ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと

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第49話

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 一人焼肉を決行し、満腹になるとホテルに帰るのだった。

 椅子に深く腰をかけ、次に使う武器を探す。今の攻撃手段の軸は、魔法、短剣、隠密の3つだ。これに相性がいいのは…、真っ先に思いついたのは、弓や銃だ。遠距離を主軸として戦い、近寄られた時の対策として短剣を使うような戦い方だ。

 この辺りの階層で魔物が使ってくる武器は剣や槍が基本となる。リーチ的にも勝っているだろう。だが、問題になるのは出費の多さだ。銃であれば弾丸を、弓であれば矢を買わないといけない。しかも使い捨てになる可能性もある。

 その出費を抑えるのなら、魔法弓だな。矢を放つごとに魔力を消費するという特徴を持っている。魔法使いの職業レベルが上がっているのだから、なんとかなるだろう。買うためにも金を貯めないとな。

 いつか使う日が来ることを祈っておこう。ゴールデンウィーク3日目から5日目はゴブリンを狩り、レベル上げをしていた。6日目がやってくる。ゴールデンウィークの折り返しということもあり、初めて5階層のオークに挑もうと考えているのだった。

 最速で1階層から4階層まで移動をし、ボス部屋の前に辿り着く。問題なのは、今はゴールデンウィーク、いわば休日だ。そのため人が多いのだった。準備運動として4階層のゴブリンと戦闘をしていると、すれ違うことが数回あった。

 ダンジョンに来ている人がいつもよりも多いのだった。ボス部屋前には人数待ちになっており、5パーティーほど順番を待っているようだ。一列に並んでいるところを見ると日本人だな~と思ってしまう。

 1時間ほど経ち、順番が回ってくるのだった。両頬を叩き、気合いを入れる。オークの背丈の大きさは180cmあたりの大きさだ。デブな個体が多いことから、体が大きく見えてしまう。

 そのデブさから走るときも脂肪が上下に揺れ、邪魔をする。そのため俊敏性はない。だが、持久力はある。そんな魔物だった。その見た目は歪なものだ。体重を支えるために肥大し、筋肉質の足、倒れた時に体重を支えるための腕、この計四箇所の筋肉が大きく発達している。

 まずは出会って早々のアースジャベリンだ。だが、オークがサイドステップをすることで避ける。
(こいつ、動ける。…動けるデブが存在していたとは)

 さらにお返しとばかりに詰め寄ってくる。おそらく一発も当たってはいけないデスゲームの始まりだ。近寄らせないためにも、ファイヤーバレットをお見舞いする。

 熱のため、避けることができてもその熱さを感じるはずだ。デブは暑さに弱い。オークは汗をかき始めるのだった。

 汗により、表面がテカリ、光を反射する。近づき殴ってこようとする。その腕は汗で滑(ぬる)っている。武器を持っていないオークにとって攻撃手段は殴りだ。その殴りと共に汗が飛ばされる。

 やらかしたか…。絶対に触りたくない相手に変わった。汗ってどれくらい滑るのかな…。短剣が刺さるか心配になりそんなことを考える。汗でずれることでうまく刺さらないことが発生する可能性がある。毒を一回流し込もうとしていたが、考えを変える。魔法だけの戦闘に切り替える。

 オークは顔から垂れてくる汗を鬱陶しいと感じたのか手で拭って払いのけている。これが大きな隙になる。目の上から汗を拭った。オークの視界が自分の腕で隠され、視界が完全に消えるのだった。

 この隙にウィンドジャベリンを作り出し、即放つ。狙いはその腹だ。拭ってすぐに気がついたのか、避けられてしまった。だが、腹に傷をつけることができた。地面にウィンドボールを当て、砂埃を立てる。

 目潰し兼隠密の発動条件が揃う。オークは瞬時に判断し目を閉じた。だが、汗により肌の表面は湿っている。乾いた砂は水分を含むものによくひっつくようになる。その湿った顔にはちょうどいい。

 顔や腕に砂が当たり、肌の表面に砂が多く付いた。払おうとしても細かい砂を取ることができない。すでに目の前に立っているのに気がついていないようだ。

 腹にできている傷口に毒を出しつつ短剣を突き立てる。痛みからかオークが叫び声を出す。デブということだけあって、声がでかい。短剣を引き抜き後ろに下がりつつ、急いで耳を塞いだが間に合わない。

 オークの叫び声が耳の中に入り脳を揺らす。少し眩暈がする。オークは毒に弱いようで、すぐにフラフラし始めた。

 この4日間で魔法のスキルレベルが上昇している。魔法系のレベル4はプロテクト系だ。簡単にいうとバフだ。ウィンドプロテクトを発動させる。素早さが上がっているのが実感できる。

 毒を再び注入するために走り寄る。オークは土が取れたかな?と目を開け、目の中に土が入り悶絶している。ついには涙を出すのだった。目の中に入る異物を取り除くためだ。

 ウィンドプロテクトの効果は素早さと脳の処理速度の上昇だ。精神的な疲労が溜まるため長時間使うことができない魔法だ。早期決着を狙う。

 それを迎え撃つために握り拳を作っている。オークは涙を出しながらもその目はうっすらと開いている。涙により実体はふんわりとしたものしかわからない。距離感は失われているが、近づいていることはわかっているのだった。

 距離感を失っている。これが重要だ。ウィンドプロテクトの上に身体強化を発動させた。これにより、急激な加速を実現させる。通り過ぎた後、オークが拳を振り下ろし、地面に叩きつける。

 アキレス腱の少し上を切りつける。オークが振り向くまでに両足とも切ることができた。短剣がバレている。それにより攻撃の距離の計算もできる。振り向きそこにいるだろう位置を殴りつける。今度は地面に当たらないが空振りで終わるのだった。

 再び背後にまわり背中に傷をつけた。その傷に毒を垂らし傷から体内に侵入させる。オークから距離を開け、離れた位置に立つ。オークの動きを観察する。動くことができないのであれば、このままとどめを刺しにいく。その行動するための様子見だ。

 オークの足から赤いオーラが体に広がる。急いでその場を離れたが、時すでに遅し。タックルをしてきた。踏み込む地面はその足跡をくっきりとわかるほど沈み、その通り道は地面に点々と血の跡を残した。

 ぎりぎり避けることができたのだが、その風圧により少し飛ばされてしまった。もっと距離をあけておくべきだったな…。体のあちこちから悲鳴が上がっている。全身が痛い。

 幸いにも足はまだ生きているようだ。再び赤いオーラを纏う。動き出す寸前のことだ。オークはピクッと体を硬直させた。そして地面に倒れるのだった。その理由は単純だ。毒が身体中に回ったそれだけのことだ。そしてオークの体が光り出す。

「よしっ」

 小さくガッツポーズを決める。自前のポーションを取り出し、一気飲みをする。体の痛みは引いていく、だがまだ痛い。オークがいた場所には宝箱が置かれており、その宝箱を開ける。そこに入っていたのはスキルブックとポーションだ。

 さすがに今日は激戦だったので、一旦帰ることにした。
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