【完】お兄ちゃんは私を甘く戴く

Bu-cha

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米倉さんからそう言われ、私は頷く。
頷いてから、パソコンの画面の中にいるお兄ちゃんを見詰める。
2日前にアップをした加賀製薬の方の動画の中にいるお兄ちゃんを。



そして、再生ボタンを押した・・・。
さっきまで少し見ていた動画、その続きが動き始める・・・。



『加賀製薬ってどんな会社?
俺は新卒で今の会社に入社したし、他の大手の会社ってどんな会社なのか気になる。』



声の主は、宝田さん。
大学院の休憩時間中も、お兄ちゃんのことを追いかけて貰った。
そのお願いを宝田さんにしていた。



『僕は中小企業の建築会社でのアルバイト経験しかありませんが・・・。
そっちの会社の方が強い会社でしたね・・・。』



『そうなんだ!?
何ていう会社?』



『加瀨建築っていう会社です・・・。
会社を継いでいた社長が亡くなってしまって、奥さんが社長となりその後に必死で続けた会社で・・・。
奥さんが採用していた従業員全員が一丸となって会社を続けようとしていたので、温かくて活気のある会社でした・・・。
退職した今でもたまに、社長が我が家の近くで仕事をしているとお菓子を届けてくれたりしますね・・・。』



『中小企業だと社長との距離も近くてそんな雰囲気になることもあるんだね。
そういう雰囲気が好きだったんだ?』



『いえ、好きとかではないですね・・・。』



『そうなんだ!?どういうこと!?』



『僕はコミュ障なので・・・。
でも、従業員全員があそこまで強いなら、それは会社自体も強くなりますよね・・・。』



『加賀製薬は従業員が弱いの?』



聞いた宝田さんに、お兄ちゃんは私を見詰めた。
カメラの向こうにいる宝田さんのことを見詰めたのだろうけれど、画面の中のお兄ちゃんは私を見詰めているように見える。



そんなお兄ちゃんが、口を開いた。



『加賀製薬の従業員も、強いですよ・・・。』



そう、口を開いた・・・。
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