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でも、届きそうになくて・・・。
でも、必死に手を伸ばす。
佐藤先輩が投げたボールはワンバウンドした後、サイドラインから出ていきそうだったけど、それでも手を伸ばして・・・
左足をサイドラインギリギリのコートに残した後、跳んだ。
「・・・・・・っっっ」
女子のボールよりも大きめな男子バスケのボールをギリギリ片手でキャッチ出来た後、空中でコートの中を確認し・・・
そして、絶対にソコに欲しいんだろうなという所に、投げた。
「うわ・・・・っっ、え、佐藤?大丈夫?」
ネットに大きく突っ込んだ私に柳瀬君がネットの向こう側から驚いた顔で聞いてきた。
マネージャーなのにコートの中に何度も入って指示を出したりプレーをしている柳瀬君が・・・。
そんな柳瀬君に私は頷く。
「大丈夫、もう膝は治ってる。」
そう答えた後にまたコートの中を見る。
佐藤先輩がま~たシュートを外して、でもリバウンドは取って貰えている。
それを見て、私はまたコートの中に走る!!
「1本!!!1本じっくり取りましょう!!!」
またコートに入った私に何か言われるかと思ったけど、私は気にせず当然かのように「ハイ!」と片手を上げた。
そしたら・・・
条件反射のようにボールをパスしてくれ、私の手の中には久しぶりにボールが入ってきた。
コートの中で、久しぶりのボールが・・・。
女子バスケのボールサイズではなく、男子バスケのバスケットボール・・・。
何だか、凄く嬉しい・・・。
このボールは知っている・・・。
佐藤先輩とよくこのサイズのバスケットボールで遊んでいたから私は知っている。
左膝の怪我をしてからバスケットボールがあんなに怖かったはずなのに、今はめちゃくちゃ嬉しい・・・。
このコートがあんなに怖かったはずなのに、今はめちゃくちゃ嬉しい・・・。
「もう、膝は治ってる・・・。」
自分に言い聞かせるようにそう言った時・・・
「佐藤!!!本気でやるなよ!!?
お前リハビリ途中でやめてるんだってな!!?」
黙っていた土屋先生が私に向かって声を上げたので、私はドリブルをしながら歩き始める。
「本気なんて出しませんよ。
私、マネージャーなので。」
すっっっっごく心配した顔で立ち止まっている佐藤先輩の所まで歩き、私は笑いながら言った。
「手も足も全部が自分のモノじゃないみたいになっちゃったもん。
全然動かない、全然速く走れない、凄く重いの。
私はもう前みたいに走れないし、ドリブルも出来ない、パスも出来ない、シュートも出来ない。
でも、このゲームを見てたら"怖い”っていう気持ちよりも"やりたい”っていう気持ちが出てきちゃった。
私、バスケがやりたい・・・私もバスケがやりたい・・・。
でも、私はまだ前みたいにバスケが出来ないから・・・」
佐藤先輩の胸に、ボールを押し付けた。
「遊んで?」
見上げた佐藤先輩の瞳は揺れている。
大きく大きく揺れている。
私もビックリした・・・。
だって、体育館の中ではみんなが練習をしていたのに、佐藤先輩は勝手に体育館裏で私とバスケットボールをしようとしたから。
「向こうは6人だぞ!!!
ゾーンにするぞ!!!」
相手チームにいたキャプテンが声を上げると、「「「「はい!!!」」」」と4人が大きな声で返事をした。
佐藤先輩の無茶苦茶なプレーにより相手チームも声がよく出ていた。
それを聞き、私は佐藤先輩に笑う。
だって、私はやっぱりバスケットボールが大好きで。
私は、佐藤先輩が私と遊んでくれたバスケットボールがやっぱりこんなに大好きで。
佐藤先輩の胸にバスケットボールをもっと強く押し付ける。
そして、心から笑ってもう1度言った。
「遊んで?」
私の顔を見下ろす佐藤先輩の目に少しだけ涙が溜まり・・・
ゆっくりと、私からボールを受け取った。
佐藤先輩は自分の胸にあるボールを見下ろし、それからまた私のことを見た。
そして・・・
ニコッと笑った。
「遊ぶか。」
そう言って・・・
「俺、やってみたい魔法がいっぱいあるんだよね!!!」
昔と同じ台詞を言った佐藤先輩に、私は大きく笑った。
「今日の暴走の理由、それですか!?」
「当たり前じゃん、格好良い所を見せたいもん。」
佐藤先輩が軽いドリブルを始めた。
「俺が"魔法”を見せた時、初めて"格好良い”って言ってくれたのは晶だった。」
「だって本当に魔法みたいでしたし、本当に格好良かったから。」
「"私にも格好良い魔法を教えて!!”って、"バスケって楽しいんだね!!”って、"バスケって小さくても出来るんだ!!”って、俺が星野君に言った言葉と同じことを晶も言ってた。
だからさ・・・」
言葉を切った佐藤先輩が、姿勢を低くした。
「今日の俺の魔法、格好良いやつがあったら”後輩”の晶に久しぶりに教えるよ。
だから久しぶりにさ、この後に高速道路の下に行こう?」
「あ、でも今日はこの後慎也と・・・」
私が話している途中で、男バスの中で誰よりも小柄な佐藤先輩が魔法を試しにいってしまった。
でも、必死に手を伸ばす。
佐藤先輩が投げたボールはワンバウンドした後、サイドラインから出ていきそうだったけど、それでも手を伸ばして・・・
左足をサイドラインギリギリのコートに残した後、跳んだ。
「・・・・・・っっっ」
女子のボールよりも大きめな男子バスケのボールをギリギリ片手でキャッチ出来た後、空中でコートの中を確認し・・・
そして、絶対にソコに欲しいんだろうなという所に、投げた。
「うわ・・・・っっ、え、佐藤?大丈夫?」
ネットに大きく突っ込んだ私に柳瀬君がネットの向こう側から驚いた顔で聞いてきた。
マネージャーなのにコートの中に何度も入って指示を出したりプレーをしている柳瀬君が・・・。
そんな柳瀬君に私は頷く。
「大丈夫、もう膝は治ってる。」
そう答えた後にまたコートの中を見る。
佐藤先輩がま~たシュートを外して、でもリバウンドは取って貰えている。
それを見て、私はまたコートの中に走る!!
「1本!!!1本じっくり取りましょう!!!」
またコートに入った私に何か言われるかと思ったけど、私は気にせず当然かのように「ハイ!」と片手を上げた。
そしたら・・・
条件反射のようにボールをパスしてくれ、私の手の中には久しぶりにボールが入ってきた。
コートの中で、久しぶりのボールが・・・。
女子バスケのボールサイズではなく、男子バスケのバスケットボール・・・。
何だか、凄く嬉しい・・・。
このボールは知っている・・・。
佐藤先輩とよくこのサイズのバスケットボールで遊んでいたから私は知っている。
左膝の怪我をしてからバスケットボールがあんなに怖かったはずなのに、今はめちゃくちゃ嬉しい・・・。
このコートがあんなに怖かったはずなのに、今はめちゃくちゃ嬉しい・・・。
「もう、膝は治ってる・・・。」
自分に言い聞かせるようにそう言った時・・・
「佐藤!!!本気でやるなよ!!?
お前リハビリ途中でやめてるんだってな!!?」
黙っていた土屋先生が私に向かって声を上げたので、私はドリブルをしながら歩き始める。
「本気なんて出しませんよ。
私、マネージャーなので。」
すっっっっごく心配した顔で立ち止まっている佐藤先輩の所まで歩き、私は笑いながら言った。
「手も足も全部が自分のモノじゃないみたいになっちゃったもん。
全然動かない、全然速く走れない、凄く重いの。
私はもう前みたいに走れないし、ドリブルも出来ない、パスも出来ない、シュートも出来ない。
でも、このゲームを見てたら"怖い”っていう気持ちよりも"やりたい”っていう気持ちが出てきちゃった。
私、バスケがやりたい・・・私もバスケがやりたい・・・。
でも、私はまだ前みたいにバスケが出来ないから・・・」
佐藤先輩の胸に、ボールを押し付けた。
「遊んで?」
見上げた佐藤先輩の瞳は揺れている。
大きく大きく揺れている。
私もビックリした・・・。
だって、体育館の中ではみんなが練習をしていたのに、佐藤先輩は勝手に体育館裏で私とバスケットボールをしようとしたから。
「向こうは6人だぞ!!!
ゾーンにするぞ!!!」
相手チームにいたキャプテンが声を上げると、「「「「はい!!!」」」」と4人が大きな声で返事をした。
佐藤先輩の無茶苦茶なプレーにより相手チームも声がよく出ていた。
それを聞き、私は佐藤先輩に笑う。
だって、私はやっぱりバスケットボールが大好きで。
私は、佐藤先輩が私と遊んでくれたバスケットボールがやっぱりこんなに大好きで。
佐藤先輩の胸にバスケットボールをもっと強く押し付ける。
そして、心から笑ってもう1度言った。
「遊んで?」
私の顔を見下ろす佐藤先輩の目に少しだけ涙が溜まり・・・
ゆっくりと、私からボールを受け取った。
佐藤先輩は自分の胸にあるボールを見下ろし、それからまた私のことを見た。
そして・・・
ニコッと笑った。
「遊ぶか。」
そう言って・・・
「俺、やってみたい魔法がいっぱいあるんだよね!!!」
昔と同じ台詞を言った佐藤先輩に、私は大きく笑った。
「今日の暴走の理由、それですか!?」
「当たり前じゃん、格好良い所を見せたいもん。」
佐藤先輩が軽いドリブルを始めた。
「俺が"魔法”を見せた時、初めて"格好良い”って言ってくれたのは晶だった。」
「だって本当に魔法みたいでしたし、本当に格好良かったから。」
「"私にも格好良い魔法を教えて!!”って、"バスケって楽しいんだね!!”って、"バスケって小さくても出来るんだ!!”って、俺が星野君に言った言葉と同じことを晶も言ってた。
だからさ・・・」
言葉を切った佐藤先輩が、姿勢を低くした。
「今日の俺の魔法、格好良いやつがあったら”後輩”の晶に久しぶりに教えるよ。
だから久しぶりにさ、この後に高速道路の下に行こう?」
「あ、でも今日はこの後慎也と・・・」
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