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2 騎士様に拾われる
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広い王宮で途方に暮れていた。
建物内にいるのは怖くて外を目指して回廊へ来た。途中すれ違った人はいるけれど当然知らない人ばかり。迷子になっても探してくれる人もいない、と自嘲気味になってしまう。
お茶会で余程の事をして彼らを怒らせたのだろう。知らない人たちとはいえ嫌悪の眼差しを向けられたのはつらい。とはいえもう二度と会わない人たちだから忘れる事にしよう。
忘れる……
今のはちょっと笑えないわね。
おかしくて、長い回廊を歩きながら小さく笑ってしまった。
どうしよう、と思案していた時だった。
「こんな場所でなにをなさってるの?」
三人の令嬢たちがクスクスと嗤いながら私を囲んだ。
きっと私の友人ではない。苦手だ、強すぎる香水の匂いも苦手。
「あら、静かね?癇癪持ちの嫌な女なのに。イスハーク王太子殿下もお気の毒にね、あなたみたいなのが婚約者だなんて」
「家格だけが取り柄の我儘女。調子に乗らないでちょうだい」
「王太子殿下にお似合いなのはアレイナ様よ。さっさと辞退なさいな、いつまでもみっともない」
(嫌な女……それが、私?)
彼女たちが話す内容の半分も理解できない。どう考えても、調子に乗っているのもみっともないのも多数で一人を虐げようとしている彼女たちの方。私はこんな大勢で一人の人間を攻撃したりなんてしない。
ここにいても得られるものはない。まだなにか言っている彼女たちを無視して外へと向かった。
「…………令嬢」
騎士団にはどうやって行けばいいかしら?王宮のどこかに建物があるはずだけど……
「……侯爵令嬢」
行けたとしても、私は誰ですかなんて聞けないし困ったわね……
「フスレウ侯爵令嬢」
「えっ?」
振り向くと先程の眼鏡。貴公子がいた。
上着の中の清潔な白いシャツはきっちりボタンが留められ、肩まで伸ばした銀色の髪を後ろで一つに結んでいる。きっと几帳面な性格なのだろう。眼鏡の奥の瞳は鮮やかな青色だ。
「フスレウ侯爵令嬢」
「……なんのご用でしょうか?」
まさか連れ戻すために追いかけて来たのだろうかと緊張する。もし無理やり連れて行かれそうになったら大きな声で叫ぼうと身構えた。
けれど、落ち着いて考えると貴公子はあの場で私を何度か助けてくれた。王子様と騎士から庇おうとしてくれた。それに彼に手渡されたハンカチがドレスのポケットにある。そう思うとほんの少しだけ緊張が解けた。
「先程はイスハーク殿下とダヴィトが大変失礼しました」
「……!」
貴公子の謝罪に意表をつかれてしまった。
「ダヴィトに掴まれた肩の痛みはありませんか……?医務室へ行き治療を。それから兄君のところへお連れします」
王子様の名前はイスハークというのか。それから騎士がダヴィト……全く要らない情報だった。それよりも、
「……兄。私に兄がいるのですか?」
「フスレウ侯爵令嬢、あなたは……」
「あ……、いえ」
兄がいると聞き、関心を示した私に貴公子は驚いたように目を瞠った。
いけない……
記憶がないなんてよく知らない相手に知られては不味い。ようやく手がかりを見つけたのだから早く行かなければ。
「兄に会いに行きます。では私はこれで失礼いたします」
「待って!」
「……なんでしょう?」
踵を返した私の腕を貴公子が掴んだ。
急いでいるのに。舌打ちしたい気持ちを抑えた。
「具合が悪いのではないですか……?その、いつもと様子が違うようですし、先ず医務室へ行かれた方がよろしいかと思います」
「……あの方に、なにか言われたからですか?失礼ですが具合が悪くなるのは当然ではないでしょうか?床に座らされて、あんな暴力まで振るわれたのです」
早く手を離してほしい。なぜそんな心配をしているような顔をするの?わけがわからない。ただでさえ混乱しているのに止めてほしい。
「それは……重々お詫びいたします。本当に申し訳ないことをしたと思っております。ですからできる限りのお詫びをさせてください。少し話をしませんか?」
「あんな扱いをされてもうお顔も見たくないのだと察していただけませんか?お願いですから手を離してください」
「……っ」
私の言葉に貴公子は傷ついた顔をした。
話をしたいだなんて恐怖しかない。しつこく言い縋ってくるので少しきつい言い方になってしまったけれど、これ以上彼らに関わりたくない。ともかく手を離してほしい。
貴公子が再びなにかを言おうと口を開いた時だった。
「手を離せ、シャルト・エレイム」
低く静かなその声にシャルト・エレイムと呼ばれた貴公子は掴んでいた腕をさっと離し数歩下がった。
「ハティス」
振り向くと、一人の男性が立っていた。
すらりとした長身。襟詰めの白い隊服にマントを纏い佩剣している。この方は騎士だ。さらさらの漆黒の髪と切れ長の瞳。整いすぎた端正な顔立ちが近寄りがたい印象を与えている。
美貌の騎士様は私に近づくと安心させるように微笑みかけた。緩く微笑み返すと騎士様は目を瞠って口を手で覆った。
美しい菫色の瞳に見入ってしまう。
そんな場合ではない。この騎士様にお願いをして騎士団へ連れて行ってもらおうかと思案したところで気がついた。
先程騎士様は家名ではなく私の名を呼んだ。ハティス、と。親しい関係でないとそんな事しない。
「あの……」
「ああ……どうした、ハティス?」
また名を呼ばれ、大きな手が肩にそっと触れた。でもそこは先程あの赤髪の騎士に掴まれた場所だ。
「痛……っ」
「これはどういう事だ……?説明をしろ、エレイム」
とても厳しい口調にその場の温度が一気に下がる。騎士様の視線は私に向けられたまま。
「シェリノール団長、これからフスレウ侯爵令嬢を医務室へお連れするところでした」
その言葉に騎士様はすっと瞳を細めて貴公子を見据えた。
「だからその理由を先程から聞いている」
咎めるような冷たい口調に貴公子は顔を硬らせる。それはそうだ。目の前で騎士が暴力を振るったなんて言いづらいだろう。
「……イスハーク殿下の執務室で話し合いをしていたのです。その際ダヴィト・リファートが彼女に手を上げてしまいました。殿下も大変申し訳なく思っております」
「なんだと?あり得ない。後程詳細を聞くからそのつもりでいろ。下がれ」
眉を顰める騎士様。それでもこの方の美貌は損なわれていない。淡々とした声音の中に怒気を孕んでいて有耶無耶には決してしないという強い意思を感じる。この方は、私のために怒ってくれている。
貴公子はまだなにか言いたげに私を一瞥して、深々と一礼して下がっていった。ぼんやりとその後ろ姿を見送っているとそっと手を包まれた。とても丁寧なしぐさで一本一本の指を開かれていく。
王子様の執務室から今までずっと緊張していた私はどうやら手を固く握りしめていたらしい。手のひらを見ると爪の痕がくっきりと残っている。その痕を騎士様の長い指がそっとなぞった。
「他に痛むところは……?」
先程とは全く違う優しく気遣う声音。憂色を帯びた端正な顔が私を見下ろしている。
ゆるゆると首を横に振った。
「ありません。床から急に立ち上がろうとした私が悪かったのかもしれません。危害を加えるのではないかと思われてしまったのかも……」
「待て。床とは……?あなたは床に座らされたのか?なんて事だ……」
「……理由があると言われたのです。私が酷い行いをしたと、そう言われました。だから」
「いかなる事情があろうと、あなたに対してそんな扱いをするなんて。くそ、あいつら」
騎士様はそう言うと悲しそうな顔をした。
この方は私をよく知っているのだ。そして私もこの方を知っている……
記憶を探るけれどなにも思い出せなくて悲しい。
どれくらい見つめ合っていただろう。
「あの私、兄を訪ねようと思うのです。ですからこれで失礼します。助けてくださってありがとうございました」
お礼を言ってその場を去ろうとする私を騎士様が止めた。
「ハティス、先に医務室へ。エディのところへはその後一緒に行こう」
なんと騎士様は私の兄も知っているのだ。それならこの方について行くのが良いだろうと頷いた。
兄はエディという名前なのね……
……そして私はハティス。
なにか思い出せないか集中していて、隣を歩く騎士様がじっと私を見ている事には気がつかなかった。
建物内にいるのは怖くて外を目指して回廊へ来た。途中すれ違った人はいるけれど当然知らない人ばかり。迷子になっても探してくれる人もいない、と自嘲気味になってしまう。
お茶会で余程の事をして彼らを怒らせたのだろう。知らない人たちとはいえ嫌悪の眼差しを向けられたのはつらい。とはいえもう二度と会わない人たちだから忘れる事にしよう。
忘れる……
今のはちょっと笑えないわね。
おかしくて、長い回廊を歩きながら小さく笑ってしまった。
どうしよう、と思案していた時だった。
「こんな場所でなにをなさってるの?」
三人の令嬢たちがクスクスと嗤いながら私を囲んだ。
きっと私の友人ではない。苦手だ、強すぎる香水の匂いも苦手。
「あら、静かね?癇癪持ちの嫌な女なのに。イスハーク王太子殿下もお気の毒にね、あなたみたいなのが婚約者だなんて」
「家格だけが取り柄の我儘女。調子に乗らないでちょうだい」
「王太子殿下にお似合いなのはアレイナ様よ。さっさと辞退なさいな、いつまでもみっともない」
(嫌な女……それが、私?)
彼女たちが話す内容の半分も理解できない。どう考えても、調子に乗っているのもみっともないのも多数で一人を虐げようとしている彼女たちの方。私はこんな大勢で一人の人間を攻撃したりなんてしない。
ここにいても得られるものはない。まだなにか言っている彼女たちを無視して外へと向かった。
「…………令嬢」
騎士団にはどうやって行けばいいかしら?王宮のどこかに建物があるはずだけど……
「……侯爵令嬢」
行けたとしても、私は誰ですかなんて聞けないし困ったわね……
「フスレウ侯爵令嬢」
「えっ?」
振り向くと先程の眼鏡。貴公子がいた。
上着の中の清潔な白いシャツはきっちりボタンが留められ、肩まで伸ばした銀色の髪を後ろで一つに結んでいる。きっと几帳面な性格なのだろう。眼鏡の奥の瞳は鮮やかな青色だ。
「フスレウ侯爵令嬢」
「……なんのご用でしょうか?」
まさか連れ戻すために追いかけて来たのだろうかと緊張する。もし無理やり連れて行かれそうになったら大きな声で叫ぼうと身構えた。
けれど、落ち着いて考えると貴公子はあの場で私を何度か助けてくれた。王子様と騎士から庇おうとしてくれた。それに彼に手渡されたハンカチがドレスのポケットにある。そう思うとほんの少しだけ緊張が解けた。
「先程はイスハーク殿下とダヴィトが大変失礼しました」
「……!」
貴公子の謝罪に意表をつかれてしまった。
「ダヴィトに掴まれた肩の痛みはありませんか……?医務室へ行き治療を。それから兄君のところへお連れします」
王子様の名前はイスハークというのか。それから騎士がダヴィト……全く要らない情報だった。それよりも、
「……兄。私に兄がいるのですか?」
「フスレウ侯爵令嬢、あなたは……」
「あ……、いえ」
兄がいると聞き、関心を示した私に貴公子は驚いたように目を瞠った。
いけない……
記憶がないなんてよく知らない相手に知られては不味い。ようやく手がかりを見つけたのだから早く行かなければ。
「兄に会いに行きます。では私はこれで失礼いたします」
「待って!」
「……なんでしょう?」
踵を返した私の腕を貴公子が掴んだ。
急いでいるのに。舌打ちしたい気持ちを抑えた。
「具合が悪いのではないですか……?その、いつもと様子が違うようですし、先ず医務室へ行かれた方がよろしいかと思います」
「……あの方に、なにか言われたからですか?失礼ですが具合が悪くなるのは当然ではないでしょうか?床に座らされて、あんな暴力まで振るわれたのです」
早く手を離してほしい。なぜそんな心配をしているような顔をするの?わけがわからない。ただでさえ混乱しているのに止めてほしい。
「それは……重々お詫びいたします。本当に申し訳ないことをしたと思っております。ですからできる限りのお詫びをさせてください。少し話をしませんか?」
「あんな扱いをされてもうお顔も見たくないのだと察していただけませんか?お願いですから手を離してください」
「……っ」
私の言葉に貴公子は傷ついた顔をした。
話をしたいだなんて恐怖しかない。しつこく言い縋ってくるので少しきつい言い方になってしまったけれど、これ以上彼らに関わりたくない。ともかく手を離してほしい。
貴公子が再びなにかを言おうと口を開いた時だった。
「手を離せ、シャルト・エレイム」
低く静かなその声にシャルト・エレイムと呼ばれた貴公子は掴んでいた腕をさっと離し数歩下がった。
「ハティス」
振り向くと、一人の男性が立っていた。
すらりとした長身。襟詰めの白い隊服にマントを纏い佩剣している。この方は騎士だ。さらさらの漆黒の髪と切れ長の瞳。整いすぎた端正な顔立ちが近寄りがたい印象を与えている。
美貌の騎士様は私に近づくと安心させるように微笑みかけた。緩く微笑み返すと騎士様は目を瞠って口を手で覆った。
美しい菫色の瞳に見入ってしまう。
そんな場合ではない。この騎士様にお願いをして騎士団へ連れて行ってもらおうかと思案したところで気がついた。
先程騎士様は家名ではなく私の名を呼んだ。ハティス、と。親しい関係でないとそんな事しない。
「あの……」
「ああ……どうした、ハティス?」
また名を呼ばれ、大きな手が肩にそっと触れた。でもそこは先程あの赤髪の騎士に掴まれた場所だ。
「痛……っ」
「これはどういう事だ……?説明をしろ、エレイム」
とても厳しい口調にその場の温度が一気に下がる。騎士様の視線は私に向けられたまま。
「シェリノール団長、これからフスレウ侯爵令嬢を医務室へお連れするところでした」
その言葉に騎士様はすっと瞳を細めて貴公子を見据えた。
「だからその理由を先程から聞いている」
咎めるような冷たい口調に貴公子は顔を硬らせる。それはそうだ。目の前で騎士が暴力を振るったなんて言いづらいだろう。
「……イスハーク殿下の執務室で話し合いをしていたのです。その際ダヴィト・リファートが彼女に手を上げてしまいました。殿下も大変申し訳なく思っております」
「なんだと?あり得ない。後程詳細を聞くからそのつもりでいろ。下がれ」
眉を顰める騎士様。それでもこの方の美貌は損なわれていない。淡々とした声音の中に怒気を孕んでいて有耶無耶には決してしないという強い意思を感じる。この方は、私のために怒ってくれている。
貴公子はまだなにか言いたげに私を一瞥して、深々と一礼して下がっていった。ぼんやりとその後ろ姿を見送っているとそっと手を包まれた。とても丁寧なしぐさで一本一本の指を開かれていく。
王子様の執務室から今までずっと緊張していた私はどうやら手を固く握りしめていたらしい。手のひらを見ると爪の痕がくっきりと残っている。その痕を騎士様の長い指がそっとなぞった。
「他に痛むところは……?」
先程とは全く違う優しく気遣う声音。憂色を帯びた端正な顔が私を見下ろしている。
ゆるゆると首を横に振った。
「ありません。床から急に立ち上がろうとした私が悪かったのかもしれません。危害を加えるのではないかと思われてしまったのかも……」
「待て。床とは……?あなたは床に座らされたのか?なんて事だ……」
「……理由があると言われたのです。私が酷い行いをしたと、そう言われました。だから」
「いかなる事情があろうと、あなたに対してそんな扱いをするなんて。くそ、あいつら」
騎士様はそう言うと悲しそうな顔をした。
この方は私をよく知っているのだ。そして私もこの方を知っている……
記憶を探るけれどなにも思い出せなくて悲しい。
どれくらい見つめ合っていただろう。
「あの私、兄を訪ねようと思うのです。ですからこれで失礼します。助けてくださってありがとうございました」
お礼を言ってその場を去ろうとする私を騎士様が止めた。
「ハティス、先に医務室へ。エディのところへはその後一緒に行こう」
なんと騎士様は私の兄も知っているのだ。それならこの方について行くのが良いだろうと頷いた。
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