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ドキドキとしていた自分が凄く"恥ずかしい”と思いながら、自分のお茶碗にご飯をよそう為に炊飯器を見下ろす。
「えぇぇ~、ダメかぁ!
"舞い降りてきた!”って今思ったんだけどなぁ!
"本当の兄妹じゃないじゃん!”って!」
「え、俺ここの息子じゃん。
俺だけがそう思ってたの?
高速道路の下に捨てられてた俺のことを拾ってくれたの"お母さん”じゃん。」
「ねぇぇぇ~!!!拾っちゃったよぉ!!!
部活後の真っ暗な時間、高速道路の下にある細長いバスケットコートの所でね~、晶とバスケをしてた男の子をね~!!
"ご飯が不味すぎて帰りたくないなぁ・・・”とか、泣きそうになりながら言われちゃってね~!!!
"あれ、私もう1人産んでたっけ?”と思うくらい私の顔とソックリな男の子をね~!!!」
「もう、マジで俺の"お母さん”だよ。
母の味と聞かれたら迷うことなく"お母さん”のご飯を答える。」
「今日も本当に可愛いなぁぁぁっ!!
最近全然帰ってこなかったから寂しかったぞ!!」
「いやぁ、晶に嫌われてるかなっていう不安もあってさ。」
「晶が竜也君のことを嫌いになるわけないじゃない、こんなに大好きなのに。ねぇ?」
お母さんのご飯をよそっていたらお母さんからそう聞かれ、私は首だけを縦に振った。
小さくだけど、振った。
私が佐藤先輩のことを好きなことに嘘はないから・・・。
私は、佐藤先輩のことが大好きだから・・・。
「晶のことを産む時に私が死にかけちゃって、晶は一人っ子で。
晶が幼稚園の頃なんて"私にはどうして"家族"がいないの?”って、未熟児で生まれた晶は他の子達よりもずっとたどたどしい言葉と伝え方で何度も一生懸命聞いてきて。
身体の成長も知的な成長も不安なことしかない中での育児で私はいっぱいいっぱいで、犬や猫を飼ってあげることも出来なくて、小さな小さなハムスターのパーを1匹飼ってあげることが精一杯で。
だから高速道路の下にいた”お兄ちゃん"を連れて帰ることが出来て本当に良かったよ。
ママとパパ、それとパーとピーとプー以外の晶の”家族"になってくれてありがとうね。
晶は竜也君ともう一緒にバスケは出来ないけど、これからも晶と仲良くしてあげてね?」
佐藤先輩の中学時代の引退試合、その日に佐藤先輩が大好きなハンバーグと生姜焼きの2つを初めて作って待っていたお母さん。
その時に言った言葉を、お母さんが今日久しぶりに言った。
「それ、2回目でも泣いちゃう話なんだけど・・・。
ヤバいヤバい、高3にもなって泣きたくないから我慢する・・・。」
中学の時も微妙な気持ちになりながら聞いたお母さんのその話を、今日は”微妙"どころかめちゃくちゃ”苦しい"と思いながら聞いた後に、テンションが上がるはずのハンバーグと生姜焼きを食べた。
それでも、テンションなんて全然上がらなくて。
顔も全然上がらなくて。
佐藤先輩とお母さんが楽しそうに会話をしていく中、私は何の味もしないようなハンバーグと生姜焼きを黙々と食べ進めるだけだった。
「えぇぇ~、ダメかぁ!
"舞い降りてきた!”って今思ったんだけどなぁ!
"本当の兄妹じゃないじゃん!”って!」
「え、俺ここの息子じゃん。
俺だけがそう思ってたの?
高速道路の下に捨てられてた俺のことを拾ってくれたの"お母さん”じゃん。」
「ねぇぇぇ~!!!拾っちゃったよぉ!!!
部活後の真っ暗な時間、高速道路の下にある細長いバスケットコートの所でね~、晶とバスケをしてた男の子をね~!!
"ご飯が不味すぎて帰りたくないなぁ・・・”とか、泣きそうになりながら言われちゃってね~!!!
"あれ、私もう1人産んでたっけ?”と思うくらい私の顔とソックリな男の子をね~!!!」
「もう、マジで俺の"お母さん”だよ。
母の味と聞かれたら迷うことなく"お母さん”のご飯を答える。」
「今日も本当に可愛いなぁぁぁっ!!
最近全然帰ってこなかったから寂しかったぞ!!」
「いやぁ、晶に嫌われてるかなっていう不安もあってさ。」
「晶が竜也君のことを嫌いになるわけないじゃない、こんなに大好きなのに。ねぇ?」
お母さんのご飯をよそっていたらお母さんからそう聞かれ、私は首だけを縦に振った。
小さくだけど、振った。
私が佐藤先輩のことを好きなことに嘘はないから・・・。
私は、佐藤先輩のことが大好きだから・・・。
「晶のことを産む時に私が死にかけちゃって、晶は一人っ子で。
晶が幼稚園の頃なんて"私にはどうして"家族"がいないの?”って、未熟児で生まれた晶は他の子達よりもずっとたどたどしい言葉と伝え方で何度も一生懸命聞いてきて。
身体の成長も知的な成長も不安なことしかない中での育児で私はいっぱいいっぱいで、犬や猫を飼ってあげることも出来なくて、小さな小さなハムスターのパーを1匹飼ってあげることが精一杯で。
だから高速道路の下にいた”お兄ちゃん"を連れて帰ることが出来て本当に良かったよ。
ママとパパ、それとパーとピーとプー以外の晶の”家族"になってくれてありがとうね。
晶は竜也君ともう一緒にバスケは出来ないけど、これからも晶と仲良くしてあげてね?」
佐藤先輩の中学時代の引退試合、その日に佐藤先輩が大好きなハンバーグと生姜焼きの2つを初めて作って待っていたお母さん。
その時に言った言葉を、お母さんが今日久しぶりに言った。
「それ、2回目でも泣いちゃう話なんだけど・・・。
ヤバいヤバい、高3にもなって泣きたくないから我慢する・・・。」
中学の時も微妙な気持ちになりながら聞いたお母さんのその話を、今日は”微妙"どころかめちゃくちゃ”苦しい"と思いながら聞いた後に、テンションが上がるはずのハンバーグと生姜焼きを食べた。
それでも、テンションなんて全然上がらなくて。
顔も全然上がらなくて。
佐藤先輩とお母さんが楽しそうに会話をしていく中、私は何の味もしないようなハンバーグと生姜焼きを黙々と食べ進めるだけだった。
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