あの頃の僕らは、

のあ

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第二話 招かれざる招待状

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『同窓会のお知らせ』

 そんな件名のメールが事もあろうに会社のメール宛に送られてきたのは三日前のことだった。

 地元の愛知から広告代理店に就職するために上京した健人けんとは、大学を卒業して以来、電話番号もSNSのアカウントも全て変え、誰とも連絡を取らなくなっていた。ほとんどの同級生は地元企業に就職し、上京後は誰とも再会することはなかった。

「世間は狭い」というが、実際のところはこんなものだ。地元を離れればそうそう知り合いに会うことなどない。そう油断しきった三十歳の秋に、仕事で大学時代の旧友と偶然の再会を果たしてしまった。

「まさかこんなところで再会するとはな。卒業以来だから八年ぶりか」

 地元の自動車メーカーに就職した和也かずやは、昨年から東京に異動になり、その自動車メーカーのCMを健人が担当することになった。

「もうそんなに経つか。早いな」

 そう作り笑いで誤魔化し「早速仕事の話で申し訳ないんだけど」と、この気まずいミーティングを一秒でも早く終えられるように本題に話を移した。

「では、資料が出来次第メールでご連絡します」

 仕事モードで会話を終え、エレベーターホールに向かう途中、和也が「そういえば」と口を開く。

裕斗ゆうと真理まりの結婚式、何で来なかったんだよ。みんな久々に健人に会えるって楽しみにしてたんだぞ」

「あぁ…ちょうど仕事が忙しい時期でさ」

「なんだよ、親友と幼馴染の結婚式だろ。友人代表のスピーチするもんだと思ってたよ」

「嫌だよ。恥ずかしい」

 和也の様子を伺いながら「大丈夫。ちゃんと笑えてる。きっと気付いていない」そう自分に言い聞かせた。

 大学卒業以来、裕斗と真理には一度も会っていない。それどころか住所はおろか新しい連絡先すら教えていないのだ。そんな健人に二人の結婚の知らせなど届くはずもなかった。

『結婚式来れなかったんだから同窓会くらい顔出せよ。みんなお前に会いたがってるぞ!』

 一方的に送りつけられてきた「招かれざる招待状」には、そんな言葉が添えられていた。
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