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笑ったのは私1人だけで、楓は何も笑っていない。
「動物園のデートはビックリした・・・。
慎也がね、あの慎也が死にそうな顔をしてて。
緊張した顔じゃなくて死にそうな顔で歩いてて。
私の話も上の空だし、慎也なんて全然話してくれないし。
やっぱり男子って嫌だなって、やっぱり男子って分からないなって、そう思ったら・・・。
そう思ってたら、慎也が急に泣き出して・・・」
言葉を切った楓が、苦しそうな声で続けてきた。
「晶に酷いことを言っちゃったって。
晶は勇気を出して俺に話してくれたのに、晶のことを傷付けたって。
晶は何でもない顔で笑ってたけど、でも絶対に傷付いたと思うって。
俺だったら絶対に傷付くからって。
そんなことを言って泣いてるから、晶の話を・・・聞いた。
そのこともあって、私は慎也の告白に心を凄く動かされたの。
いつも元気で楽しい慎也しか知らなかったけど、私が1番大好きで1番大切な友達の為に、慎也はこんなにも死にそうになってくれる人なんだとも思って。」
「私のアノ話がそんな効果を・・・!!
え、でも何で付き合ってないの?
両想いなんでしょ?」
「両想いになったのはね、慎也が凄くサッカーを頑張り始めた所が好きだなって思えて。
それまでは結構軽い所もあるなって思ってたんだけど、最近はサッカーを凄く頑張ってる所が良いなって思えて。
それからはね、私と両想いだって分かっても指1本触れてこないし、かと言って他の女の子とも仲良くしてる感じもないし、そこも凄く好きだなと思ってる。
慎也もサッカーをもっと頑張りたいって言ってて、サッカーも頑張って進学も頑張って、それでもその時に両想いなら付き合って欲しいって言ってくれて。
何か・・・その時凄く格好良くてめっちゃ泣いた。」
「それは・・・・良かったね、うん、良かった!!」
慎也へのアドバイスは、佐藤先輩が完全に勘違いをしてのアドバイスだったと分かって心配していたけど、結果的に佐藤先輩は慎也にも物凄く良いパスを渡せていたらしい。
それにホッとした時・・・
「柳瀬君とヒマリ先輩は付き合い始めたって、聞いた?」
それには普通に笑いながら頷く。
「ヒマリさんが佐藤先輩と付き合う時も、ヒマリさんが佐藤先輩と付き合ってる時も、柳瀬君は私から佐藤先輩の話を聞いてきたりして凄くヒマリ先輩の為に頑張ってたのにね。
柳瀬君、本当はヒマリさんのことが中学の頃から好きだったんだってね。
途中からはヒマリさんと佐藤先輩が別れる為に奮闘してたって聞いた時は、流石男バレのマネージャーで陰のエースだなと思った、そんなの全然分らなかったもん。」
「男子って本当におバカだよね。
そんなに好きなら最初からヒマリ先輩に優しくしていれば良かったのに。
慎也から聞いたんだけどね、ヒマリ先輩のことが可愛すぎて柳瀬君って意地悪ばっかりしてたんだって。」
「え、柳瀬君が?
小学生の男子みたいだね。」
「うん、あと・・・晶、佐藤先輩に話したかな?
ヒマリさんのことを傷付けてる佐藤先輩への仕返しみたいな感じで、柳瀬君が晶に佐藤先輩の変な話をしたよね?
慎也も内容までは知らなかったけど、何か噂話みたいな・・・。
それ、1番酷いやつは柳瀬君の仕返しの噂話らしいから、気にしないであげてね。」
「そうなんだ・・・。
でも・・・佐藤先輩にも確認しなかった。」
あの噂話のことを思い浮かべると今でも苦しい気持ちにはなるけれど、私はそれでも笑った。
「それでも好きで・・・そんなことで離れることなんて出来ないから、もう良いやってなってた。」
「晶、そんな感じなんだ?
佐藤先輩は前にも増して愛が溢れ出ちゃってるけど、晶は前と全然同じだから"あれ?”って思ってて。
晶も佐藤先輩のことが好きなわけではないのかなって。
ただそういうことをしちゃっただけなのかなって。
男バスのガードの男子だけが"あの2人は付き合ってる”とか言ってるみたいだけど、誰も信じてないし。」
それを言われ、それには心の中で答える。
"私の部屋の中では私の方も凄いんだけどね。
部屋の中でだけは竜也先輩って呼べるようになってきたし。”
今頃違う会場の体育館で"忍び”をやっているはずの佐藤先輩の姿を思い浮かべながら、私は口を開いた。
「佐藤先輩とは両想いだし内緒で付き合ってもいるけど、私はバスケットボールをしにうちの高校に来たから。」
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「動物園のデートはビックリした・・・。
慎也がね、あの慎也が死にそうな顔をしてて。
緊張した顔じゃなくて死にそうな顔で歩いてて。
私の話も上の空だし、慎也なんて全然話してくれないし。
やっぱり男子って嫌だなって、やっぱり男子って分からないなって、そう思ったら・・・。
そう思ってたら、慎也が急に泣き出して・・・」
言葉を切った楓が、苦しそうな声で続けてきた。
「晶に酷いことを言っちゃったって。
晶は勇気を出して俺に話してくれたのに、晶のことを傷付けたって。
晶は何でもない顔で笑ってたけど、でも絶対に傷付いたと思うって。
俺だったら絶対に傷付くからって。
そんなことを言って泣いてるから、晶の話を・・・聞いた。
そのこともあって、私は慎也の告白に心を凄く動かされたの。
いつも元気で楽しい慎也しか知らなかったけど、私が1番大好きで1番大切な友達の為に、慎也はこんなにも死にそうになってくれる人なんだとも思って。」
「私のアノ話がそんな効果を・・・!!
え、でも何で付き合ってないの?
両想いなんでしょ?」
「両想いになったのはね、慎也が凄くサッカーを頑張り始めた所が好きだなって思えて。
それまでは結構軽い所もあるなって思ってたんだけど、最近はサッカーを凄く頑張ってる所が良いなって思えて。
それからはね、私と両想いだって分かっても指1本触れてこないし、かと言って他の女の子とも仲良くしてる感じもないし、そこも凄く好きだなと思ってる。
慎也もサッカーをもっと頑張りたいって言ってて、サッカーも頑張って進学も頑張って、それでもその時に両想いなら付き合って欲しいって言ってくれて。
何か・・・その時凄く格好良くてめっちゃ泣いた。」
「それは・・・・良かったね、うん、良かった!!」
慎也へのアドバイスは、佐藤先輩が完全に勘違いをしてのアドバイスだったと分かって心配していたけど、結果的に佐藤先輩は慎也にも物凄く良いパスを渡せていたらしい。
それにホッとした時・・・
「柳瀬君とヒマリ先輩は付き合い始めたって、聞いた?」
それには普通に笑いながら頷く。
「ヒマリさんが佐藤先輩と付き合う時も、ヒマリさんが佐藤先輩と付き合ってる時も、柳瀬君は私から佐藤先輩の話を聞いてきたりして凄くヒマリ先輩の為に頑張ってたのにね。
柳瀬君、本当はヒマリさんのことが中学の頃から好きだったんだってね。
途中からはヒマリさんと佐藤先輩が別れる為に奮闘してたって聞いた時は、流石男バレのマネージャーで陰のエースだなと思った、そんなの全然分らなかったもん。」
「男子って本当におバカだよね。
そんなに好きなら最初からヒマリ先輩に優しくしていれば良かったのに。
慎也から聞いたんだけどね、ヒマリ先輩のことが可愛すぎて柳瀬君って意地悪ばっかりしてたんだって。」
「え、柳瀬君が?
小学生の男子みたいだね。」
「うん、あと・・・晶、佐藤先輩に話したかな?
ヒマリさんのことを傷付けてる佐藤先輩への仕返しみたいな感じで、柳瀬君が晶に佐藤先輩の変な話をしたよね?
慎也も内容までは知らなかったけど、何か噂話みたいな・・・。
それ、1番酷いやつは柳瀬君の仕返しの噂話らしいから、気にしないであげてね。」
「そうなんだ・・・。
でも・・・佐藤先輩にも確認しなかった。」
あの噂話のことを思い浮かべると今でも苦しい気持ちにはなるけれど、私はそれでも笑った。
「それでも好きで・・・そんなことで離れることなんて出来ないから、もう良いやってなってた。」
「晶、そんな感じなんだ?
佐藤先輩は前にも増して愛が溢れ出ちゃってるけど、晶は前と全然同じだから"あれ?”って思ってて。
晶も佐藤先輩のことが好きなわけではないのかなって。
ただそういうことをしちゃっただけなのかなって。
男バスのガードの男子だけが"あの2人は付き合ってる”とか言ってるみたいだけど、誰も信じてないし。」
それを言われ、それには心の中で答える。
"私の部屋の中では私の方も凄いんだけどね。
部屋の中でだけは竜也先輩って呼べるようになってきたし。”
今頃違う会場の体育館で"忍び”をやっているはずの佐藤先輩の姿を思い浮かべながら、私は口を開いた。
「佐藤先輩とは両想いだし内緒で付き合ってもいるけど、私はバスケットボールをしにうちの高校に来たから。」
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