転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール

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第二章

終わりよけば全てよし

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 ( ホント、ユル•ブリンナーってカッコいいわぁ~♡
王様と私のタイの王様は素敵だったし、荒野の7人もカッコよかったし•••
外人は禿げていてもカッコいいのねぇ•••)

••••••あれ?明るい?朝?
マリアベルは、夢の世界から引き戻された


目を覚ました彼女の周りには知った顔が沢山あった。

「全くお前という娘は、、、」
祖父が涙目で言った。

「マリアベル様、無茶し過ぎですぞ!」
アルビス公がホッとした顔で覗き込んだ。

「マリアベル、マリアベル、マリアベルぅぅゔ、、、、、」
父が、私の手を握り号泣していた。


私の計画では、普通の顔をした私に “ 女神様の加護が降りた “  振りをするつもりだけだったのだが、、、

どうやら、本当に降りてしまったらしい

私にはその時の記憶が全くない。

「陛下が、マリアベル様のお陰で全てが終わったと仰っていた。
貴女は 救国の乙女 だそうな !」
キングスバリー公が優しく髪を撫でてくれた。

「まったく•••
救国の乙女が、顔にソバカスを描くかのぉ、、、」
祖父は溜息をつき

「まったくだ!」皆が笑った



ふと部屋を見渡すと、部屋の隅に黒い人がいた。

黒、いや紺色だ!

その男性は顔を上げ、私をしっかりと見つめた。

( ウーラノス様だ )


「少し話をするとよい」祖父はそう言うと、皆とソファーに向かって行った。


ウーラノスは私の側に歩み寄り膝を付いた。

「 姫様、マリアベル様、
私は愚かでした。夫として貴女を守る事が出来ませんでした。
しかし、今度は騎士として、永遠に貴女だけを守ると誓います。

もう、道は間違えません。

どうか、許すと、、、、
貴女に仕える事を許すと仰ってください 」

ウーラノスは、膝を折り騎士が王に示すように頭を垂れた。

( 全く、、、この世界の男性は大袈裟よね。)

「 許します 」私は手を差し出した。

「マリアベル様、永遠の愛を貴女に誓います。
死が2人を分かつまで、貴女に、私の誠と忠誠と献身を捧げる事を、、、、
女神様に誓います。」

ウーラノスは、私の手の甲に口付けをした。

( なんだか結婚式の誓いのセリフみたいね。
ホント、騎士って、劇画化っているわ。映画のセリフみたい!)



*******************


椅子に座ってお茶を飲んでいた男達。
マリアベルとウーラノスを、温かい目で見守っていたのであった。


*********************


スティーブン•アルビスを会長とした学園の同窓会では、今回のマリアベル女神降臨について緘口令を敷いた。

人に聞かれてもマリアベルの、本当の容姿は絶対に話さない。

銀に輝く金の髪を持つ、心優しい、女神の顔をもつマリアベル様

彼女を知っているのは、我々 学園の同窓生だけでよい。

我々だけが知っているのだ!
我々は、彼女を守らなけれならない。

そんな優越感を煽ったのだった。

スティーブンは、マリアベルと同じ時期に在学していた者だけが参加する事を許される倶楽部を結成した。

その名は [ベル倶楽部 ]

マリアベル様の活動は多彩にわたっているので話題に欠くことは無い。
そして、日常生活に関しても•••



自分の出来る事を、持てる力を全て使いマリアベル様をお守りする。
これがスティーブン•アルビスという不器用な男が示した最大の愛の形であった。
そして、これからも彼は人知れずマリアベルを守っていくのであろう。



ちなみに、ベル倶楽部は、[マリーちゃんクラブ]から情報提供を受けている、、、らしい。




***************




マリアベルの側には、いつもウーラノスが控えている。

マリアベル達の離婚は、まだ公表されていなかった。

口さがない者達は、彼を、マリアベルの忠犬、妻の尻に敷かれた男と揶揄した。

しかし、ウーラノスは全く気にはしていなかった。

マリアベル様を失った失意の日々。
あの、ドン底な辛い日々。


今、私は、こうしてお側で、毎日姫の姿を見る事が出来る。

そして、これから、ドンドンと花開き、成熟してゆく姫のお姿を、目の当たりに見守る事が出来るのだ

ウーラノスは幸せを噛み締めていた。



今日も姫をエスコートして登記所までお供する。

「 おっと、危ない!」

姫は、少しそそっかしい所がおありになる。

先程も階段を踏み外しそうになるし•••

昨日は開けたドアが返ってくるのにぶつかってしまった。

そして、この前は背伸びしたら、椅子ごと後ろに倒れ込んだ。

どうしてそんな事になるのであろう???

そうして決まってバツの悪そうなお顔で「へへっ、、」と微笑まれる。

それが何ともお可愛らしい。

今の姫は、もう金の姫ではない。

茶色の髪を顎先で揃え、お顔にソバカスを描き、モーリス殿の作った目が小さく見える魔道具の眼鏡を掛けている。

あの時、アビゲール嬢に叱咤され、私はやっと気が付いた

姿形を変えられても、中身は私の姫には変わりはない。

[ 私の唯一 、私の最愛 ]

( もう、道を見失わない! )

ウーラノスは心に誓った。


*******************


初夏、”女性の尊敬を守る会” も軌道に乗り始めて来た。

そこに、ジョン•クレイがやって来た。

「 マリアベル様、不備があり提出不可な書類がございます。
ご確認の程 お願いします。」

一枚の書類を取り出した。
それは10ヵ月前にサインをした物であった。

「あら、ずっと温めていらしたの?」

「ええ、時が来たら再提出しようと思っておりました。」

「まあ、、、知らなかったのは私だけ?」

「いえ、ドゥラーク卿もですよ!」

( 全く、、、やられたわ! あの狸親父達め!
まぁ、私が言えた義理じゃないけど••• )

それは 離婚承諾書 

書類が提出されてないと言う事は、、、
マリアベルとウーラノスは、まだ法律上の夫婦であったのだ。

「 ドゥラーク卿のサインが滲んでおり読めません。これでは提出出来ませんので、、、
如何いたしましょうか?」

「 そうね、、、」

私は書類を手に取りビリビリと破った。

「 これで、事実を知らないのはウーラノス様だけね!」

私は、ウーラノスが控えているだろうドアに向かって顎をしゃくり、ニヤッと口角を上げた。

「マリアベル様、相変わらずその悪どい笑顔がよくお似合いになりますな!」

ジョン•クレイも法務大臣らしからぬ悪役顔で微笑んだ。

「だって、私って、本物の悪役令嬢だったのよ!知ってまして?」

オーホホホ!!!

私は扇で口元を隠し、高らかに声を上げて笑った。





——————  完 ——————-






「 妾のあてがった番犬も、そこそこ役にたったであろう•••• 」

何処かから声が聞こえた。






あれ? マリアベルは書類を書く手を止め、耳の穴をホジホジとした。

「 空耳かな? 年取ると耳が聞こえづらくなるのよねぇ~ 」

マリアベルは再び書類を書き始めた。

いつまでも、おばあちゃんグセの抜けないマリアベルであった。



—————-////////———————-



( もう一話あるよ!)



















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