の発言は、逆に私の怒りの炎に油を注ぐ結果になった

「では、女心は誰が察してしくれるのですか?
いつも、何時も、男性を立てて、男性の態度を察して行動をして、男性のしたい事を忖度する。
じゃあ、私達、女は放置しても良いのですか?
私の傷ついた心は、誰も察してはくれないのですか?」

私は思い余って泣いてしまった。

「、、、貴方 今日から わたくしは修道院に御厄介になります。
少しは自分の傲慢さを思い知りなさい。」
ポーリンはマリアベルを抱きしめノーザンコート伯を一瞥した。

「 貴方、わたくし暫く実家に帰ります。
そのおつもりで、、、
さあ、ザビーネ様参りましょう!」
エリザベスは夫の顔すら見ずに踵を返した。

女性陣は、面会室を後にした。

ハワード侯が残りの男達を前に言った。
「 あなた方はあの現場にいなかったから分からないのだ。
マリアベル様とコーネリア様は彼らに酷い中傷をされたのだ!
ノートを読んだであろうに•••

そして、その場にいたドゥラーク卿の態度は擁護する事など出来るはずもない。
彼はそれだけの事をしたのだ!

傷付いたのは他でも無い、マリアベル様 ただお一人だけなのだぞ!
少しは、マリアベル様の気持ちを考えて見たらいかがかな?」

そう言い残して彼も面会室を後にした。

残された男共は、ハッとし、自分達の発言を大いに悔やんだ。



**************

長くなりました。

2回に分けようと思いましたが、中途半端になってしまうので一話にまとめました。
初の4000文字です。

作者、ラストに向けて頑張って走っています
あと、もう少し、お付き合いの程宜しくお願いします。

**************







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