【完】お兄ちゃんは私を甘く戴く

Bu-cha

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そんなことを考えていると、桃子さんが口を開いた。
優しく笑いながら口を開いた。



「理子は豊のことが、“お兄ちゃん”のことが、大好きなんだよね。」



僕も知っていることを桃子さんからも改めて言われる。



だから、何度も殺していた・・・。



りーちゃんが僕と付き合ってくれることはないから・・・。



りーちゃんが僕の彼女になってくれることはないから・・・。



たまに確認しては、やっぱりダメで・・・。



僕では“男の人”ではなくて・・・。



だから宝田さんと連絡先を交換したとりーちゃんから聞いて驚いた。
りーちゃんが“男の人”と連絡先を交換したなんて初めて聞いたから。



だから、そろそろ終わってしまうと分かった。
りーちゃんに本当に好きな人が・・・本当に好きな“男の人”が出来るのだと思ったから・・・。



それが分かったら、起き上がり過ぎてしまった。
何度殺しても、何度殺しても、起き上がるのが早くなり過ぎてしまった。



もう終わってしまうのだと分かったら、死んでなんていられなかった。
何度も何度も起き上がって僕自身に戦いを挑んできた。



りーちゃんに“男”として見て貰う為に戦おうと、挑んできた・・・。
僕のことを“男らしい”と言ってくれて・・・。
ウェディングドレスのようなナイトドレスを着ていて・・・。
そんなりーちゃんを目の前に、起き上がり過ぎてしまった・・・。



そんな時・・・



りーちゃんと本当の兄妹になる方が先になるのだと分かった。
そしたら、もう本当に終わりだと思った。



りーちゃんはずっと望んでいたから。
僕が本当の“お兄ちゃん”になることを、望んでいたから。



1度もりーちゃんから“男”として見て貰うことが出来ないまま・・・



1度もりーちゃんから名前を呼んで貰うこともないまま・・・



1度もりーちゃんの名前を呼ぶこともないまま・・・



僕は、りーちゃんの本当の“お兄ちゃん”になるのだと思った・・・。



連れていけない。
連れていけるわけはない。
りーちゃん自身を、“お兄ちゃん”の僕が連れていけるわけがない。



お父さんが桃子さんと再婚をしなかったとしても、“お兄ちゃん”の僕はりーちゃん自身を連れてはいけない・・・。



連れていけるのは、赤い鉛筆だけ・・・。



ピンク色でもない・・・。



ピンク色でもない、あと少しで消えて無くなりそうな・・・



それくらい短い、赤い鉛筆だけ・・・。
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