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第二章 秘密のベール、脱がせます。
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しおりを挟む数分もしないうちに戻って来た匠くんの手には、重たそうな皿が二枚。
「それは?」
「今日の夜ごはんだよ。オムライス。近くにうちのホテルがあるから、そこから届けてもらったんだ」
「え? わざわざ?」
「ん? いつもだよ。って言っても、家にいる事はほとんどないから、たまに、かな?」
なんだか口を出すのもアホらしくなってきた。匠くんにとって、これは普通なんだ。デリバリーなんか、高くて月一も頼まないというか頼めないのが普通なのに。
テーブルにオムライスを置いた匠くんは再び玄関に走って行ってしまった。それを追いかけると、玄関先には恐らく届けてくれた女性従業員が焦った様子で匠くんを止めている。
「いけません! お部屋までお運び致しますから」
「いえ、大丈夫です。僕が「いけません! 社長!」
リビングドアを後ろ手に閉めて、入りづらい雰囲気に様子を伺っていたところだった。
「しゃちょう?」
「___亜子ちゃん」
従業員と話していた匠くんが、苦い顔をしながらこちらに振り返った。その後ろにいる従業員は、口元を抑えて私と匠くんを交互に見ている。
「あー・・っと、ごめんなさい長谷川さん。大丈夫なので、置いて行ってもらえますか?」
「はい。申し訳ありませんでした」
わかりやすく「失敗しました」という表情をしてから、長谷川さんはそそくさと出て行ってしまった。残された私と匠くんの間には、気まずい雰囲気が流れている。
「亜子ちゃん。全部話すから、一緒に料理運んでくれる?」
落ち着いた声で言われて、小さく肯定を返してから手伝いに向かう。サラダの入ったお皿を渡されて、再びリビングへと戻る廊下を進む。軽いはずのお皿が、凄く重たく感じる。
匠くんはお金持ちの社長の息子、つまり御曹司なんじゃないの? 社長は十八歳の男の子に務まるようなものじゃない、と思う。
「兎に角、冷めちゃうから食べようか?」
「うん」
「・・・」
静かな部屋にかちゃかちゃと食器の当たる音が響いていた。お茶を飲み込む音でさえうるさく聞こえる。本来なら物凄く美味しいご飯のはず。バターライスの上にとろっとろの卵とデミグラスソースのかかったオムライスは私も大好物なのに。こんなに味のわからないご飯は、二十七年生きてきて初めてかもしれない。
ちらりと盗み見た匠くんは、ただの十八歳の男の子じゃないのか。さっきまでくだらないことで笑い合っていたのに、急に別人のように見えてくる。大谷グループの御曹司というだけでも、私の世界がひっくり返るくらいの衝撃だったの。匠くん、貴方は一体何者なんですか。
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