【完】お兄ちゃんは私を甘く戴く

Bu-cha

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高校生になる直前、春・・・。



「岩渕、お前マジでどうにかしろ!!
高校になってからも俺が教室まで注意しに行くとかしねーからな!?」



夜ご飯、鮫島君から怒鳴られ・・・また汚く食べてしまったと分かった。



ティッシュで机や床を拭いていると・・・



「別に注意しに行かなくていいじゃん!!
お兄ちゃんが大声で注意すると気付いてない人まで気付いちゃうから!!」



「そんなどうでもいいこと気にするくらいなら、飯くらいは普通に食えるようになれ!!!
只でさえ勉強以外は出来ねーんだから!!!」



「ご飯なんて別に綺麗に食べられなくてもいいじゃん!!!」



「よくねーだろ!!!
結果的に恥ずかしい思いをするのは岩渕なんだよ!!!
悪く言われるのも岩渕なんだよ!!!
理子、お前は岩渕と結婚したいんだろ!?
お前だって恥ずかしい思いをしたり悪く言われるかもしれねーんだぞ!!!」



「そんなの私が言い返すもん!!」



「産まれてきた子どもも恥ずかしい思いするだろ!!
悪く言われるだろ!!
お前だって散々言われただろ!?
母ちゃんのこと、散々言われただろ!?」



鮫島君のその叫びに、りーちゃんは珍しく黙った。
実際に噛み付くこともなく、黙った。



そして・・・



真剣な顔でゆっくりと鮫島君に口を開いた。



「ご飯、綺麗に食べられればいいの?」



「とりあえずはな!!!
あとのことは俺でもどうにかしてやれる!!!」



「お兄ちゃん、よくお兄ちゃんと同じ高校に受かったよね~・・・。」



「こいつ、自分が勉強出来るだけじゃなくて教え方もマジで分かりやすい!!」



僕と同じ高校に進学すると言った鮫島君。
勉強を教えていた僕のことを、そんな言葉で認めてくれた。



僕からしてみたら、グングン吸収していく鮫島君に毎回驚いていたのに・・・。



「分かった、それは私がどうにかする。
だからお兄ちゃんの高校生活、お兄ちゃんが守ってよ?
男子校だし私は入りたくても入れないから。」



りーちゃんが真剣な顔で鮫島君にそう言う姿を、僕は見ているしか出来なかった。
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