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「ごめん、遅くなった・・・ただいま~。」
インターフォンの音で玄関のドアをすぐに開けると、佐藤先輩は見たことがないくらいに疲れた顔をしていた。
合宿から帰ってきた時でも試合の後でもこんな顔を見たことがないのでそれには驚く。
「お疲れ様です。
別れ話、珍しく揉めたんですか?」
「そこは"おかえりなさい”じゃん・・・。」
「"おかえりなさい”。」
「うん、ただいま。
女子ってめんどいね~。
何か別れ話じゃなくてさ、後で話すよ。
先に美味しいご飯食べたい、お腹空いた!」
1軒家のうちの廊下を自分の家みたいな感じで先に歩いていた佐藤先輩がパッと後ろを振り向いてきて、私の顔を何度も頷きながら見てきた。
「晶はマジで可愛いよね、世界で1番可愛い。
晶が言う面倒なことなら、俺全然大丈夫なのに。
そもそも晶って面倒なこと言ったりやったりしてくれないけど。」
「花音ちゃんが言う面倒なことも全然大丈夫ですよね。」
「姉ちゃんのは違うじゃん、アレはあの姉の弟として生まれた瞬間からの諦めじゃん。」
「今でも普通に2人でお風呂に入ってるらしいですしね。」
「いや、普通には入ってねーよ!!
文句言いまくってるわ!!」
「え、佐藤先輩のお母さんが普通に入ってるって心配してるみたいですよ?」
「はぁぁぁぁぁぁ!?
母ちゃん、どんな目と耳してるんだよ!!
不自由なのは鼻と舌だけじゃねーのかよ!!
震える程不味い飯を自信満々に出してきやがって!!!」
「佐藤先輩、怖いです・・・。
佐藤先輩が怒ると怖いんですけど。」
「えぇぇぇ・・・、今のって年頃の息子としてあれくらい怒っても許されない?」
「でも、怖いです。
うちのお父さんってめっちゃおっとりだから怒ることも怒鳴ることもないから、男の人の怒った顔とか声とか私凄く怖いです。」
「分かった、ごめんね。
晶の前ではもう怒らない。」
「すみません、ありがとうございます・・・。
あ、これって面倒なことじゃないですか?」
「何が?」
「怒るの怖いって。」
「怒るの怖いって?」
「私の前では怒らないでくれるって。」
「うん、晶が怖がっちゃうなら晶の前ではもう怒らないよ。」
「・・・・・あ、はい、ありがとうございます。」
「うん。・・・・・・・え、で?
面倒なことって?」
「あ、ごめんなさい、何でもないです。」
花音ちゃんにも私にも甘々な佐藤先輩には自然と笑ってしまいながら、佐藤先輩よりも先にリビングへと入った。
「え、何?本当に分かんない!!
今何か面倒なこと言ってた?」
「分からないなら大丈夫です!
何かごめんなさい!」
「えぇぇぇっ!
晶に面倒なこと言われたいから聞かせてよ!!」
「竜也く~ん!お手々洗ってね~!!」
「はーい、お手々洗いま~す。」
「彼女とどうなったの~?」
リビングに男バスのエナメルバッグとブレザーをテキトーに放り投げた佐藤先輩にお母さんが聞くと、佐藤先輩は洗面所に向かって歩きながら大きな声で話を続けてくる。
「今までの彼女の中で1番良い子だなって思ってたのに、ここ数日で何か急に変わってさぁぁぁ!!
どうしよう、俺一生独身かも!!
晶みたいな可愛い女の子のパパになりたいってずっと思ってたのに、俺一生独身かも!!
晶みたいな可愛い女の子から晶みたいに"パパ”って呼んで貰いたかったのに!!」
インターフォンの音で玄関のドアをすぐに開けると、佐藤先輩は見たことがないくらいに疲れた顔をしていた。
合宿から帰ってきた時でも試合の後でもこんな顔を見たことがないのでそれには驚く。
「お疲れ様です。
別れ話、珍しく揉めたんですか?」
「そこは"おかえりなさい”じゃん・・・。」
「"おかえりなさい”。」
「うん、ただいま。
女子ってめんどいね~。
何か別れ話じゃなくてさ、後で話すよ。
先に美味しいご飯食べたい、お腹空いた!」
1軒家のうちの廊下を自分の家みたいな感じで先に歩いていた佐藤先輩がパッと後ろを振り向いてきて、私の顔を何度も頷きながら見てきた。
「晶はマジで可愛いよね、世界で1番可愛い。
晶が言う面倒なことなら、俺全然大丈夫なのに。
そもそも晶って面倒なこと言ったりやったりしてくれないけど。」
「花音ちゃんが言う面倒なことも全然大丈夫ですよね。」
「姉ちゃんのは違うじゃん、アレはあの姉の弟として生まれた瞬間からの諦めじゃん。」
「今でも普通に2人でお風呂に入ってるらしいですしね。」
「いや、普通には入ってねーよ!!
文句言いまくってるわ!!」
「え、佐藤先輩のお母さんが普通に入ってるって心配してるみたいですよ?」
「はぁぁぁぁぁぁ!?
母ちゃん、どんな目と耳してるんだよ!!
不自由なのは鼻と舌だけじゃねーのかよ!!
震える程不味い飯を自信満々に出してきやがって!!!」
「佐藤先輩、怖いです・・・。
佐藤先輩が怒ると怖いんですけど。」
「えぇぇぇ・・・、今のって年頃の息子としてあれくらい怒っても許されない?」
「でも、怖いです。
うちのお父さんってめっちゃおっとりだから怒ることも怒鳴ることもないから、男の人の怒った顔とか声とか私凄く怖いです。」
「分かった、ごめんね。
晶の前ではもう怒らない。」
「すみません、ありがとうございます・・・。
あ、これって面倒なことじゃないですか?」
「何が?」
「怒るの怖いって。」
「怒るの怖いって?」
「私の前では怒らないでくれるって。」
「うん、晶が怖がっちゃうなら晶の前ではもう怒らないよ。」
「・・・・・あ、はい、ありがとうございます。」
「うん。・・・・・・・え、で?
面倒なことって?」
「あ、ごめんなさい、何でもないです。」
花音ちゃんにも私にも甘々な佐藤先輩には自然と笑ってしまいながら、佐藤先輩よりも先にリビングへと入った。
「え、何?本当に分かんない!!
今何か面倒なこと言ってた?」
「分からないなら大丈夫です!
何かごめんなさい!」
「えぇぇぇっ!
晶に面倒なこと言われたいから聞かせてよ!!」
「竜也く~ん!お手々洗ってね~!!」
「はーい、お手々洗いま~す。」
「彼女とどうなったの~?」
リビングに男バスのエナメルバッグとブレザーをテキトーに放り投げた佐藤先輩にお母さんが聞くと、佐藤先輩は洗面所に向かって歩きながら大きな声で話を続けてくる。
「今までの彼女の中で1番良い子だなって思ってたのに、ここ数日で何か急に変わってさぁぁぁ!!
どうしよう、俺一生独身かも!!
晶みたいな可愛い女の子のパパになりたいってずっと思ってたのに、俺一生独身かも!!
晶みたいな可愛い女の子から晶みたいに"パパ”って呼んで貰いたかったのに!!」
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