魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ

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どうして私を見てくれないんだ

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 私はとある国の王子アルファ。悪質な魅了魔法にかかって、浮気のあげく、婚約者に婚約破棄を突きつけてしまった。
 それだけでなく、魅了魔法にかけられている間の私は相当酷いことをしていたらしく、私がどんなに謝っても婚約者のエリザベスは許してくれず、顔も見たくないと言って、会ってさえくれない。
 ついには、彼女の父親である公爵まで私を咎め、屋敷に来ないようにと言い渡して来たので、私は公爵家のメイドを魅了魔法で操って、彼女を連れ出すしかなかった。

「さてエリザベス、ここにいるのは宮廷魔道士ジュリエットだ。今から彼女に、火炎の魔法をかけよう」
「え、アルファ様何を……」
 ボボーーーーーー!!
「キャーーー」
 ジュリエットが炎に包まれ、それを見たエリザベスが悲鳴をあげるが、心配は無用だ。
「あっつ。王子ー、バイト代忘れないでよー」
 ジュリエットは宮廷魔道士、この程度の魔法はレジストできる。炎に包まれて鬱陶しそうにしているが、彼女も彼女の装備も引火することはない。

「さあエリザベス、次は君の番だよ」
「ヒッ、やめ……」
 ボボーーーーーー!!
「あああああああー」
 エリザベスが炎に包まれた。

「あれ? エリザベス、こんなに簡単に魔法かけられるなんて、王妃教育サボってたんじゃないの?」
「いや王子、魔法のレジストは才能の問題で、教育でどうなるものでもないから」
「あああああああー」
 魔法の炎は燃え続けていて、エリザベスの髪を焼き、耳を焼き、目を焼いた。
 これで、魅了魔法にかけられていた私と同じように、『周囲のことを認識して自分で判断すること』が、できなくなっただろう。

「さあエリザベス、私を見てくれ。無視だなんて酷いことはしないよな? 君が言ったんだ。魔法にかけられた私が悪い。魔法にかけられても抵抗した者はいると。今はそれと同じ状況だよ。君は魔法にかけられた。この魔法に抵抗した者もいるのに。だから今の状況は君のせいだ」
 全身が焼きただれ、虫の息のエリザベスに言葉を重ねる。
「君が私に言っていたように、私も言うよ。私の言葉を聞いてくれ。私の方を見てくれ。どうして私を見てくれないんだい?」
 しかし、彼女が言葉を返してくれる事はない。
「どんなに言葉を重ねても、君は私を見てはくれないんだね」

 私は酷く傷ついた。たとえこれが魔法のせいだと分かっても、私の傷ついた心は戻らない。
 なんといっても、魔法に抵抗できる者もいるのだから、今の状態は魔法にかかってしまったエリザベスの罪なんだ。

「そうだろう? エリザベス」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魅了魔法にかかった被害者が許されない系の話は、なんだかモヤっとするよね。というお話。

魅了魔法に抵抗する系のアイテムがあって高位貴族は備えてる、とか逃げ道作るのもあるけど、それはそれで、そんなに魅了魔法がメジャーなら、それを疑わずに傷ついてる主人公は滑稽だし、気づいてて見捨てるのは、それ加害者側じゃね? って思うし、抵抗した者がいる話は、体質じゃないのか? っていう。RPGだとコンフュにかからないのは魔法耐性とかのステータスの問題なわけで……。

ちなみに治癒魔法のある世界なので、エリザベスさんはバイトが治療しておきました。
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